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なつぞら俳句 6月

6/1 
夏始め母の絵飾る社長室 
梅雨あがる北の家族が写真見て
夏の昼柳行李を押し入れて 
黄色着て気合をいれて夏の朝 
6/3
入社日手順いろいろ秋の朝
秋気澄む初彩色手が震え
飯食わず絵コンテめくる秋の昼
秋麗パンダ飛び出たセルの色
6/4
秋夜更け確かめ仕舞う赤暖簾 
秋の朝夕べの汚れ掃き集め 
秋陰り湖上の人追いたしも 
秋日和派手なドレスに妬く一人
6/5
ドレス替え秋づく街にそぞろ出る 
秋半ば電気スタンド筆はしる 
昼休み秋澄む庭にてコッペパン 
筆すすむヘアーバンドもうそ寒し
6/6
秋の声絵の具が染みる白い生地 
動画机季節忘れに秋の声 
秋深し所長室が灯れども 
秋気澄むランチのカレーみどりなり
6/7 
天高し赤青光る陶器椅子 
冬支度ポスターを貼るヤニの壁 
芸術祭農を語るや悩み人 
牧閉ざすキャンバスに描く恋ひし人
6/8 
雪の中心はいつも十勝晴 
凍む夜や愛の告白一芝居 
冬の陽やアトリエ染める茜色 
友に告ぐここに生きると寒し夜
6/10
忙しもトレース室に春心 
春愉し新婚旅行新宿へ 
おみゃげにバター馬鈴薯木彫り熊 
新宿で見上げるあおい十勝の月
6/11
胸熱くノラいえを出る末の秋 
千秋楽芝居へのこころ抉られし 
秋気澄む線のトレース十五枚 
長き夜人の描写積もる紙
6/12 
秋に入るトレース技術極めんと 
秋の昼ポニーテールを絹の布 
秋の宵古い葉書にある住所 
新宿のネオン映す瞳も秋の色
6/13 
秋晴るるスケッチに励む昼休み 
アテレコに挑む声音も秋深む 
秋の風彩色室に吹き込みて 
服変えて秋更く夜も描く線画
6/14
爽節や試験に挑む赤い服 
おでん屋でかわす会話にヒントあり 
手紙読む十勝の地には秋があり 
秋深し納戸で踊り失せぬ意地
6/15  
夏来る新たに募集キャラクター 
北の母思い起こすは夏の宵 
八月十五日服を選びて会いに行く 
振り返る妹につきさす熱き日よ
6/17
真夏日の妹いぬ家へ訊ねども
炎昼や何処をさまよう妹の足
夏の夜窓辺の手すり妹想う 
夏の夕万年筆と手紙来て 
6/18
バースデーケーキ一日遅れ夏の味 
励まさん簾戸開けて兄心 
網戸より妹が姿を描きとめん 
夏暖簾払いて朝の新宿へ
6/19
夏の朝青いスカート翻し 
夏さなか常盤御前のキャラ決める 
半夏生中庭でパン餡甘し 
ヘアバンド青く光るや夏の昼
6/20 
プレゼント渡し一杯冷やし酒 
簡単服手紙すかして子をおもう 
秋はじめ妹に伝えんポスターに 
秋涼しカチンコの音スターの目
6/21
秋の朝仕事始めの穴合わす 
トレース台指摘身に入むアニメとは 
うすら寒中庭で飲む牛乳 
秋なのにセーターみどりアニメータ
6/22
入団に一生賭け暮れの秋 
冬隣る派手なセーター見納めん 
秋深し具をこぼしてはカレーパン 
かなえられぬ親の期待に宵寒し 
6/24 
秋湿親を裏切る演劇か 
赤いカウンター秋陰の夜ワイン飲み 
秋日射す階段を下り四つん這い 
秋の宵ケーキ職人器具洗う
6/25
動画描く秋の暁キャラ跳ねて 
窓の下秋の朝日を北の人 
秋の朝ぼさぼさ頭夢語り 
秋の晴れ夢追い人は押入れに
6/26 
新宿通り砂埃舞う秋の午後
秋麗いつもの祠手を合わせ 
ぺらぺらと冷ややかな朝評価す 
うすら寒握る腕の痛さかな
6/27
さくらんぼ転がるごとに恋におち 
ふてくされ薄い座布団昼寝して 
秋の気にコーヒー誘うマダムかな 
冷え冷えと暗い廊下を訪ね行く
6/28 
バターカリー秋の夜更けにマダム出し 
ジェノワーズ美味いもなくも秋渇 
秋の宵涙で食べる母カレー 
秋爽や稽古場跳ねる床の音
6/29なつぞら俳句 
FFJ秋の牧場を唄うかな 
初秋風友が結婚と今知りて 
秋日射嘘からほんと熱く説く  
カウンター電話が見せる秋の原

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