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2022年 一口1年目の新人YGGおじさんによる出資馬回顧録~バークエム編~

はじめに~前回の御礼~

みなさま、よい年の瀬をお過ごしでしょうか。
南ヴィグラスと申します。

まずはじめに、昨日投稿いたしました【2022年 一口1年目の新人YGGおじさんによる出資馬回顧録~トレブランシュ編~】をご覧いただいた皆様、ありがとうございます。

年末のお忙しい時間を割いてまで見ていただくほどのモノではない、粗末な回顧録であったと自省しておりますが、それでも多くの方にご覧いただいたことは素直に嬉しく思います。

嬉しさのあまり、当初は年始に投稿するつもりだった第2弾を勢いで書き上げてしまいました…。

前回、愛馬と稲垣先生とツムツムへの愛が溢れすぎ、まとまりのないダラダラとした長文をこしらえてしまいました。
たびたび修正加筆を繰り返し、結果そびえ立つ6950文字の駄文…。

なおかつ、長時間ブルーライトを浴び続けたことによる眼球疲労が割と重たく、シンプルに体力が削られてしまったこともあって、今回の回顧録は出来る限りシンプルにしていきたいと思っております思っておりました…(5881文字)。
すみません、またダラダラ書いてます…どうかご容赦ください…。


ということで、今回は出資馬3頭のうちの1頭であり、私が最初に出資申し込みをした、すなわち最初に惚れた女である【バークエム号】を振り返っていきたいと思います。


バークエム

  • 父:マインドユアビスケッツ/母:ブリオレット(母父:ロードカナロア)

  • 性別:牝

  • 生年月日:2020年1月15日

  • 生産:追分ファーム

  • 厩舎:田島俊明厩舎(美浦・本年16勝※地方除く)

  • 募集額:1口16,500円(総額1,650万円)

  • 戦績:2戦0勝[0-0-0-2]

  • クラス:未勝利

  • 獲得賞金:0万円


~出資のキッカケ~

まず、一口を始めるうえで、1頭は「ダート短距離っぽい血統の子を持ちたい!」という思いがありました。
なぜか?それは、私の名前の由来がサウスヴィグラスからきているように、私自身ダート短距離が好きだったことに他ありません。

そもそも、一口馬主自体に興味こそあれ、出資まで踏ん切りがついていなかった私の背中を押してくれたのは、前回の記事でもちらっと出た「とあるVtuberの方が一口を始める」というものでした。
ちょうどいいタイミングだと思い、これも何かの縁だと思ってその方と同じクラブの募集馬を拝見していると、なにやら見慣れぬ父名の募集馬が。

「マインドユアビスケッツ…?」

どうやらアメリカのダート短距離馬らしいということは分かったのですが、
いかんせん海外競馬には疎く、血統表にも知らない馬名ばかりが並ぶので、
これは1回どんな馬だったか調べて見なければと思い、youtube等で検索…。

そして出てきたのが、この「2018年ドバイゴールデンシャヒーン(ダート1200m)」の映像。(ゼッケン1番、紺色の帽子、紺色に真ん中にオレンジの丸がある勝負服にご注目)


なにこれ…?ダート短距離ですよね…?
日本で言えば、例の根岸Sを彷彿とさせる鬼のような末脚。

元々、最初に好きになった馬がデュランダルだった私は、一瞬にしてこの馬の虜になりました。
その後、やはり初めての出資ということで数日悩みはしたのですが、「マインドユアビスケッツのような鬼脚で追い込んでくるロマンの塊のようなダート馬を持ちたい!」と、最初の出資馬に父マインドユアビスケッツの子、ブリオレットの20(のちのバークエム)に申し込んでいたのです。



~デビュー前~

1歳時~本州入りまでは、牝馬としては馬格があり、5月の段階では471kgまで体重も増え、順調そのもの。
追分ファーム生産馬ということで、追分ファームの育成施設で育成が進められるというのも嬉しいポイントでした。

その後、5月24日に宮城県の山元トレセン(!?)に入厩し、いよいよ美浦に入厩か…というところで、気になる一報が。

「ちょっと喉が鳴る所が出てきたみたいです。」

ま、まぁ一口やってればこういうこともあろう!ダートの短いところを走るだろう(想像)し、距離が長くないならあまり影響しないって聞いたことあるし!と、とりあえずポジティブシンキング。

いざ田島厩舎に入厩(6月8日)、喉鳴りも鳴ってはいるけどそこまで気にならないということで、ゲート試験へ…といった矢先、またも気になる近況更新が。

〈馬体重:440kg〉

…あれ?この子470kgくらいなかった?

田島師曰く、「飼葉もあまり食べない、輸送もあったり精神的に気をつかうところがあって、環境の変化に慣れていないかも」と、実はメンタルあまり強くない説が浮上…。

ゲート試験はすんなりクリアし(えらい)、一度追い切ってそこそこのタイムも出たのですが、馬体が細くなりすぎたこともあって一度山元トレセンで立て直すことに。
7月は外厩でデビュー戦にむけた体づくりとなりました。

山元トレセンではまず馬体を戻しつつ、負荷を強めることに。最終的に450kgまで戻しはしたのですが、やはり飼葉食いがよくない…。思ったよりも増えなかったというのが実際のところでした。

とはいえ、いつまでも待っていられないということで、8月18日に田島厩舎に帰厩。ダート短距離のほうが向いていそうだが、一度芝でおろして試してみたいということで、中山の芝1600mを目標に調教を進め、結果9月18日(日)中山1600mでデビューすることとなります。

しかし、この時の馬体重は440kg(レース時は436kg)。
調教を積んで体が絞れるとはいえ、元々470kgあった馬がここまで減るのかと少し愕然とした覚えがあります…。


~デビュー戦~

https://twitter.com/373vigorous/status/1571292192010018818

9月18日(日)、トレブランシュの1週間後に、中山第5R芝1600m牝馬限定戦でデビュー。さすがに2週連続で月曜の有休もらって遠征は難しく、テレビから応援することに。
鞍上は、今年ノリにノッていた丹内祐次騎手
人気は16頭中11番人気でした。まぁそんなもんだよねという感じ。馬体も明らかに細かったし、この時点でマインドユアビスケッツ産駒はダートという感じだったので。


話を戻し、いざパドックの映像を見て、「こんなに痩せてしまったのか…」と軽いショックを受けた記憶があります…。
しかし気持ちを持ち直し、まずはお試しの芝ということもあるので、無事回ってくればという思いでレースを見守っておりました。

結果は、7着
とはいえ、かなり見ごたえのある競馬で、4コーナーまで好位をキープする「もしや…!?」と思わせるレース運び。多分レースセンスはいい。
ただ、調教から指摘されていた最後のひと伸びがなく、中山の急坂で失速してしまいました。

鞍上の丹内騎手からは、「ダートの1800mとかのほうが合うかも」という言葉もあったとのことで、田島師も短いか長いかは分からないが次走はダート戦に使うことを示唆。

激やせするわ、喉鳴り出るわと、さきのトレブランシュと比べるとかなり不安な過程を見てきただけに、無事走り終えたことと希望が見える内容だったことに若干安堵。

レース後は、やはり体が細くなっていることもあるので、山元トレセンに放牧へ。当初は11月の福島開催に使えればという目標でした。



~立て直し~

とにかく減った馬体を増やしましょう、ということで山元トレセンに入ったわけですが、近況レポートからは「レースの疲れがかなり残ってしまっている」という報告が。

一度来たことがあるのもあったのか、馬体重は順調に回復し始め、10月時点で460kg台まで戻してきました。ただ、体の張りが物足りなかったり、動きも前回の入厩時ほどではないということで、福島開催には間に合わず。

もう少し馬体が増えてほしいところではありましたが、動き自体は戻ってきたということで、11月28日に田島厩舎へ入厩しました。

丹内騎手からはダート1800mの可能性を示唆されていましたが、少し長い気がするという師の判断もあり、中山1200mを目標に調整を進めることになりました。



~2走目、短距離への挑戦~

馬体重458kgキープ、もう少し増えてほしいという気持ちは隠せないのですが、初戦のことを思うとまぁまぁ…といったところ。

師の「体重が減る前に1回使いたい」という希望もあり、12月11日(日)中山ダート1200mで2走目を迎えることになります。

個人的には、曜日がギリギリまで決まらなかったこともあって会社の忘年会を欠席したり、青春18きっぷの使用開始日を間違えてしまったり、現地観戦がかなりハードスケジュールになったりと、現地観戦を諦めかけていたのですが、まさかの口取り当選ということもあり中山に現地参戦いたしました。


迎えたレース当日、中山第1Rダート1200m未勝利戦。
鞍上は乗り替わって永野猛蔵騎手
当日の馬体重は456kgと、前走から+20kgで出てくれました。
16頭フルゲート、当日の人気は8番人気。前回よりちょっと上がっていました。しめしめと思い単複5000円ずつ購入。

結果は、11着…。
前走同様、道中は好位につけていたのですが、明らかに前走と違って馬が忙しそう。鞍上もずっと追っ付けていような感じで、3コーナーすぎた時点で「あーこれはダメだ…」と分かる負けっぷり…。

「ジリジリ脚は使っているけど、距離は短かった」というのが鞍上と師の共通認識で、個人的にもそう見えました。
もしくは、前回の芝で坂にさしかかったあたりから手ごたえがなくなったのもあって、パワーがないんじゃないか?という感じもします。
少し残念な2走目になりましたが、2歳の時点でダートの短いところは向いていなさそうというのが分かっただけでも収穫かなと思います。


~今後の予定~

在厩のまま調教を重ねているので、おそらくですが馬体重もそこまで減っていないのではないかと推測しています。
次走は、当初丹内騎手からの進言もあったように、ダート1800mを予定しており、12月24日か28日に出走する予定でした。
が、優先出走権がなく、節も足りなかったため、除外…。

現状は、順調にいけば1月7日か8日に中山で使うとのことです。


~総括~

この子に関しては、馬体重が増えないことをずっと心配し続けた1年間だったなぁ…というのが率直な感想です。
最近は在厩で調教を重ねてるように、多少精神的な面でも落ち着きというか、慣れが出て極端に痩せることもなくなったのかな?と思っているのですが、依然喉鳴りの心配もありますので、この子は無事走り終えるその日まで心配が尽きないのかなぁと思っています。

また、「マインドユアビスケッツ産駒で母父ロードカナロアなのでダート短距離に出る」と思った自分の目論見は、完全に外れてしまいました。
血統や生産牧場のこともあり、実は自分の中で一番期待値が高かった子ではあったのですが、そう上手く事が運ばないのも一口馬主の難しいところだなぁと、いい勉強になっております。

おそらく切れる脚があるタイプではないので、先行して粘り込むのが勝ちの目だと思うのですが、まずは適正な条件がどこなのかを探り当てることが重要かなと。
そのために田島師も四苦八苦していますので、この子は長い目で、最後に未勝利戦を勝ち上がれればいいという気持ちで応援してあげたいと思います。
なかなか難しい子ではありますが、新馬戦で見せたようにレースセンスはあるような気がしますし、マインドユアビスケッツ産駒も初年度からJpn1を勝つなど2歳新種牡馬リーディングをとっていますから、勢いのある父にあやかって上昇してほしいなぁと思います。

あとこれは完全な余談なんですが、いつみても美人というか、かわいいというか、綺麗な顔立ちをしていますね。出資馬はみなかわいくて仕方ないのですが、この子は品の良い良家のお嬢さんといったような顔立ちに見えます。
聞くところによると、マインドユアビスケッツ産駒は牡馬も牝馬も美形が多いらしい…。



余談

~マインドユアビスケッツについて~

ダート短距離馬と思えないスラッとした体形で、日本のダート馬も好走するドバイの砂を得意にしていたこともあるので、恐らく日本のダートや芝への適正はあるんじゃないかなぁとは思っていました。
血統的にも、ViceRegent系かつDeputyMinisterの3×4ということで、同じViceRegent系のクロフネが活躍馬を出していましたし。

ただ、ここまで勝つとは思っていませんでした…。
しかも初年度から、Jpn1馬とJpn3馬を出すという…。
今年始まった時点で、2歳新種牡馬リーディングをマインドユアビスケッツが獲ると思った人が何人いたでしょうか。

クロフネとちょっと違うなぁと感じる点は、牡馬も中央で走る点と、どちらかといえば牡馬牝馬ともにダート寄りなのかなぁという点でしょうか。
現状芝も勝ってはいますが、どちらかというと完成度の早さでゴリ押ししているようにも見えるので、本質はダートだと思っています。
そして、距離は1800mまで、短距離~マイルが主戦場になりそうです。
その点は、先に導入されているドレフォンとは違ってきそうだなぁと。
そもそもドレフォンとは血統からして違いますからね…。

よく走るのは、母父にSS系の血を持つ子でしょうか。
中央で勝ち上がった18頭のうち、母父サンデーサイレンス系はなんと11頭。
なかでも母父ダイワメジャーが4頭(エーデルワイス賞勝ち馬マルカラピッド)、母父ネオユニヴァースが2頭(全日本2歳優駿勝ち馬デルマソトガケ)と、好走が目立ちます。
増えに増えた母父SS系の繁殖牝馬の救世主になりそうなだけに、今後勢力を伸ばしていくことは十分に考えられそうです。
ただ、絶対数として母父SS系のマインドユアビスケッツ産駒がめちゃめちゃ多いので、参考になるのかどうかはまだ分かりませんね…。

ちなみに、バークエムと同じ母父ミスプロ系だと、中央では2頭勝ち上がっています(母父ルーラーシップと、母父アグネスデジタル)。

あとは、成長性があるかどうか。仕上がりは早そうですが、天井が低いと日本の息の長いダート戦線で生き残るのは難しいですし、このへんはじっくり見極めていきたいですね。
ただ、もう少し距離が延びるのであれば、この早熟性は再来年から始まるダート3冠路線のワイルドカードにもなりえる…か…?

個人的には、デルマソトガケが父譲りの末脚を活かすタイプだったのは嬉しかったです。今後の活躍に期待したいですね。