見出し画像

まんぷく俳句 12月

12/1
夏暖簾くぐり新人仲間入り
夏帽子扇ぎ販路のみちを説き
不満消し光りさす底昆布採る
夢待ち人夏の暁現われし
12/3
夏日影連行の縄長く伸び
汗匂う顔写真悪者風
暑き日や触れぬほどの鉄格子
炎昼や尋問待つ牢屋荒む
12/4
熱帯夜尋問続き夜明けまで
夏の宵鉄格子きる内と外
カマス詰め晩夏の風が後押して
夏の風MP入りて暑さ増す
12/5
夏の浜現場検証何も出ず
手榴弾爆発あとの夏の凪
夏の牢屋熱弁激し温度まし
真夏日の熱きラーメン啜れども
12/6
真夏日や練り訴えしチンドン屋
夏昼日面談室に空がなく
夏の浜魚遊泳試し打ち
真夏の夜直訴練習英会話
12/7
晩夏なり先祖を語り始めるが
夏衣人を英語で語りけり
夏深し赤子背負いてラーメンを
汗疹掻き忍ぶ心に鉄格子
12/8
傘や云う晴れは青空梅雨は売れ
秋近し手榴弾魚獲り
夏の夕夕焼け小焼け口ずさむ
秋を待つ晴れて解放門で待つ
12/10
秋の朝嬉しさに水停止とは
秋の浜これが潮時塩作り
肖像画秋の光を増し返す
秋晴れや心新たに業種変え
12/11
秋の浜赤錆鉄板朽ち果てず
秋の声チェックのスカート翻し
夜なべの手昆布のだしを提案へ
重陽の日東京進出決める味
12/12
販促や秋の東京種を蒔き
秋の服誓い言述べ指切りを
窓の下秋草ながる東京へ
秋高し煤けた顔が帰りけり
12/13
今朝の冬出陣式ぞ奮い立つ
小春に日より好評多し試食会
冬浅し赤いポストが招く縁
レコーディング冬の初めのふるえなり
12/14
夜半の冬ふたたび会いしラーメン屋
贋物と春の嵐の如きこと
春の闇ドラフト音が響きあり
第二子の懐妊しらす春の朝
12/15
春の曙窓を占めるは大き富士
春の宵ラーメンすする宴かな
宵の春はかなき想い流れ去り
春の朝不吉な電話鳴り響き
12/17
一休み刑務所にも夏が来て
夏の朝おして面会身重の身
夏の雨愛し人いる窓の下
朝涼や網戸越し触れる手熱き
12/18
秋の空倒産危機が迫り来る
秋の雲見せしめの為収監
憲兵裁判所秋曇の日覆せず
秋日射す網越し妻が目に頼み
12/19 
細声の別れ言葉に秋の色 
秋寂し塀の中にも陽はさせど 
秋日和腹の子蹴りて父待てり 
秋日影涙流してさいならを
12/20
秋の浜眠る背の子髪靡き 
網越しで税対策を説く秋日 
秋日射す全てを消して生き残り 
秋の浜思い出多く春の浜 
12/21
秋の色気概へ頼む生き残り 
秋寂し主居ぬ部屋塵もなく 
秋日落つ病が人へ頼み事 
秋高し占い人が指す未来
12/22
秋半ば一人一人に別れ告げ 
二百十日網越し交わすハイタツチ 
秋の昼差し押さえには空き家かな 
秋の声戦い始め意気聞こゆ 
12/24
冬ざれや枕辺話生きてこそ
底冷えや交わす眼差し胎児蹴り
冬の夜別れ言葉にのびるメン
冬の朝請われ指先アトリエに
12/25
鋤焼きと極上肉を手に入れど 
寒し昼産声高きもみじの手 
露こほる踏み込む土足差し押さえ 
深雪晴れ笑みを絶やさず来るを待つ
12/26
薙刀稽古武士の娘が冬日向 
冬日和カレーが会わす友の数 
吉凶や刑務所にて冬麗 
凩へ戦い進む息白し  
12/27
日向ぼこ見つけ感涙光る人
寒き朝家宅捜査の扉開き
冬日和続々察し集まりて
決意して戦い続け寒日和
12/28 
春を待つ釈放策練る座敷
冬終わる戦い続行終わり無く
春動く指を握らせ道を決め
牢屋から出る父の上桜咲く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?