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季語の花 6月


苺(いちご)
    食べ放題温室の外苺なり
百合(ゆり)
    父嫌う百合の臭いか忌まわしか
擬宝珠の花(ぎぼうしのはな)
    細葉下小さく占める花ぎぼし
姫女苑(ひめじょおん)
    食べらるる言えど手が出ぬ姫女苑
泰山木(たいざんぼく)
    花弁で一杯飲みたし泰山木
夏落ち葉(なつおちば)
    静けさや常盤木落葉はらはらと
栗の花(くりのはな)
    停電や花栗におう雨の道
捩花(ねじはな)
    文字摺草咲きて占めたる去年の庭
杜若(かきつばた)
    石橋を叩いて響く杜若
紫陽花(あじさい)
    紫陽花やコーチ偲びつ羽根を打つ
芍薬(しゃくやく)
    大暴投芍薬散らす父が鉢
枇杷(びわ)
    食べられぬ友が木登り枇杷ほうる
早苗(さなえ)
    早苗舟上げて宴が待つ座敷
ジギタリス(じぎたりす)
    何処はいる裾を拡げるジギタリス
楝の花(おうちのはな)
    淡紫風乗りゆらり花樗
靫草(うつぼぐさ)
    雨に耐え土手を覆ふやうつぼぐさ
苔の花(こけのはな)
    蓄えし水のしたたる苔の花
花菖蒲(はなしょうぶ)
    花菖蒲色分け植えどひとつ色
水芭蕉(みずばしょう)
    水芭蕉もとめて尾瀬へ坂下る
杜鵑花(さつき)
    盆栽や杜鵑花の挿し芽はじめなり
青梅(あおうめ)
    たわむれに青梅の雨ぼたぼたと
えごの花(えごのはな)
    芳しい白く隠すはえごの花
梔子の花(くちなしのはな)
    梔子の花闇の窓より香り込む
蛍袋(ほたるぶくろ)
    覗き見て蛍袋を棚田道
石榴の花(ざくろのはな)
    いつ見ても石榴の花が甘酢くて
十薬(じゅうやく)
    庭覆う植えてもいない十薬ぞ
立葵(たちあおい)
    晴れを待ち先へ咲きたし立葵
萍(うきくさ)
    萍が拡がる甕の白さかな
さくらんぼ(さくらんぼ)
    白い花散って大きなさくらんぼ
若竹(わかたけ)
    一夜にして若竹伸びて皮むける
花水木(はなみずき)
    吾子想ふ今年も眺む花水木

百合嫌う父の若き日祖父の逝く

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