免許合宿、二人で行き一人で帰る③

第三回です。

不合格の決定打は突然だった。

信号が手前で黄色に変わった。普段ならそのまま進む程度のタイミングだったが、ミスが続いていたため止まっておこうと思い、ブレーキを踏んだ。

しかし雪で滑り、すぐに止まることが出来なかったのだ。教官の「ちょっとちょっと!」の声を聞きながらずるずると滑り続け、停止線を過ぎてしまった。その時、私の頭の中は、

(停止線の減点は大きい。まだ信号も赤になるかならないかのところ。ならば、そのまま発進してしまえば良いのでは)

もはや訳がわからないが、もうすでに頭が真っ白になっておりアクセルを踏み、信号を通ろうとしたところで補助ブレーキ。信号無視で不合格となった。

その後、教習所に戻ってきて縦列駐車をするのだが、

「君は不合格だからもう降りていいよ」

と言われ、一人車を降りたのであった。

合否の電光掲示板に一人だけ番号がない絶望は、なかなか味わえないものであろう。当然、一緒に来ていた友人は合格しており、友人はそのまま帰宅、私だけ延泊が決まった。

宿泊所と教習所は少し離れており、バスで移動していた。検定日には、すぐに帰れるようにすべての荷物を教習所に持ってきていたので、

私以外の目的地→最寄りの駅

私の目的地→再び宿

という屈辱的なものであった。さらに、友人と二人部屋だったが、いったん引き払っているので、一人部屋を貸してもらうことになった。

「あの、落ちてしまったんですが、ご飯とかって」

と聞くと、

「食べてっていいですよ、明日は頑張ってくださいね」

と言われ、部屋に戻ってからマジのガチで号泣してしまった。

同じ宿のはずなのに、一人で食べるご飯は全く違う味がした。



翌日無事に合格した私は、バスに乗り込むときにバスのおっちゃんに

「やっと受かったか!良かったな!」

と言われかなり恥ずかしかった。ただ、本当に一泊で済んで良かったと思った。

一緒に来た友人もかなり複雑だったと思うが、今となっては笑い話になっている。

免許合宿、二人で行き一人で帰る。あまり友人と免許合宿に行くのはおすすめしません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?