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まちのチカラを「見える化」しよう!

 挨拶が回ってきた時、「もう、泣きそうで、たぶん、泣くけど」と前置きして、伝えました。

 「行政ができること、区長としてたった4年でできることなんて、それほど無いんです。この2日間、これだけのボランティアがまちのために動き、つながり、もともとあった生野のまちの力が『見える化』されて、あぁ、もうこのまちは大丈夫だな、すごいな、と思いました。感謝しかないです」

 ……なんか最後の方、言えてたかわかりませんが、久しぶりに悔し涙でも悲しい涙でもなく。「うれしい涙」があふれました。

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 11月21・22日の2日間。ここに写っていない人もたくさんいますが、「Creema×いくの みんなの文化祭」のボランティアのみなさんです。
※記事内の写真は、ボランティアのみなさんが撮影のものも掲載してます。

 当日の空気感については、もうこの映像にすべて詰まってますので、何も言わずに見ていただければ!「あな町フィルム」の門井さんが撮影・制作をしてくださいました。

 生野のものづくりと、ハンドメイドマーケットとしてセンスにあふれたCreemaさんのコラボで「生野ってええやん」と思えるイベントになりました。感謝しかありません。

 「生野区長」としては、新型コロナウイルス感染拡大の中で、行政としては人を集めるイベントを主催・共催や宣伝もしづらい立場にありました。ただ、このイベントには3年越しで、企画の種が生まれた時から関わってきました。

 官民連携の「生野区シティプロモーションオープン会議」を立ち上げたのが2018年3月10日。

 あの日、当時の生野産業会の松井会長が予言してくださった「『あの3月10日から、生野が変わった』と言われる日になる」のは、本当だったなと思っています。

 あれから回を重ね、合間にもと鶴橋中学校の記憶をつなぐための「みんなの学校プロジェクト」チームや、一般社団法人「いくのもり」が生まれ、生野区と事業連携協定を結び……と、活動を重ねてきました。

 Creemaとつながったのは、もともとCreemaユーザーで大阪であるイベントには通っていた私が、この絵に出合ったことから始まります。

いくのぐらし_ポスター用02-1

 肩の力が抜けた、自然体でつながる人たち。イベントでこの絵に一目惚れし、描き手であるご夫婦のユニット「katei to e/カテイトエ」さんにお願いし、生野区のイメージポスターに使わせていただきました。

  カテイトエさんが、Creemaのクリエイター移住プロジェクトで、糸魚川市で活動していると聞き、Creemaのプロデューサー・木村さんと引き合わせてくださいました。

 その後、生野側の(一社)いくのもりの木村さんとCreemaの木村さんがつながり、後は民間同士の力で「Creema×いくの みんなの文化祭」が実現することとなりました。こうして書くとめちゃくちゃ簡単ですが、粘り強いやりとりを重ねてやっと迎えた当日だったと思います。

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 裏テーマは「生野のくせに(『のび太のくせに』的ニュアンス)」。

 おしゃれでイケてるイベントをしよう!と、Creemaさんのセンスや集客力の力を貸していただきました。もう、サイトからしてオシャレ!すごいなぁ、大阪で初めてですよ。Creemaと「生野」の名前が並んでる。

 でも、結局は入り口にこんな感じの人たちがいて、「ええもんありました?」とか「オッちゃん怖ないで~」と来場者に絡みまくってたので、「やっぱり生野」っぽくなってしまいました(笑)

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 田中やんぶさん(右)と1ボランティアである「生野区でお勤めの山口さん」を含む(ちょいちょい「あ、区長やん!」と身バレしてましたが)初日の自転車整理チームです。なんのポーズだ。Creemaの顧客と思われるオシャレ女子が、一瞬ひるんでましたが、大丈夫です。きっと。校庭にはこんな素敵なクリエイターマーケットが展開されていましたので!

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 運動場には個性的なCreemaのクリエイターさんが、テントで出展。ワークショップや買い物を楽しむ姿、それも親子連れの多さに驚きました!

 もと鶴橋中学校(現・桃谷中学校第2グラウンド)を使用するにあたっては、桃谷中学校のご協力をいただきました。時間の無い中で動いてくれた、区や局の担当者にも感謝しています。

 講堂の中は、生野区に縁のあるものづくり企業やクリエイター・団体がにぎやかに並んでいます。区役所側は、今年完成した『生野ものづくり百景』の展示協力をしました。

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どうです!圧巻!!すごいぞ生野のものづくり!!!

 本当は区役所が展示まで作れたらよかったのですが、これはボランティアチームのみなさんが全てをラミネートして、生野のものづくりの力を「見える化」してくださいました。その苦労たるや、申し訳ない……。顔出しで写真が撮れるのもステキ!もちろん、撮りました(トップの写真)。

 この機会に、生野区役所がコツコツと取材して作ってきた「生野ものづくり百景」を知っていただけると嬉しいです。PDFでまとまっていますので、デジタルブックとしてゆっくり眺められます。

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 このようなイラスト入りのものづくり企業紹介が100社分!しかも、まだこれでも紹介しきれなかった企業があります。生野区の豊かなものづくりを感じられる出展ブースも、にぎやかでした。

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先ほどの百景の「生田ランドセル」さんは、大人向けのカッコいいビジネスリュックも作っています。デザインの過程や素材の革も展示していて、学びの場にもなっていました。私は「キャリア女性向けのリュックのデザイン」に、いろいろと注文をお願いしていました。そのうち、新商品ができるかも……(笑)。

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 生野区の「歩く」を楽しくする企業・リゲッタさんもワークショップを展開。大人気でした!

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 生野本通り商店街で素敵な作品を生み出しているガラス工房の「ココロイロ」さんの数々の作品にもうっとり……。そして、娘と「オカアチャンと一緒に使う」という約束で選びました。

 また、バカ売れだったのが「いくのなクラフトビール」有本酒造さんのブースです。

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 区役所の広報紙でも紹介していますが、私が「生野区で地ビールつくってる人がいる!」と知った1年半前からようやく、たくさんの区民の方に知っていただけて嬉しい限りです。あくまでお持ち帰り用の販売でしたが、「生野区に地ビールあるの知らなかった~」と抱えて帰る方をたくさん見かけました。

さらに今回、生野区を愛する一人として、ときめいたグッズはこれです!

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生野のものづくり企業がおしゃれなデザインで地図に入った、限定品のバンダナとトートバッグです!バンダナは、スタッフ全員が1枚ずつもらって身に着けていました。詳しいデザインは以下で見られます。

 いいでしょう!特にバンダナの周囲をぐるりと囲む自転車と、「さすべぇ」が付いている辺りが……。「生野のくせに」イケてるグッズ、トートバッグは買いましたので大事に使います。

 そして、Creemaのオシャレなブースに負けず、キラキラしてた生野のママパワーぎっしりの「SORA CAFE」オーナーの長谷川さん。

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買いましたよ~。子育てをしながら、クリエイターとしても活躍する「いくのなママ」たちを応援する活動を、今後もぜひ展開してください!

 他にも紹介したいものづくり企業や団体・お店がたくさんあるのですが、こちらで詳しく紹介しています。ぜひ、今からでも「生野のチカラ」に出会ってもらえると嬉しいです。

 当日はスタンプラリーの台紙を桃谷駅前や「もものや」さんで配っていただいたり、

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スタンプラリーのゴールで受付をしてくださったりと、たくさんのボランティアの方が、生野のまち中で活躍していました。すごいぞ、生野区!

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「ながやR」さんの屋台がイケてます!

そして欲張りなことに、この2日間で「源ケ橋温泉からのいくのな配信LIVE」が、若手MC&オジサン配信チームで展開されていました。

アーカイブで見られます。銭湯の中で響く音楽と絵面がめちゃくちゃ生野っぽくてサイコーです!

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 若手MC・くんぺー君やイベント会場からのレポートをしてくれた学生さんたち、裏方組のオジさんの一人がぼそっと「もうこれからは俺らも、若い人たちがやりたいことを応援していく立場なんやな、と思った」と言ってたのも印象的でした。

 また、ゴージャスなことに生野区の企業・ロート製薬さんもこの日「ふれあいコンサート」としてクラシックの演奏を無料配信してくださいました!

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 区内の小学校でも演奏会をしていただき、本物に触れる機会を作ってくださいました。

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 生野区のみなさんに知ってほしいのは、生野区のまちの資源と潜在能力はすごい、ということ。ものづくりの豊かさ、音楽やクリエイターの魅力、関わってくれる人の多さ、つながりの温かさ。

 それを「見える化したいねん!」と言い合いながら、この日を迎えました。で、最初のシーンに戻るわけです。

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 このイベントの柱は、いくのもりの理事のみなさん、特に代表の木村和弘さんのリーダーシップがあってのことでした。木村さんの最後の一言が、また胸熱だったので紹介して終わります。

 「今、こうして終わったところで、みなさん満足していただいて、来年もやりましょう、これからどうすんねん、と言われてます」と前置きして。

 その答えとして、紹介したい言葉があります。チャップリンが「あなたの最高傑作はどの作品ですか?」と聞かれると、必ず「Next one.(次の作品)」と答えていたそうです。だから、生野の「Next one」に向けて、またスタートしましょう。

 カッコいいなぁ、キムラ~!また泣くわ!

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バンダナがお似合いの木村和弘さん(右)と、村田病院の脳外科医で生野のまちにめっちゃ関わってくれる中村一仁先生(左)と。2人のカズさんのツーショットを貼っておきます。

 他にも紹介したい方はてんこ盛りですが、今日のところはこれで……私たちがやっている「ご近所ツーリズム らいくのくらし」もチェックしてくださいね!

 最後は、私もCreemaの木村さん始めスタッフのみなさんも一緒に、もと鶴橋中学校のグラウンドにトンボをかけて撤収完了。「高校生以来ですよ~」と話しながら、元通りにしました。

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 生野の出展者の方が、「Creemaのブースを見て回って、展示の仕方や売り方が参考になりました。2日間で、こんな安い授業料はないです」とおっしゃっていたり、生野のクリエイター同士で熱く今後のコラボについて立ち話をしていたり。レッドステージに入る、ギリギリ直前の奇跡のような2日間でした。

 そもそもスタッフ全員、この日に初めて会ったんですよね。zoom会議を重ね、初めましての大学生や若者スタッフも多く、当日やっと会えてホンマに嬉しかったです。後日の反省会も、オンラインでした。

 区長としてできることなんて、本当に少ししかない。正直、苦しいことが多く、時には人格まで否定され、逃げたくなる日もたくさんありました。でも、この2日間はたくさんの仲間と生野の魅力に包まれて、心から「このまちの区長になって良かった」と思えました。

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 1日目の夕方の、もと鶴橋中学校です。この学校を閉める決断をしてからの日々を思い起こし、単純に感想を言えない立場ですが、それでも、違う形でにぎわったこの2日間を、ありがたく思いました。

 「Creema×いくの みんなの文化祭」を通じて「見える化」された、まちの力を信じ、応援しながら。

 区長としても、また一人の「いくのなボランティア」としても、「Next one」に向かいます。

 

 そして「居場所と持ち場」を、まだ生野のまちに持たない方へ。住む人、通う人、働く人、遊びに来る人、故郷だった人……誰でもいつでも「いくのな人」になれます。ぜひ、次の機会にはご参加ください!

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