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未来志向のまちづくり〜5年間のふりかえり〜


 生野区のみなさん、こんにちは!

 3月号の広報紙の連載で、この3月末で5年の任期を終え、次年度より港区長になることをご案内しました。

 そしてこの5年間、生野区のまちの目指す理想を掲げ、現実とのギャップを埋めるための「未来志向のまちづくり」に取り組んできたことを書きました。

 広報紙の字数ではとても足りず、詳しく知りたい方のためにnoteのリンクをQRコードで掲載しました。

 「未来志向のまちづくり〜課題最先端エリア•生野区の挑戦〜」と題した動画を生野区役所の公式YouTubeチャンネルに掲載していますので、なかなか地域でご挨拶できない代わりにお届けします。

 基本的には、区長として着任した一年目の終わりに区政会議でお話しした方向性から、大きく変えることなく施策を進めて来ました。

 学校再編に伴って個人的に誹謗中傷を受けることも多く、苦しい場面が多かったのですが、こどもたちの教育環境をなんとかして欲しいという保護者や学校現場の声も確実にあり、前区長の作った計画を引き継いで取り組んできました。

 特に教育内容に関しては、「自立(自律)学習•キャリア教育•チーム学校」をキーワードに、授業の質の向上や産官学+地域連携でキャリア教育を充実させる準備を進めてきました。

 日々の学校の様子や区の事業による教育活動についても、積極的に発信するようにしています。

 新しい学校ができてからこそが、再編の意義を問われると思います。閉校に際して寂しさや不安を抱く地域の方の想いを受け止めながら、その後のまちづくりを支える必要も強く感じています。

 同時に新たな学校の教職員のがんばりや、子どもたちの前向きな変化にも目を向けていただき、変わらず応援していただければ幸いです。

 再編と並行して、生野区の人口減少を食い止める施策を展開してきました。

 そちらについては、動画の内容と連携して、日本都市計画学会のサイトにもインタビューが掲載されていますのでご紹介しておきます。

 今の生野区は、エリアにもよりますが空き家を除却すれば戸建てに建て変わり、比較的すぐ売れる状況です。

 空き家対策をして子育て世代向けの住居を確保することも、この5年で強化してきました。

 生野区の空き家対策については、以下のページに補助金や相談窓口の最新情報や「空き家シンポジウム」「空き家•空きスペース利活用セミナー」の動画もありますので、ぜひ!区内に空き家をお持ちの方にご紹介ください。 

 5年間という短い期間にできることは限られています。その中でも精一杯、職員や民間のパートナーのみなさん、区政会議の委員のみなさんや各地域の方々にもご意見をいただきながら「生野区をもっとよくしたい」という目標のもとに取り組んできました。

 理想を言えば、地下鉄の延伸がなされて区画整理を行い、一気に広い土地を空けて高層マンションを建てて子育て世代を一気に増やす、というのが、おそらく数十年ほど前に描かれていた「生野の未来」だったのだろうと思います。

 しかし、現実はそうならなかった。

 予算や権限の面で、区シティマネージャーとしての権能もありますが、やはり行政区長としての限界を感じることもありました。

 民間が投資してくれなければ、ハード面でのまちづくりはかなり厳しい。投資価値のあるまちにするには、安全なまちづくりをベースにシティプロモーションでまちのイメージを変え、子育てしやすい、質の高い公立小中学校があるというPRをしていく必要があります。

 その一方で、生野区は多様な人を受け入れる地域福祉のネットワークが強いまちでもあります。

ジェントリフィケーション、という言葉があります。

 エリアの価値が上がり、賃料や住居の価格が上がった結果、そこにもともと住んでいた人たちが生活できなくなって排除される現象です。

 それって、まちづくりとして正解なんでしょうか?

 きれいごと言ってるんじゃないよ、という声もあるでしょう。でも、行政がセーフティネットの最後の砦である以上は「すべての人に『居場所』と『持ち場』のあるまち」を目指す必要があります。

 生野区の多文化共生の歴史、福祉事業者やNPO•ボランティア団体の多さ、ご近所のつながりの途切れないまち、そして長屋も含め戸建てや小規模なマンションや市営住宅など多様な住居の混在するまち。

多様性こそ、持続可能なまちをつくる力。

 私はそう信じていますし、その理想をすでに実現している生野のまちの懐の深い魅力にやられて5年間を過ごしてきました。

 生野区に関わったある人が、こんな言葉を残していました。

「大事なことは、みんな生野に教わった」

 辛いこともありましたが、私もこの5年間でかけがえのない経験をさせてもらい、一生モノの仲間と出会いました。

 まちは、これからも社会の変遷と共に生き続け、変化し続けます。

 その変化に目を背けるのではなく、受け止めた上で「未来志向のまちづくり」をまちの力でバージョンアップしていただけると嬉しいです。

 私は区長としての持ち場から、さまざまに努めてきました。至らないことも数々あったかもしれませんが、組織としてしっかり引き継ぎます。

 次の生野区長は、大正区•港区を歴任してこられた筋原章博さんです。

 もともと区長会でも公民連携についての意見交換をすることが多く尊敬する方ですので、安心してバトンを渡すことができます。

 大阪市では異例のスイッチ人事ですので、お互いの区の取り組みが止まることのないように、トップスピードでバトンを受け渡す準備をしているところです。

 名残はつきませんが、残り1か月。

 コロナのせいで地域でご挨拶する機会がないのが残念でなりませんが、できるだけ自転車やオンデマンドバスに乗って(社会実験、一年延長になりました!)生野区内を回りたいと思っています。

 残りの日々、どうぞよろしくお願いします!