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Ep.15 名探偵コナンvs怪盗キッド

※映画館で公開されていた「名探偵コナンvs怪盗キッド tvシリーズ特別編集版」についてです。
※名探偵コナン、まじっく快斗への自己解釈とネタバレが含まれます。

《エイプリルフールの真実》


『名探偵コナンvs怪盗キッド』
コナンをあまり知らない人には「映画前の予習用!」と説明するお決まりの総集編。わりと、映画に向けて、ピックアップキャラクターの情報を今一度整理しておきましょう!っていう感じの作品イメージがあるんですが、皆さんはどうですか?
私はそういうイメージが強かったので、今回の総集編は構成的な部分でビックリしたところが多かったかも。

私はコナンくんとキッド様の出会い〜今日までを全体的におさらいする構成だと思ってたら、まさかのキッドちゃんが語り手で、彼とのこれまでを邂逅する感じだった。何それ、愛〜!愛だねぇ。

描き直しシーンが屋上のはじめましてのところだから、ブラックスターの回をほぼほぼ観れるんだろうなって、私はてっきり思い込んでて、つまりはわたしがめっっっちゃくちゃ好きな!あの雨の日の交差点!で快青とすれ違った蘭ちゃんが「新一!」てなるシーンがスクリーンで観れるとばかり……!あの交差点のシーンの快斗くんのお洋服とポーズと後姿、超キュートじゃないですか……。

そもそも『集められた名探偵を再編集』って書いてあって、エ?!待って?!黄昏の館回は入ってなかったヨ?!ってなったし、時計台の回がどれほど『幻』なのかを強調して欲しかったな……って一抹の身勝手な悔しさがあります。
時計台の回、あの頃の作画や色味が好きなのはもちろんですが、夜景や建物などの背景が油彩画っぽい感じなのもとても好きです。色味は全体的に濃いめなので、キッドちゃんも新一くんもお肌はもう少しトーン高めでもいいのに?と思いながらも、暖かみがあってこれはこれで好きです。

「俺、黒羽快斗ってんだ!よろしくな!」

青バラに変更されてましたよね〜エエエエ?!
ずっと夢に見ていた青バラ……!やっぱり!青!!!ですよね!!!彼女には!!!!分かってるゥ!
初期の赤バラも、その頃の作画の丸みに合っててとてもキュートでしたが、やっぱり青子ちゃんには青で💙

それはそうと、この総集編 数十分の割合として体感的に1番長かったのがブルーワンダーの回なんですけど、実際どうなんだろう……。
次郎吉おじさんが映画に出るのであればそんなに違和感は無いけど、今回そんな匂わせは無かったような……とか色々考えてました。次郎吉おじさんが映画出演無しなら、ブルーワンダーの回をあそこまで丸々っと観せる必要あったのかな?とか。
空と海の青色の話とかロンシチズムの部分を観せてくれてるのかな……そしてそれが映画に繋がるのかな……と深読みしてみます。

という感じで、もし私がこの総集編の内容を作ったら、
・青子ちゃん、中森警部の紹介として《ブラックスター》とまじっく快斗を一部
・最後の「?」「!」の応酬の前触れとして《工藤新一少年の冒険》
・それから時計台の回と、白馬くんが関係してくるかはわからないけど《黄昏の館》
上記エピソードをじっくり出来るだけカット無しで入れたいです。(願望)


主題歌「大胆」WANDS について

イントロから全て大好き……!
「快斗から青子」に取れるけど「キッドからコナン」にも取れるそんな歌詞、大胆不敵な怪盗キッドらしさをぎゅって詰め込んで、切なさをちょっぴり足した感じ。
もちろん青子ちゃんへのラブが詰まっているんだろうけど、キッドを演じている快斗くんが江戸川コナン・工藤新一という唯一無二の名探偵に出会った結果、物事の捉え方を変えたという部分も同時に描いてあるような気がします。
コナンに出てくるキャラの中で、空を縦横無尽に飛べるのは怪盗キッドだけであり、月を背に立つのも怪盗キッドだから、空を自由に飛び回る鳥をキーワードにしているところもすき。
それから「やれるまでやってやる」も、ものすっっっごく黒羽快斗っぽくて。出来ないことなんてない、俺ならなんだって出来る!という自己を信じる強さもすっぽり収まっていて本当に素敵。
今まであまり触れられてこなかった善良な男子高校生が「泥棒」という盗みを働くことに対しての負の感情みたいなものを、好きな子に隠し事をしているという負の感情を、どちらも上手く歌詞にまとまっていますよね……。


黒羽快斗という少年について

この総集編を見たあとで、改めて原作を読み直しました。(赤で読みましたよん)またアニメまじっく快斗(トムス版)の配信もあったので、色々振り返ることが出来て嬉しい機会です。
久しぶりに原作を読んでアニメを見て、今更気づいた事もいくつかありました。
1話で快斗くんが『自分の父親は泥棒だった』という事実を知った時、すぐに『俺が怪盗キッドになって真相を暴く!』と快斗くんはきっぱり言い切り、頭を切りかえその場をやり過ごします。
これまで私はそんな快斗くんを『頭の切り替えが早くて、感情を受け入れるスピードもはやくてすごいな』と思ってきました。頭が良いという特徴を持った快斗くんだからこそなんだろうと思っていました。
『ポーカーフェイスを忘れるな』
その直後にあるこのセリフを読み直して、あの場で快斗くんの中にほんとうに動揺が1ミリもなかったか?と言われると違うような気がしてきたんです。

あぁ、あの自信満々な顔は、快斗くんの精いっぱいの『ポーカーフェイス』だったのかも、なんて。

もしかしたら、私たちが知らないだけで、思いもしないだけで、家に帰ってから酷く落ち込んだのかもしれない。ずっと憧れてきた実の父親が、指名手配されている泥棒だったと知った時の心情は私には想像も出来ないけれど、ティーンの男の子が受け入れる真実には重すぎます。けれどそんな場面でもポーカーフェイスを忘れなかったことは、快斗くんのプロフェッショナルな部分と、お父様への愛なんでしょう。


中森警部について

今回の映画は中森警部についても深掘りされそうなので、ファンが増えちゃう前に愛を叫んでおこうかな。笑
怪盗キッド絶対捕まえるマンな中森警部だけど、それは憎悪とか嫌悪って感情に駆られている訳ではなくあくまでも情熱。意地になって追いかけてくる中森警部のことが面白くて楽しくてたまらないキッドの姿が好きだし、それを引き出しちゃう中森警部もすき。まじっく快斗で見られるキッドから中森警部への「愛」は、黒羽快斗としての幼なじみやお隣さんという関係値を覗いても存在するだろ!と思います。
コナンくんとはまた一味違ったスリルをくれる人で、そしてまたコナンくんと同じように真正面から捕まえようとしてくれている人。
そして恐らく「怪盗キッドは人殺しはしない」を真っ先に信じてくれた人だと思うんです。推測だけど。そしてその信頼を貫き続けてくれている。情熱的すぎて、宝石なんかどうでもいいからキッドを捕まえろ!って言っちゃうような警部とは思えない。(褒めてる)
中森警部の真っ直ぐすぎる信頼は、キッドを演じている快斗くんにとっては暖かすぎる優しさです。


Kコという関係について

お互いを認めている、信頼している、はもちろんなんですけど2人特有の関係値として「信頼する時は信頼する」とか特殊な状況下によっては「今だけ仲間」という特異な物差しを持っているところだと思うんです。頭脳レベルが同じで、体の大きさが違って出来ることが違うのをよく理解しているからこその、特別な2人。
時には「探偵と怪盗」ではなく「人として」協力したり、その最善をほとんど言葉を交わすことなく選べるのがこの2人。
コナンくんは「怪盗キッド=悪人」という線引きを持たずに怪盗キッドとして敵対しているし、キッドはキッドで「工藤新一=コナン=小学生」という図に対して柔軟に敵対しているし、あまりにもベストオブベストな好敵手。

それぞれにしか持てっこない最大級の真実を、大切な人には決して背負わせない(、こういう所だけ)理想主義の2人が主人公でいてくれて私はすごく嬉しいです。

2人だけの特別な追いかけっこがどうか、もう少し続いた先に、真実に辿り着けますように。

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