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#3【テレ東ドラマシナリオ】パスワードが間違っています


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*サキ、自宅で

PCの前に座っている。
画面はミクシィのログイン画面。

サキ、パスワードを入力
”haruto”

“パスワードが間違っています”

サキ「好きな食べ物・・・」

”makaroniguratan”

“パスワードが間違っています”

  「ハルの好きな食べ物」
”   ”

  「なんだっけ」

  「好きな色」

”aoiro”

“パスワードが間違っています”

  「ハルの好きな色」

”      ”

  「なんだっけ」

  「好きな動物」

”neko”

  「ハルの好きな動物」

”          ”

  「なんだっけ」


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2020年1月18日
*サキ、カフェで

ジュリ「ねぇ、呼び出しすぎじゃない?暇じゃなんですけど笑」
サキ「申し訳ございません」
ジュリ「まだ入れてないんだ?ミクシィ」
サキ「はい」

サキ「パスワード考えてるうちにわかったことがあるんだけど」
ジュリ「何?」

サキ「ハルのこと何もわかってなかったわ」
ジュリ「ん?」

サキ「ハルの好きな食べ物、色、動物とか、ハルがどんなことが好きだったのか何も知らないわ」
ジュリ「あんなに一緒だったのに」
サキ「だから自分にひいてる、あのたくさんの時間を一体何に使ってたんだろうって思った」

サキ「いま人生で一番ハルのこと考えてるかも」

ジュリ「パスワード探しが、記憶から消し去ってたはずの 元彼に思いを馳せる展開になるとは・・」
サキ「馳せてなんかないよ笑」

ジュリ「ハルとの思い出を消したくてミクシィにログインしたいのに、
 ログインしようとすればするほど、ハルとの思い出が出てくるって、なんか皮肉だね」

サキ、何も言えずコーヒーを飲む

ジュリ「実際さ、ハルも東京の大学に来てたらあのまま付き合ってたわけだよね?」

サキ「うん」

ジュリ「なんで別れたんだっけ」

サキ「あの時は、勉強に集中させてあげたほうがいいかなと思って、とりあえず別れたというか、離れたというか・・ハルが東京に来たら どうせまた付き合うだろうって思ってたから あんまり真剣に考えてなかった」

ジュリ「そしたらハルは東京に来なかったと」

サキ「うん。大学2年になるときに、ハルが地方の大学に入ったって話を聞いたの。それで、これって私よりも何か他の大切なものをとって、地方に行ったんだなーって思ったら、なんかもう 確かめるのも怖くなっちゃって、それから連絡とってない」

ジュリ「けど、トシキさんに会うまで彼氏つくらなかったのは、ハルから連絡くるの待ってたんじゃないの?」

サキ「うん、けどなんかもう十分待ったし もういいかなーって思って」

ジュリ「なるほど」

サキ「あーパスワードどうしよう、思いつくものは全て試した」

ジュリ「思いつくものでダメだったってことは、そんな誕生日とか記念日とか重要なものじゃないんじゃないの」

サキ「え?」

ジュリ「意外とどうでもいいことっていうか」

サキ「どうでもいいこと?」

ジュリ「前に、お母さんのPCが調子悪いとかいって診た時に、
パスワード聞いたら『sanmachan』っていうから『え、明石家さんまそんなに好きだっけ?』って聞いたら、『パスワード何にしようかなって思ってたら、その時ちょうどテレビに出てて、この人なら毎日テレビに出てるから絶対に忘れないって思った。』って」

サキ「なにそれ笑」

ジュリ「いや、ほんとに何それって感じなんだけど 意外とそういうものなんじゃないの」

サキ「んー、なるほどねーどうでもいいこと」


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2020年1月20日
*サキ、レストランで

サキ「ねぇ、好きな食べ物なに?」
トシキ「なに急に?作ってくれるの?」
サキ「いや、そういうのじゃないんだけど・・・」
トシキ「作ってくれないのかよ笑、ちなみにお好み焼きね」

サキ「じゃあ好きな色は?」
トシキ「色?んー赤かな」

サキ「好きな動物は?」
トシキ「え、カメかな。小さい時実家で飼ってた」

サキ「知らなかった」

トシキ「なに?尋問?笑」

サキ「ううん、ごめん笑」
  「この前、ジュリと話した時に 意外と昔からの付き合いでも 好きな食べ物とか色とか 基本的なことって知らないんだなーって話になったの。それでトシキはどうかなと思って。」

トシキ「ふーん。なんか嬉しい」

サキ「なら良かった」

トシキ「サキはあの映画が好きだよね、あのー海が出てくるやつ」

サキ「なにそれ笑」

トシキ「ほら、海辺の高校に通う4人組がバンドデビューする」

サキ「あー あれね」

トシキ「そうそう、家にDVDあったじゃん、前一緒に見た時すごい泣いてたよね」

サキ「逆にトシキがなんで泣かないのかが謎」

トシキ「えー 確かに感動はするけどあんなに泣くほどでもないかな」

サキ「そうだよね、大げさかな」



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2020年1月22日
*サキ、自宅で

棚に整列したDVDやCDの中から、トシキと話した映画のDVDを手に取る
ふと、その横のCDに目をやる
(そのCDが映画の主題歌、そのCDは高校生の時ハルがくれたもの)

サキ、おもむろにCDを開ける

CDケースの中から紙切れが出てくる


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