『武器としての決断思考』京都大学客員准教授 瀧本哲史
決断するときの思考法をみなさんはお持ちですか?
僕は、いつも成り行きで考えがちな安易さを”行動力”と言って調子乗っていました、大学生の平井宏明です。
今回も読書メモを書き連ねて参ります。
【この本を選んだきっかけ】
個人事業主として人と働いていると、常に決断する機会があるんですがノリで決めまくっていると大変なことになることがしばしば。
面倒になると決断が雑になってしまって、人が離れそうなことすらありました。
僕がやっているビジネスはスモールビジネスと言われる、かなり再現性の高いモデルなので失敗するリスクをある程度下げることが可能です。
可能なのですが、最近は失敗することがしばしば。
そこで、「決断」についてしっかり考えたい。そう思った時にこの本と出会いました。大学でディベートを部活でずっとやっているので、瀧本先生がディベートの権威であることも要因となりました。(一回生の時に出会いたかったw)
【読み終えた感想】
ディベートしてたからノウハウはあると思っていたが、再確認できたことがよかった。論理的思考力って言葉は巷で簡単に言われがちだけど、「実際に使っているだろうか?」と自分に問いかけるきっかけになった。実際、行動力!行動力!って自分に鞭を打つときに、安易さだけが発動して、ノリで動いてしまっていたのが大きな反省。客観的なデータを見て、価値観に沿って決断する、というのが正しい順序なはずなのに、逆だったことが若干後悔していることだ。この本は絶対後輩にお勧めしたい本になった。老若男女問わず、皆さん位読んで欲しい一冊です。
【読書メモ】
若者を先生は、”ゲリラ兵”として表現しています。変化の激しいこの時代でも、経済システムがまだまだ世界の潮流に迎合できていない会社は多く存在していて、気づかないうちにその渦中にいて、そのまま流されていく。つまり、上の世代の作った経済システムの奴隷となる。京大医学部の学生でも、焦ってビジネスの授業を必死に受けているとのこと。
「逃げ切り」ができる時代は終わったのです。従来の固定的な価値観、レールなどの概念では太刀打ちできないようになってきています。
だから、自分で決めなければならない。投資家でもある先生の言葉には1つ1つ重みがありますね。でも、多様性が生む複雑系の中で生きる私たちは、なかなか未来予想はできない。
現時点での最善策であれば、考えることができる。本書のテーマですね。ゲリラ兵が戦っていけるような、武器としての決断思考をインストールすることが必要となっています。
人材価値が高い交換不可能人材の特徴としてあげられるのは「知識・判断・行動」が三位一体となって実行したことが経験となって積み重なっていて、これらをもとに相手のニーズに応えることができる人材。これを先生は「プロフェッショナル」と呼んでいます。『金持ち父さん貧乏父さん』でもこの話は出てきていましたね。ただ単に一つのことに専門的に頑張っても、その界隈でしかなかなか活躍できないのでリスクが高い。他の場所でも活躍できる「はじめは浅くてもいいから広く知っていて実践して経験している」全体を把握してモノが言える人間であれ。
そのために必要な論理的思考力とはすなわち、両方の立場で物を考えることができる、意思決定の力のあるディベーターが持つディベート力である。一人で考えていくとどうしても今のポジションから見えることだけ思考してしまって、認知の歪みから最適解をそもそも導くことができなかったりする。「知識・判断・行動」の3要素を分けて考えてそれぞれ成立して初めてコントロールできると知っておく必要がある。
そうすると、「判断は非常に大切なんだな」ということに気づくであろう。なぜなら、行動が変わることがわかるからだ。滝本先生はここで1つ大切な指摘をしている。それは、結論を必ず得ることだ。当たり前だけれど、大概の会議でできていないことかもしれない。たまに会議に呼ばれたりすることがあるのだが、驚くほど物事が決まらないがみんな満足して終わってしまう。そこにルールがないから無秩序に誰かが話して混乱して終わる。そんな無意味なものが世の中にはたくさんあるからこそ、自分でコントロールできる力が必要なんだな、そんな風に思った。
判断をする時に必要なのは、「膨大な準備と根拠」だという。誰が言ったかではなくて、何を言ったのかだけが大切だと知っておくだけでも根拠を大切にできる人になれる。だから、結論よりも考えの筋道を大切にすれば良い。正しいと思えば結論は変えても良い。ぶれろ。
結論を出すためには主張を作って反論とぶつけて最後に比較することがマスト。すなわちディベートをすることなのであるが、主張の作り方、というか、立論の方法論を学ぶ必要がある。
論題は二者択一できる具体度にする。
何がどれに影響を与えるか、リンクマップを作って、分かれた複数の論題について考える。
メリットとデメリットの比較して決断するのがディベート思考。
メリットとは、
1問題があり、2それが深刻で、3論題の示す行動によってその問題が解決する、の3要素が必要。2について、なぜ問題で、どう問題なのか説明しなければならない。3について、詐欺師は3を朧げにして騙そうとしてくるので、話を聞くときは解決するのか聞くべし。
デメリットとは、
1論題の行動をとることでどのようにして新しい問題が発生して、2その問題がどれくらいやばくて、3今同じような問題が他に生じていない、という3要素が必要。また、否定側の別のアプローチとして、機会費用という考え方がある。もったいない精神、として考えると覚えやすい。論題の行動を取ったが故に実現できないこと、要するに機会損失のこと。
反論とは、仮説の検証段階であって論破ではない。メリットデメリット、それぞれの立論について3要素全てを満たしているかどうかチェックする行為のこと。反論に返せなければならないからこそ、立論には準備が必要。誰ではなく何を言ったかが大切なので、根拠をしっかりつけて反論しないと仮説の検証には至らない。
できるだけ多くの視点から考えることで、客観的で正解に近い主張(今の最適解)を出すことができる。漏れなくダブりのない最適解を出すべし。
根拠があって反論にさらされたが耐えた主張こそが正しいとされるものであり、ありとあらゆる論文の評価もこれがベースになっているように思える。逆の意見を探して検討することによって、正しさを検討することができる。これはディベートにおける、肯定側否定側に分かれて物事を考える、ディベート思考である。
さらに重要なことがある。それは、根拠と主張の間には、主張の前提として存在する考え「推論」が存在する。これは法的三段論法という名前で、判決を構築する論理に使われたりもするくらい確からしい流れ。この「推論」はよくよく考えないと出てこないものであり、WHY「なぜそう思うの?」というツッコミが推論を見つけるのに効果的に働く。なので、相手の話をまずまずはちゃんと聞き取ることが大切となる。理由を問いながらしっかりと聞くことで、効果的に相手の話を聞き出すことができるでしょう。
推論について。
3つの種類がある。演繹、帰納、因果関係。
・演繹とは:一般的な前提から論理的推論によって個別の結論を作る手法。詭弁を生み出しやすい。必要十分条件であるか、漠然とした言葉はないか、前提は間違っていないか確認すべし。
・帰納とは:個別的事象から推論して、一般的な結論を生み出す手法。イメージ的には、個人的には、数学的帰納法を思い出すと良い(が、実際は演繹法であるがここでは解説しない)と思う。個別的な事例をあげまくっても、絶対的な正しさを生み出すことは不可能であることが最大の欠点。
・因果関係とは:原因Aがあれば、結果Bがある。このAとBには因果関係がある、と表現する。時間軸的に、原因が結果を先行するわけがないので、この時間順序を確認することで過ちの指摘ができることが多い。相関関係と因果関係を取り間違える人も非常に多い。多数の要員のうちの一つの要因だけにフォーカスして語っていることもある。実際に、英語ディベートの現場で多くこの事例を見てきた。政策Aを実行したところ、数%〜が上昇した、みたいなエビデンスがたくさん出てくるのだが、大概相関関係を語る、もしくは、多数の要員のうちの一つの要因だけにフォーカスして語っていることが大概であった。
要するに、推論に目を向けることで反論が可能になる。
みんな何かしらのポジションについていて、何かしらのバイアスにかかっているので、全てがポジショントークであることを前提に考えながらデータを集めたり、主張の根拠を見つめることが重要。例外を見つけることで、真実に近づくことが容易になるため、お話を伺う際は全裸になることがよしとされる。自分のガードを限界まで下げることで、相手の話をたくさん聞けるので、例外も教えてくれる。このように、情報を疑いながら自分の頭と足で撮りに行った情報が一番価値のあるものだ。
最後は主観で決めるべし。判断の題材だけはしっかりと根拠のあるものにして、最後は価値観に任せて納得できる幸せな決断をしよう。主観→客観で決定するのではなくて、客観→主観の順番で決断することで、その時の最適解を叩き出すことができる。
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