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日向子と過ごす最高の1日

 朝、5時に目覚めておはようと言葉を交わす。前日の夜は疲れすぎて22時ごろに2人とも寝ついた。今日という日はとても長い。


 卵を割ると、命になれなかった2つの黄身がベーコンの上に出て来た。クレイジーソルトがなかったから、黒コショウを振って半熟のめだまやきを作り、黄身の境目で半分に割る。トーストしたおいしい食パンにのせて2人でコーヒーとともにモーニング。

食卓の真ん中には素敵な花瓶に、摘んできた野花がいけてある。外では雀とトンビが鳴いていて、大きな窓からは柔らかな日差しが入ってくる。天気もいい心地のいい温度だ。


 朝ごはんを食べ終わると、2人でサンドイッチを作る。レタス、トマト、ベーコン、めだまやき。ホイップ、いちご、きうい。魔法瓶にアイスストレートティーを注ぎ込んでレジャーシートとシャボン玉を持って自転車に乗る。大きな誰もいなさそうな公園に行き、レジャーシートを広げて日向ぼっこをする。

そよ風が心地よく、アリと戯れる。近くで遊んでいた子どもたちや犬と一緒に遊んで、私のウクレレで日向子と歌う。いやになるほど歌ったら、お昼のサンドイッチを食べる。おなか一杯になったところでうとうとしてきて木陰に移動してお昼寝をする。

気が付くと18時。夕日がきれいだね~と言い合い、海に行きたくなった。
海の夕日ってきっときれいだよね。


 海に自転車を走らせる。日向子は私のスピードに追い付けない。「待って~」すら聞こえないところまで来てしまった。無我夢中だった。日没が近づく。汗をたらたらと流しながら、太陽のほうに、海のほうに走っていく。

結局、夕日にはぎりぎり間に合わず、沈み終わった夕焼けを二人で眺めていた。また歌う。叫ぶ。

「もう生きたくなーーーーいいいいいい!!!!!」

2人で叫んだ。普段は言いにくい社会の生きにくさを叫んだ。どうしたら私たちが、この後生まれてくる人類が生きやすいかについて語り合った。

愛は偉大だという結論に至った。いつもこうなる気がする。でも、愛を感じ取れて伝えられる私たちはとても幸せだと思う。こんなに素敵な子と、友だちでも恋人でもない関係(相棒、なのかな?)になれて心底嬉しいと感じて涙が出てきてしまったけど、日向子には見つからないように拭った。


 日が暮れて海辺は少し寒くなってきたから、雰囲気のいい洋楽を流しながら自転車をゆっくり漕いで帰ることにした。スーパーに寄って、数日分の食材を買う。

お菓子コーナーに行くと無性に甘いものが食べたくなり、いったん家にかえってそれでも食べたければ買いに来ようと話し、帰宅。お互いのやることやミーティングなどを済ませると時間は22時半。やっぱり甘いものが食べたい。

欲に負けてしまい、1人2000円を握りしめてスーパーまでお散歩がてら戻る。駄菓子コーナーでありったけのお菓子を選んでかごに詰め、お酒コーナーで変なチューハイを買って気づく。持ってきたエコバックは明らかに小さすぎて、入りきらないということに。詰め込めるだけ詰め込んで、レジ袋代がもったいないからと言って手に何本もチューハイの缶を抱えてスーパーを出る。


 星がきれいだ。

近所の公園に行き、ベンチにお菓子を並べて視覚的にも満足をする。変なチューハイを飲みながら、今度からは飲みなれてるやつを買おう、と言いながら駄菓子を食べ進める。夜ご飯を食べそびれているから、駄菓子なんて余裕でペロッと食べてしまう。

ほろ酔いの中、2人で好きな人たちのことをどれだけどこが好きなのかを語り合う。お互いの交友関係は把握しているし、まじりあっているところもあるから共感ができてとても幸せに感じた。

結局は、高校時代の担任の話になってしまい、「どれだけ好きなのさ笑」とセルフツッコミをする。私も彼みたいな大人になりたい、と思うから、必死に話して当時の感情を忘れないようにする。

 気づくと外がだんだん明るくなってきた。次の日は何もない日だったからいいけど、少し寒いのと眠気に襲われて家に帰り、毛布にくるまる。どの季節も毛布のあるお布団は私たちのかえる場所である。

 1日じゃ足りない、ぬるく時間が流れる日常を過ごしたい。早く日向子にあいたい。






 何でもない、こんな日々が、ゆるやかに人生になっていってほしい。

 今日、21時40分に甘いものが食べたくて通話中だった日向子に、1000円分のお菓子を買ってこない?と提案した。1週間分の食費。閉店10分前に加護に詰め込む甘いものたちに私はドキドキしていた。日向子の向こう側から蛍の光が流れる。

「閉店、23時だと思っていたら22時だった~」

日向子らしいな。

「悠葵を感じるために、家にラムネ買いだめしているんだよ」

私の好きなお菓子はラムネ。日向子の好きなお菓子は板のホワイトチョコ丸かじり。私もたまにホワイトチョコを丸かじりして日向子を思い出していた。
帰り道、日向子に会いたくて泣きそうになった。

数日前、こんな記事をみつけた。

https://note.com/nontsu/n/nf0dcfcfeebdb

これを真似して、日向子との最高のいちにちを、甘いものをむさぼりながら書こうと決心すると、彼女もまた書いてくれた。

原本をお互い音読し合い、少し(かなり)恥ずかしくなりながら自分で校閲をして今に至る。

日向子とは高校1年の秋頃から徐々に仲良くなり、高校3年生の時は登校はあまりなかったものの、長い時間を共有した仲だ。
辛い時も苦しい時も2人で「思考Time」(お互いの感情を整理し合う時間のこと)を繰り返してきた。

あなたが死ぬ時まで、しあわせでいることを願うよ。

日向子はとても素敵な文章を書く子です。
彼女も、「悠葵と過ごす最高の1日」を公開しているので是非見てください。

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・note
https://note.com/djrjfkskaka

・Twitter
https://twitter.com/hyoko_chi_ango?s=21

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