コミュニティ放送 開局への散歩道☆彡⑦
コミュニティ放送 開局への散歩道☆彡
007〔電波の条約と日本の超短波放送〕
ここでのおはなしは、将来のコミュニティ放送局の責任者に必要な、または、必要と思う事柄を解説していきます。
特に、交渉や説明等では、電波法令等による用語だったり、正確な内容を表現する必要があります。
また、相手により、使い分けたり、より分かりやすく表現しなければならない場面に備えるためです。
例えば、
エフエム放送は、法令では、「超短波放送」。
アンテナは、法令では、「空中線」。等々
開局の可能性があれば、試験電波の発射までに必要な無線従事者(陸上無線技術士)を創設メンバーに加えることをお勧めします。
では、少しずつ、お話していきましょう。
電波法(昭和25年 法律第131号)の第1条は、電波法の目的、第2条は、電波法等の解釈に必要な定義が記載されています。
他の国内の法律と異なり、第3条には、電波に関する条約に関し、
「電波に関し条約に別段の定があるときは、その規定による。」
と記されています。
これは、電波は、地球上だけでなく宇宙空間まで飛翔するので、電波利用には国際的な取り決めが必要になります。
身近なものでは、アマチュア無線や海上(船舶の)無線、航空無線のように全世界で共通使用できる周波数(帯)を設け、また、その無線通信の規格(国際規格)も同じでなければ、電波利用に大きな支障がでます。
エフエム放送(超短波放送)も、若干の割当周波数帯の違いがあるものの超短波放送を行う無線通信規格も、基本的な部分は同じです。
さて、日本の電波の法律となる電波法などは、基本的には、国際的な取り決め(条約)に準じて作成されているといってもよいかもしれません。
国際的な取り決め(条約)は、国際電気通信連合(ITU) 国際電気通信条約がこれにあたります。
また、放送法など電波法に関連する法律は、電波利用関係法令といい、全体では、「電波法及び電波利用関係法令」(以下、「電波法令等」という。)といいます。
電波法令等による無線局には、基幹放送を行う無線局と基幹放送以外の無線局に大別されています
基幹放送は、
公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信
放送
周波数の電波を使用するもの
基幹放送
をする無線局
電波を利用して放送する無線局
日本の超短波放送(エフエム放送)は、76.1MHzから94.9MHzまでの189波の周波数を使用しています。
実際には、原則として、80.8MHzから81.2MHzまでの周波数は、混信排除のため使用できず、コミュニティ放送では、この周波数を除き、原則全周波数にわたり使用ができます。
また、補完中継局(中波放送を行う基幹放送局の放送区域において災害対策等のため補完的に超短波放送用周波数を用いて放送)は、原則として、90.1MHzから94.9MHzまでの49波の周波数を使用します。
しかし、同じ周波数帯にある放送局に区分があることを知っている方は、あまりいらっしゃらないと思います。
その他の区分は、以下のようになっています。
超短波放送には、放送の区分(放送事業者、放送番組、放送対象地域、送信場所等の区分)で使用計画があります。(具体的な周波数は省略)
一部、追記、省略したところがあります。
① 協会の放送
放送事業者区分 : 日本放送協会(NHK)
放送番組区分 : 総合放送
送信場所等の単位 : 都道府県単位
※ 総合放送 1系統の放送。
全国各地域においてあまねく受信できること。
② 民間の放送
放送事業者区分 : 基幹放送事業者(補完中継局を除く)
放送番組区分 : 県域放送
送信場所等の単位 : 都道府県単位 但し、鳥取県・島根県を一組扱い
※ 県域放送を行う民間基幹放送事業者の放送 1系統の放送。
全国各地域においてあまねく受信できること。
全国の主要地域において県域放送を行う民間基幹放送事業者の放送
2系統の放送。
各主要地域においてあまねく受信できること。
③ コミュニティ放送(特定市区町村放送局)
放送事業者区分 : コミュニティ放送
送信場所等の単位 : 市(区)町村単位
放送に関する需要動向、周波数に関する事情等を勘案しつつ、商業、業務、行政等の機能の集積した区域、スポーツ、レクリエーション、教養文化活動等の活動に資するための施設の整備された区域等、コミュニティ放送の特性が十分発揮されることが見込まれる区域において、その普及を図ること。
※ コミュニティ放送の放送区域は、原則、当該市町村の一部区域です。
放送する市区町村から放送電波が定められた市町村の指定電界強度の
値を超えて当該市町村境を超えることは原則できません。
④ 外国語の放送
放送事業者区分 : 外国語放送
送信場所等の単位 : 東京、名古屋、大阪、福岡
外国語放送の特性が十分発揮されることが見込まれる区域において、1系統の放送の普及を図ること。
⑤ 中波放送の補完中継局
中波放送を行う基幹放送局の放送区域において災害対策等のため補完的に超短波放送用周波数を用いて放送。
(1)広域放送
放送事業者区分 : 中波放送の基幹放送事業者
放送番組区分 : 広域放送
送信場所等の単位 : 東京、名古屋、大阪
(2)県域放送
放送事業者区分 : 中波放送の基幹放送事業者
放送番組区分 : 県域放送
送信場所等の単位 : 都道府県及び滋賀県・京都府、鳥取県・島根県、
佐賀県・長崎県を各一組扱い
〔根拠〕基幹放送普及計画(昭和63年 郵政告示第660号)放送法(昭和25年 法律第132号)第91条第5項関係
〔根拠〕基幹放送用周波数使用計画(昭和63年 郵政省告示第661号)電波法(昭和25年 法律第131号)第7条第5項関係
超短波放送(エフエム放送)が行われている周波数帯には、
・ 協会の放送局
・ 民間の放送
県域放送(補完中継局を除く)局
コミュニティ放送(特定市区町村放送)局
外国語の放送局
中波放送の補完中継局(広域放送と県域放送)
が、放送を実施し、聴取する側は、放送事項とか関係なく、もしかしたら、みんな同じと思って、周波数を動かして、聴きやすい、特徴があるなどの好みによって放送を聴取(受信)しているのでしょう。
ここで重要なのは、
聴いてもらえるコミュニティ放送局の開局を目指す
ことです。
次回は、〔指定電界のおはなし〕です。
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