書評 いますぐ書け、の文章法 著:堀井憲一郎

文章をいかにうまく書けるようになるかを探し求めてこの本にたどり着いた。
そもそもこの考え方自体が間違っていると冒頭から指摘を受けた。
自分本位になって、読む人側の目線が書けている。
文章はいわば「俺の話を聞け」就職活動のエントリーシートでいえば「自己アピールを勝手にしまくる」のではなく、読んでくれる相手が誰でどういう目線で読もうとしているかを考えることが大前提であり最も重要なことであるという論理が本書全体を通して書かれている。
美しい文章、整った文章は目的ではなく、読み手に読んでもらうための手段。美しい文章とはいわば、茶道。お茶を飲む際に、茶道を学ばなければお茶の美味しさを伝えることができないのか。そんなことはない。

では、どうすれば相手目線を身につけることができるか。特定の人を想像すること、そしてその人を笑わせようとすると筆は捗る。
なぜなら、笑わせることは相手の気持ちを考えることにつながるから、自分から離れた伝え方をしやすい。
書くことで読み手の行動や考え方を変えることが文章を書く目的であり、迷ったときに立ち返る視点。

オリジナル作品や自己の主張を文章で伝えることについて
ミュージシャンや漫画家などのアーティストが葛藤することがあるが、完全なオリジナルは存在しない。あくまでも先人の書いてきたことをすべて理解し、踏まえた上で、自分なりに感じた一つの部分だけを掘り下げる。それこそがオリジナリティを出す道だ。そもそも、自己主張をしたい人は物書きには向かない。読み手があってのものだから。

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