初代ウルトラマンの感想文(1〜12話)

 帰ってきたシン・ウルトラマンが放映する(断定)まで、今しばらく時間があるのでその時までにツブラヤイマジネーションで本家を履修することにした。ちなみにこのツブラヤイマジネーション、クーポンを使えば五月中は無料で円谷作品を観ることができる。まぁもう月末なんですけど。

・帰ってきたウルトラマン1話所感:合体したのか……オレ以外の男と……

 正直、早いところ帰ってきたウルトラマンを体感したくて、初代ウルトラマンより先に帰ってきた方の1話を先に観る。早々に怪獣が現れ、主人公の青年が子供を庇って死んでしまう。主人公は科特隊とはまだ関係がないようである。その時点で少し「おや?」となる。
 惜しくも死んでしまった主人公の元に、ウルトラマンが現れる。そのウルトラマンに早速度肝を抜かれる。何しろこのウルトラマン、めちゃくちゃ喋る。身を挺して子供の命を守ったことに強く感銘を受けたこと、そのまま死なせるのは惜しいこと、だから命を与えること。それらを威圧的な低い声ながら、わかりやすく胸中を教えてくれる。三十年ぶりに観たウルトラマンが庵野版ウルトラマンとも言えるシン・ウルトラマンだったため、この時点で「そこまで説明してくれるのか」とカルチャーショックめいた衝撃を受ける。
 そうして復活を遂げた主人公は、再び怪獣が襲ってきたためウルトラマンに変身をし応戦する。
 そんなウルトラマン、デザインまで変わって。
 これまた度肝を抜かれるも、怪獣を担ぎ上げてぶん投げるウルトラマンの姿にキュン…とする。担ぎ上げた時の背中の筋肉の動きにグッとくる。
 そうこうするうちに、怪獣は倒され、元に戻った主人公は勇気を認められ科特隊に入隊する。こうして流れをざっくりと文章にしてみると、ごく自然なように思われるが、どうにも自分の理解が追いついていないような違和感があった。それをなんとなしにツイッターで呟いていたら、各所から「『帰ってきたウルトラマン』のウルトラマンは、厳密にはジャックです」と教えられる。
 ウルトラマンちゃうんかーーーい。
 帰ってきたウルトラマンの、ウルトラマン帰ってきてない問題。思えば、帰ってきたウルトラマンの主題歌を聞いた瞬間、なんとも筆舌しがたいモヤモヤとした感情に襲われた。ある種、なにがしかの記憶が蘇ったからなのかもしれない。
 前回、前々回の記事にてウルトラマンへの重めの感情を書に認めておきながら、シン・ウルトラマンを観るまで一切思い出すことがなかったあたり、何かつらい思いをして記憶を封印した説が自分や友人らの間で上がっていたが、あながち憶測ではなかったかもしれない。三十も半ばに差し掛かってもまだウルトラマンの自己犠牲が耐えられないのだ。帰ってきたウルトラマンが自分の知っているウルトラマンではないとあっては、五歳児の脳なら破壊されている。というか、破壊された。あんまりだよ。そんなのってないよ。
 シン・ウルトラマンの荒い部分は「帰ってきたウルトラマンを早く制作したいから」と解釈してなんとか今日まで自我を保ってきたが、帰ってきたウルトラマンのウルトラマン帰ってきてない問題を目の当たりにして再び不安に襲われている。本家テイストだと三十半ばにして再び脳が破壊されてしまう。

 いろいろ不安が尽きないが、帰ってきたウルトラマンを今ひとつ楽しみきれなかったのは、前作にあたる初代ウルトラマンをまだ観ていないからかもしれない。そう思い早速視聴し始めたら、これがとんでもなく面白かったためここ数日でかれこれ12話まで観てしまった。週の真ん中から見始めたので、休みは経由していない。通勤、休憩中、ありとあらゆる空き時間を駆使して観ている。
 忘備録を兼ねて、現時点での登場人物の印象と、各話の所感を下記にまとめてみる。

12話まで視聴済み:科特隊メンバーの印象

◼️アラシ隊員
 3話にてネロンガの電撃を直撃で食らうも、ものの数分で元気に活動していて度肝を抜かれた。どこで息をしているのかイマイチわからないウルトラマンでさえ苦しんだグリーンモンスの花粉攻撃にも、ちょっと苦しんだものの話の終わりにはもう元気だった。それもあって個人的に畏怖と尊敬を込めて「小さな巨人」「第二のウルトラマン」と呼んでいる。ウルトラマンを不死身の男とは思わないが(何しろ地球で活動できる時間が約3分なので)、アラシ隊員に限っては不死身だと心の底から信じている。
 カンストした防御力及びHPを持ちながら、銃の腕も確か。軽くチートしているのだが、それが鼻につかないところもアラシ隊員の美点である。来たぞ我らのアラシ隊員。ウルトラマンの存在意義がアラシ隊員によって潰される日も近い。

◼️イデ隊員
 我々はイデ隊員を通してアラシ隊員の強靭さを知る。アラシ隊員が何気なく振り上げた手にぶつかっただけで顎がどえらいことになっていた。
 怪獣以外が原因で怪我をすることが多いが、なんだかんだ必ず生還している。ドラゴンボールでいうところの、アラレちゃん枠なのだろうと思う。だから今後怪獣に踏み潰されることがあっても、ペラペラに薄くなってもまだ生きていると思う。
 どうもメカの発明?を担当しているらしい。アラシ隊員に及ばずとも耐久力、復活までの早さを思うと後方に置いておくのは惜しい。だから結構前線にガンガン出されるのだと思う。キャップの名采配。
 イデ隊員とアラシ隊員のフリートークは一時間通しでも聞ける。ずっと小気味の良いやりとりをしていて欲しい。

◼️ハヤタ隊員
 本作の主人公。上記の二人のクセが強過ぎ&ウルトラマンに枠を取られた結果、主人公のわりに存在感が薄い節があるが、一度喋ると彼も一筋縄ではいかない男なのがわかる。周囲の人間にウルトラマンのことを突っ込まれても、豪快な笑顔と体育会系のノリだけでうやむやにする様は圧巻。バグった度胸と胆力を持っているため、死線にも景気良く突っ込んで行くことが多い。そりゃ1話にして死ぬわ、とちょっと思う。

◼️キャップ
 上司というポジションにいるせいか、たまに「いやそれ死ぬやろ」と思う命令をサラッと下す。でも基本は冷静、後ろでどっしり構えている。そのためここで特に書き残すことはない。落ち着いた口調とか、個人的にとても好きなのだけども、いかんせん部下が個性と個性の潰し合いなのが。

◼️フジ隊員
 かわいいオブかわいい。女言葉なる喋り方は近年、途絶えたも同然だが、小説などで根強く残るようにこうして聞いていると耳に心地よくうっとりする。女らしくある必要はないけれど、良いものは残していきたいなぁと改めて思う。そしてフジ隊員とホシノ少年のやりとりがこれまたかわいいオブかわいい。私事ではありますが、おっとりとしたお姉さんと、ハキハキした少年のコンビが好きです。4話でフジ隊員がホシノ少年と泊まりがけで出かける展開は、嬉し過ぎて気が触れるかと思った。

◼️ホシノ少年
 はちゃめちゃに前途が有望過ぎる少年。早いところ入隊してフジ隊員とゴール員して、科特隊に衝撃を与えて欲しい。二代目アラシ隊員はホシノ少年だと思っている。次のアラシ隊員は君だ、ホシノ少年。

・1話所感:ウルトラマンがアメちゃん感覚で命を渡してくる

 冒頭の、ウルトラQからウルトラマンへタイトルが変わる映像は、実はあまり覚えがない。ウルトラQのタイトル映像が「恐怖!殺人ヤゴ!〜阿蘇山の死闘〜」的なおどろおどろしさがあるにも関わらず、まったく覚えていないので、私が幼少期に観た再放送のウルトラマンではカットされていたのかな、と思う。余談だが、殺人ヤゴは空の大怪獣ラドンで観れる。
 そして実際、ウルトラマンの主題歌が始まったら「ああ〜〜〜これこれ〜〜〜」となった。今見ても名OPだと思う。これを書いている時点で12話まで観たが、今のところOPは飛ばせず、ついついじっくり観てしまう。ビビットなカラーに黒一色の怪獣の影絵は見ていて飽きない。ラドンっぽい影があるとついそわそわしてしまう(当然違うと思うのだが)。ウルトラマンのシルエットが逆になんか怖いのもまた趣き深い。漠然と覚えていた主題歌も、今ならすらすら歌えると思う。
 早速、物語が始まったところで科特隊の電話の音がギドラで笑った。科特隊に捕獲されて電話にされてしまったんだと思う。そして例の如くハヤタ隊員が事故って死んでしまう。そしてこれまた例の如く現れるウルトラマン。
 ウルトラマン側に過失があるせいか、ハヤタ隊員に思うところがなくともあっさり命をくれる。ウルトラマン、命をポンポンあげ過ぎ問題。ハヤタ隊員との会話の中でウルトラマンが声を上げて笑うのだが、声が反響するせいか妙に怖かった。こんな笑い方をする人だっただろうか……。よく喋ることも驚くことは驚くのだが、帰ってきたウルトラマン1話を先に観ていたのでそこの驚きは薄い。
 そして何よりも、帰ってきたウルトラマンとこっちのウルトラマンの声が違う!!! やはり帰ってきたウルトラマンのウルトラマンは、ウルトラマンではなかった…(悲しみ)

・2話所感:バルタン星人怖過ぎワロタ

 2話で早速バルタン星人が襲来して驚く。ウルトラマンの記憶を封印した説のある私でも、いまだにちゃんと覚えていた有名な怪獣である。バルタン星人はパーツやモチーフを見るとそんなに怖くはない。しかし作中だと下手なホラー映画よりずっと怖い。バルタン星人の声は今聞いてもやはり怖かった。声が高笑いをしているように聞こえる反面、やはり人間の声ではないとわかるからだと思う。それがやけに反響してどこからともなく響くから、所在がつかめずなおさら恐怖を煽るのだと思う。また光の使い方が絶妙で、これまた恐怖を煽る。硬直した人間に緑色の光が当たっているのを見ると、ただごとではないのが直感でわかる。
 とにかく、バルタン星人をとりまくものは全て怖いのである。バルタン星人に乗り移られた人間が、それまで無感情ながら流暢に喋っていたのに、特定のワードになると口パクになるのが不気味さを煽る。しかもバルタン星人は1体ではなく億単位でいるのだと言う。観たのが早朝で良かった。夜中なら泣いてた。
 ビルの壁に落ちたベータカプセルを、屋上から飛び降りて素早くキャッチしてからのベータカプセル発動は熱い。あの効果音とウルトラマンの例の構図がアップになるだけでWhooooo!となる。
 幼児期の薄ぼんやりとした記憶では、ウルトラマンはバルタン星人にかなり苦しめられた記憶があるが、今回の戦いではわりとあっさりウルトラマンが勝っていた。幼児期ならではの体感時間の長さがそう感じさせていたのか、それとも別のシリーズのウルトラマンでの話だったのか、はたまた再登場があるのか。今後に期待である。

・3話所感:嘘だろ生きてる

 ネロンガ対策での「全国の発電所ぜんぶ止めるか」という案に、あ!シン・ウルトラマンで出たところだ!(チャレンジ風)となる。シン・ウルトラマンでは現実的ではないとやんわり却下したのに対し、「そんなことできるか」と豪快にぶった斬るのもまた小気味が良い。
 ネロンガ、当時から透明になれるらしく、感動する。そして送電所のミニチュアが恐ろしく精巧だった。どれが実物でどれがミニチュアなのか、咄嗟に見分けがつかなかった。しかしミニチュアは精巧であればあるほど破壊される運命(確信)。案の定送電所はネロンガにより見るも無惨に破壊された。
 そして伝説のワンシーン。アラシ隊員、ネロンガの電撃を食らって生きてる。ぐったりしていたのも数分の間で、すぐにしゃっきりするとばりばり仕事をしていた。それだけで驚きなのにホシノ少年がスパイダーでネロンガに特攻。しかもかなりダメージを与える。とはいえホシノ少年はアラシ隊員ほどの耐久力はなかったようで倒れ伏す。そしてウルトラマン登場。ウルトラマン、ネロンガに向かって胸を叩いて見せる。挑発的なボディランゲージにちょっと驚く。そんな好戦的な人だっただろうか……と物思いに耽りつつも、ネロンガを担ぎ上げた時のウルトラマンの後ろ姿が好き過ぎて、全部どうでも良くなる。しかしぐったりして動かなくなったネロンガに対しスペシウム光線をキメるのは、なかなかオーバーキル感があった。今作、アラシ隊員と言いホシノ少年と言い、全体的に戦闘民族度が高めである。伝説ではネロンガを倒したサムライがいるらしいし、ネロンガを前にすると戦闘民族の血が目覚めるのだろうか。

・4話所感:おいやめろ(自己犠牲)

 ラゴン回。ラゴン!? ラドンではなく!? 名前は似ているが姿はまったく似ていない。似ているのはむしろハマ……それ以上は言うまでもない気がするので割愛する。
 冒頭から派手に打ち上げられたロケットが、これまた派手に落ちるのでシュールで面白かった。そんな事件の中、フジ隊員がホシノ少年とお泊まりデート。科特隊が「なぁんだ」で済ましている前で、私だけが激しく動揺する。良いんですか。そんな美味しい展開、良いんですか。
 そしてラドンではなくラゴンが原爆を引っ提げて登場。あれやこれやあってアラシ隊員がビードルに乗って出動するも、ラゴンが吐き出す怪光線に撃ち落とされてしまう。その際、まったく心配する気にならないのが凄い。絶対大丈夫!アラシ隊員はこんなことくらいじゃ死なない! で、実際生きてる。しかも元気。さすがオレたちのアラシ隊員だぜ!
 それに比べてウルトラマンが出てきた時の不安感はなんですかね…。実際、ラゴンにくっついた原爆が爆発したらえらいことになるので、ウルトラマンも原爆を庇いながら戦うことになり、防戦気味に。辛くも勝利を収めるも、原爆が発動。地球を守るためにウルトラマンは原爆を手に宇宙へ…。
 そういうのマジでやめろ(迫真)
 とはいえウルトラマンも爆発する寸前で戻ってきたのか、ハヤタ隊員の姿でしれっと帰ってくる。ウルトラマンは生きてるよね、と尋ねるホシノ少年にハヤタ隊員は「彼は不死身だよ」と答えるが、それはアラシ隊員の耐久力を実際に持ってから言って欲しい、割とマジで。

・5話所感:今回も強いぞアラシ隊員!

 どういう精神状態に陥ったらそんな造形ができるんですか?という怪獣は多々あるが、グリーンモンスもその一つだと思う。虫系とはまた違った悍ましさである。手足がない分グネグネと動き、下手に俊敏に動き回られるより精神的にくるものがある。
 円谷あるある、怪獣サイズよりも人間サイズの方が怖い。前半部分のグリーンモンスのサイコサスペンスは、空の大怪獣ラドンの冒頭30分のヤゴ殺人事件並みにハラハラした。
 そしてまた例の如くグリーンモンスは紆余曲折を経て巨大化するのだが、アラシ隊員がグリーンモンスの攻撃の被害にあった。人間サイズ時で既に何人もの人間を殺していたグリーンモンス。怪獣サイズの攻撃ではさすがのアラシ隊員も…!と思われたがそんなことはなかったんだぜ。わりとすぐ復活する。そのあとグリーンモンスと相対したウルトラマンが、アラシ隊員も食らった花粉(?)攻撃を食らい、かなり悶え苦しんでいた。これを耐えた挙句、自力で復活したのかアラシ隊員。そういえばイデ隊員の顔にうっかり手が当たったら、イデ隊員の顎はえらいことになっていた。あとはその力を使いこなすだけだアラシ隊員! アラシ隊員が単独で怪獣を倒す日も近い。

・6話所感:なんかいろいろ自覚する回

 カカオ豆が大好きなトカゲと聞いてほっこりしていたら、海から半魚人が現れてびっくりした。え!?あれがゲスラなんですか!?
 ゲスラが海から現れたとあって、今回は足場が海になる。海の中をざぶざぶしているウルトラマンを観ていて妙にドキドキする。ハラハラの方のドキドキではない。もう薄ぼんやりと自覚していたが、多分初恋がウルトラマンなのだと思う。恋愛感情を理解する前にウルトラマンの後ろ姿に一目惚れしたものだから、今ウルトラマンの背中を見てもどきどきする。撫で肩気味で筋肉がついた男性の体が好きなのだが、そういう好みになる発端がウルトラマンにあると思うとなんだか感慨深い。いろいろと業の深さを実感する反面、全身スーツの男性が西壁にならなくて本当に良かったと思う。なってないよな? まだ大丈夫だよな???
 とりあえず、ウルトラマンがちょっと危うげなくらい足を上げて繰り出すキックが凄く好きだ。

・7話所感:やっぱりアラシ隊員は最強だぜ!

 いろいろあって飛行機が墜落。イデ隊員はそこそこダメージを負ったのに、やはりアラシ隊員は無傷だった。アラシ隊員、お前がウルトラマンだ…。
 失われた都にて、人々に信仰されるウルトラマンの像を発見。名前はノア。ウルトラマンノア…。平成ウルトラマンにもういそうな名だ…。ちらっと友人から聞いたところ、実際もうウルトラマンノアは存在するらしい。いつ出てきた存在かはまだ調べてないので知らないが、能力がとんでもないことだけは聞いた。さすが唯一神までになったウルトラマン。そのウルトラマンが残した青い石は怪獣アントラーを都に近づけさせもしないそうなので、きっと現ウルトラマンに力を与えてくれるんだろう、そう思っていた時期が僕にもありました。
 ウルトラマンのスペシウム光線を耐えたアントラー。今こそ青い石を使う時! そして投げた! 当たった! 爆 発 し た。
 沈むアントラー。スペシウム光線さえ耐える外装をしたアントラーを一撃で沈める青い石(能力:爆発)を置いていったウルトラマン。果たしてどういうつもりだったのか。そんなやべーもん説名なしに置いてくなよ、とちょっと思う。
 ところでアントラーの鳴き声が妙にラドンに似ていた気がするは気のせいか。私があいつの鳴き声を間違えるはずがないんだ!

・8話所感:怪獣無法地帯。私の好きな言葉です。

 タイトル通り無法地帯。もはやスタッフロールに出てくる怪獣の名前が、どの怪獣にあたるのかだいたいかわからない。とりあえず、頭が異様に小さい恐竜めいた怪獣が、レッドキングであるのは覚えていたからわかる。なんとなく、レッドキングは暴力的で恐ろしいイメージがあった。この回を観たからそんなイメージを持っているのかもしれない。相手の腕を引きちぎるレッドキング。当時の作品だから血に配慮がない。怪獣はだらだらと血を滴らせているし、レッドキングもその腕をぶん投げる。怖いよぉ😭
 崖の下で倒れ伏すハヤタ隊員の元に、キャップが駆け寄ろうとして崖がさらに崩れるシーン。崩れた岩や石がハヤタ隊員の元まで転がるのが丁寧に描写されていて、うっかりそれがハヤタ隊員へのトドメになりそうで笑った。
 そしてピグモン初登場。人間サイズの怪獣はだいたい不気味なのに、ピグモンはなんか可愛い。中の人の動作と演出による印象操作の偉大さを知る。
 暴れ回る怪獣をウルトラマンが武力で鎮めた後、先発隊で惜しくも亡くなった人々の弔いをする。しかしそこにピグモンはいない。どうもウルトラマンが武力制圧する際に巻き込まれたっぽいシーンが映るだけで、その後言及はない。そんなピグモン…。時々で良いから、いなくなってしまったピグモンのことも、思い出してあげてください。

・9話所感:ウルトラマンがヒラヒラを必ずむしる件

 あ!シン・ウルトラマンで出たところだ!(チャレンジ風)のバージョン2。ガボラの第一形態を見るとついうっかり「エヴァっぽい」と思ってしまうが、実際は逆である。作品の制作年数に関わらず、自分が見た順番でそう思ってしまうのはなんか面白い。
 怪獣が市街地で暴れると「予算の削減かな」と安易に思ってしまうが、別のところにお金を使っただけだった。今回は実物のヘリコプターが飛ぶぞ! ウルトラマンは毎話新しい試みをしてくれるので、連続して観る側としてはまったく飽きずに楽しめる。おかげで空き時間という空き時間、通勤中も休憩中もウルトラマンを観るような生活になってしまったが。
 ところでこの後の10話でも気になったのだが、ウルトラマンはヒラヒラしたものを見るとむしらずにはいられないのだろうか。後述のジアースの襟巻きのむしりっぷりが凄まじくて失念していたが、ガボラも顔を覆っていたヒラヒラをむしられていた。血が滲んで結構痛々しい。

・10話所感:ウルトラマンが軽くサイコパスな回
 ジラースの鳴き声がゴジラだなと思ったら、姿を見たらやっぱりゴジラだった。そしてウルトラマン版ゴジラの育ての親であるマッドサイエンティストの化身みたいな博士が出てくる。博士は怪獣映画好きの集合概念とも言うべきキャラクターだった。かくいう私も映画ジュラシックパークからジュラシックワールドを経て、恐竜至上主義の右翼になった女である。恐竜が現代に蘇ったら「地球を恐竜に返すべき」「人類は滅びた方が良い」という思想を掲げるタイプのやばい環境テロリストになる予定だ。だから博士のセリフの大半は、強くうなずかずにはいられないものばかりだった。
 博士は迫り来るジラースに踏まれ(実際にそのシーンはないが、とりあえずジラースで何かしら大ダメージをようだ)ても、ウルトラマンに倒されたジラースの元へ、ジラースの名前を繰り返し何度も叫びながら這う姿は胸を打たれた。怪獣に手を噛まれても恨むことはない。怪獣好きのあるべき姿である。
 それはさておき、10話のウルトラマン、いつになくテンションが高かった。たまに胸を叩いて怪獣を挑発することがあったが、今回はその身振りがオーバーだったし、「来いよ」と言わんばかりに手招きもする。普段は「ジュワッ」「ゼアッ」くらいしか言わないのに、前述の叫びに加えて高笑いもしていた。現時点で12話までウルトラマンを観たが、ウルトラマンが高笑いしたのは今回が初めてである。その後の11話、12話では笑うそぶりもない。挑発はそれだけに留まらず、ジラースの襟巻き部分を剥ぐに至る。ジラースにとって襟巻きは取り外しできないタイプのもののようで、剥ぎ取られた部位からは血が滲む。首の周りをべりっと引き剥がされたようなものなので、ガボラのようにヒラヒラが四枚あってうち何枚かを剥がされるより、ずっと痛々しい。ウルトラマンは襟巻きをジラースから剥ぎ取って何をしたかというと、まさかのマタドールである。ジラースを相手に、本当に闘牛みたいなことをする。そうして散々マタドールしたあと、ジラースが倒れ伏すとそこへ剥ぎ取った襟巻きをジラースの上にそっとかけていた。いやどういう感情よ。
 急展開過ぎて、ウルトラマンが「まさか本当に死ぬなんて……」をしているようだった。ジラースはスペシウム光線を耐えたあと、まさかの手刀で倒れ伏したので、なんか本当にそう見える。
 ジラースの元は明らかにゴジラである。スター選手を前に、冷静でいられなかったのかウルトラマン。その胸中はウルトラマンのみぞ知る。
 話はそれるが、ジラースは顔つきからして三大怪獣 地球最大の決戦あたりのゴジラのように見える。ラドンもそうだそうだと言っていますのあの映画である。つまりはラドンも同時期に作り直されている筈だ。ゴジラのように、姿を少し変えてウルトラマンと戦って欲しくあるが、10話のウルトラマンのはしゃぎっぷりを見ると一抹の不安が過ぎる。ラドン、手羽先にされたらどうしよう…。

・11話所感:私は何を見せられているんだ

 狂気度が高かった10話。続く11話はちょっとは落ち着くのかと思えば、別路線で攻めてくる。11話、10話と打って変わって陰鬱さはなく、なんだか可愛い。なんにで変身する鉱物が空から降ってきた、という設定だけで妙にワクワクする。その鉱物が怪獣に変身して暴れ回ってしまうわけだが、鉱物を怪獣に変身させた男が悪いのであって、怪獣自体は望まれるまま暴れているだけだからか、ハヤタ隊員はウルトラマンに変身してもなかなかトドメを刺そうとしない。また今回の怪獣のギャンゴが、幼稚園児がクレヨンで描いたようなテイストがあって、動作が逐一かわいい。頭の横に生えたツノ(?)がぐるぐる回っているのはこれまでの怪獣になかったものである。しかしなんだか可愛いそのツノは、ウルトラマンによってへし折られるのだが。
 悪戯心から生まれた怪獣だからか、ギャンゴは馬鹿正直に攻撃するばかりではない。ウルトラマンにフェイントをかけてしゃがみ込む。で、ウルトラマンは勢い余って海に落ちてしまう。そこまでならいつも通りのアクションなのだが、ウルトラマンは怒ったのか海の水をギャンゴにばしゃばしゃかけ始める。何その海辺のカップルみたいなじゃれあい。私は何を見せられているんだ…。
 10話から困惑が止まらないが、とりあえず11話ではアラシ隊員がスペースガンで遠く離れたスイッチを撃つ離れ業をやってのけていた。凄いぞアラシ隊員。攻守共に最強だアラシ隊員。

・12話所感:ケツ叩く必要あった?

 円谷名物・人間サイズの方が怖いアレ再び。ミイラとのことだが、顔がとてもピグモンに見える。ピグモン系の人相はなんとなく不幸なのか、寝ているところを勝手に連れ出され、だから元の場所へ帰ろうとしたら邪魔される。最終手段として愛馬(?)を呼んだら、愛馬の目を潰されてしまうという。
 これまでゴジラシリーズをメインにいろんな東宝怪獣映画を観てきたが、馬のような造形の怪獣は初めてである。おーどうやって動かしてるんだろ、と感動した矢先、ウルトラマンがドドンゴの背中に跨った。え、乗るんだ……と思ったらドドンゴの尻を手で叩いてドドンゴを竿立ちさせていた。馬バージョンのロデオをやるウルトラマンを不思議な気持ちで見つめながら、なんとなくシン・ウルトラマンで浅見女子が神永のケツを叩いていたのを思い出した。男性が女性の腰回りを叩いたらセクハラだが、それは女性から男性でも同じである。だからドドンゴにもやっちゃダメな気がする。なんとなく。
 この回でようやく科特隊からハヤタ隊員=ウルトラマン説が出る。これまで、それっぽい指摘が出てきてもまるで動揺せず豪胆さを見せつけたハヤタ隊員なので、今後どう豪快に誤魔化しきるのか、今から楽しみだ。

総括

 昔好きだった人を美化する、ということがほとんど無い人生だったのだが、ウルトラマンに対してそれを実感している。私の中のウルトラマンはいかなる苦戦を強いられても高潔に戦い方をする孤高の人であったが、12話までぶっ通しで見たらかなりアグレッシブだった。相手の怪獣を挑発するシーンなど微塵も覚えていなかったので、ウルトラマンが胸を叩く素振りを見せるだけで驚いてしまう。この人、そんな人だったかな……と思うことも多いが、挑発的に手招きする手つきなどがそこはかとなく優美なので、所作の美しさは記憶のままだな、とちょっと感動もしている。
 今後はなるべく各話を観るごとに、都度所感を認めたいと思う。ウルトラマンが面白過ぎて観るのを優先したら、ただの所感が総合的にえらい長さになってしまった。それも仕方ない。正直こんなん書いているより、ウルトラマンを観たい。どの話を見ても新たな試みがなされていて、今の所まったく飽きないのである。未就学児の幼女にしてみたらそれはもう刺激的で病みつきになるだろう。あれほど観たかったウルトラマンが、今では500円で見放題だ。それも今らなら5月限定で無料で観られる。凄い! 今すぐ登録しよう、ツブラヤイマジネーション!(布教)

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