Eins:Vier Presents "KATHARSIS 2023"DAY 1 超速レポ...という名の雑記
2023年12月22日。今年最強の寒波に見舞われたこの日、それでも今年いちアツいかもしれない心持ちで赤羽へ向かった。
"KATHARSIS"(カタルシス)と聞いただけでも昂揚してしまう、アインスフィア主催のイベント。初回がいつだったのかなどのデータはすぐに出ないものの、筆者が出会った92〜93年頃にはすでに行われていたように思う。
今日(2023/12/22)のHirofumiのMCによると
「地元(関西)のバンド仲間や知り合いを呼んでやってたんやけどジャンルとか関係なしにみんなはもっと黒塗り(白塗り?)とかの激しいバンドやって、最後にアインスが出ていってスンッて演奏してた」というイベントらしい。
(↑ メモを一切取らずに心から楽しんで観てしまったので、覚え書きです。すみません)
そんな伝説の興行から数十年、アインスフィア結成30年に当たる2020年に“復活”させる予定だったが、コロナ禍によって延期。
対バンも新たに、満を持して2023年末を彩ることになった"KATHARSIS"。
そのトップを飾ったのはH.U.G(ハグ)であった。
(翌23日にもイベントがあるためネタバレしない程度に書きます)
1番手、H.U.G
恐れずに書くと、
H.U.Gって、あれ? ボーカルryoさんだよね??
というのが第一印象。D'elsquel、GULLET、9GOATS BLACK OUT、HOLLOWGRAM、DALLE などで歌ってるryoさんですよね。
陽キャになってるんですけど。。
振り幅がエグい。
もともと類稀なる表現力と歌唱力とで長く活躍しているボーカリスト。今日は、メンバー5人ともども眩いばかりの白衣装に身を包み、終始アッパーにファンを煽っておられる。
それがまた、ファンが楽しそうで。年齢層も若い。カラフルに光るバングルを好きなだけ身につけ、振り回したり踊ったりヘドバンしたり、とにかく自由。うん、時代は今、こうかもなぁ。ライブのときくらい、何もかも忘れて楽しみ尽くしたい。ファンにとってオリジナルグッズは誇りで、宝物。その大切さを筆者も2023年になって深く理解した。ryoは自らデザインもするし、ファンにとってはこの上ない喜びなんだと思う。
ちょっと個人的なことを書かせてもらうと、ryoが歌う9GOATS BLACK OUTに筆者が出会ったのが2010年頃。身近な人との死別に耐えられずガチの鬱で治療中。ダークすぎるほどダークな音楽性(って遠慮せずに書いてすみません)にどっぷりハマってしまった。思えば、無理に明るく振る舞ったりすることが嫌で、とことん“落ちたかった”のかもしれない。9GOATSを聴いて泣きたいときに泣き、鬱HIGH(?)みたいになって、数年後、這い上がれたから良かったものの、その節は大変ご迷惑をお掛けしました。
と、なんだか謝罪文のようになってしまったが、
H.U.Gの演奏で2023年らしさ、コロナ後の世界を感じられ、明るい未来も見えた。
陰→陽、黒→白の見事な変貌と、アグレッシブで心底楽しそうなryoの最新の表現をかつてのリスナー達にもぜひ聴いていただきたい。
2番手、メリー。
彼らに感じるものはノスタルジー。
ガラ(Vo)のターコイズブルーのタイトな上下スーツ、こんなの今どき、着こなす人いる??
まるで如何様ロックスター、しかしそれが板についていてカッコいい。
ガラのハスキーボイスは気持ちよく通る上に激情、ネロのドラムの音はとにかくデカくてド派手、それをまとめて聴かせるのが横のライン=結生のギターとテツのベース。グルーヴで押すバンドというよりサーカスのよう。
昭和歌謡からパンクまでと持ち曲の幅が広いので、この日のセットリストに対し、
ん??もっとアインスに寄せた選曲もあったのでは? などと最初思ったのだが、観ていくうちにそんな考えはすっ飛んだ。笑った顔が元に戻らないほどメリーらしかった。
少し振り返らせてほしい。
筆者と彼らは結成の2001年に出会い、長い時間を共に過ごした。
メンバーを我が子のように(笑)可愛がっていた編集者の東條雅人氏(2009年没)を交え、かつてあのバンドが好きで影響を受けた!とか、あのバンドに夢中になった、などの会話もたくさんした。その中にもちろんアインスフィアがいて、少年のようにキラキラした目で話す彼らを忘れることはできない。
そのアインスフィアとメリーが対バンする日が来ようとは……!
夢を叶えられてよかった、その瞬間を見られてよかった、ああ長生きしてよかったーーなどと感慨に浸っていたのだが、その間も、メリーは滅茶苦茶にメリーしていた。おもむろにガラが“習字MC”を始める。何枚も書いては無言で掲げ、撒き散らす。筆を舐めて客席から「キャー!」という悲鳴が上がるとニヤリと笑い、墨汁を一気飲み。そのまま噴き出し、白いフリルシャツを真っ黒に染めて歌い続ける。
文字だけで見ると、どんなバンドだ!と突っ込みたくなると思うが、楽曲も演奏も圧倒的でどんどん引き込まれる。お立ち台がわりの学校机から、ガラは裸足のまま高く跳躍する。せっかくだから、必殺技の三点倒立もキメてほしかった。
ぐちゃぐちゃに汚れたシャツの胸元をはだけ、ガラは最後に
「こんなんですけど、アインスフィアを聴いて育ちました!!」。
アインスのファンと思しきおねえさん達が手を叩いて笑う。
音楽を中心に、みんなが笑う。最高の瞬間だった。
3番手にしてトリ、アインスフィア。
会場が青い光に染まってSEのCocteau Twinsが流れると、大袈裟でなくいつも「ああ生きててよかった」と思う。この場に来られてよかったと。
身体に染み込んで自然に乗れるLunaのベース、心躍るようなYoshitsuguのギター。おっと、今日はHirofumiのボーカルが少々掠れているかもしれないが、無問題。"KATHARSIS"ファンほどのディープなリスナーになると、心眼でアインスフィアを感じ取れる。万全なHirofumiの声で脳内再生されるのだ。
(本気で書いてます)
そして心の中で歌っていたものがだんだん声に出てしまい一緒に歌ってしまう。とある曲のブレイクに合わせて、ファンが一斉に跳ぶ。
(2日目も演奏されるかもしれないので曲名は伏せます)
長く活動しているバンドなのでファンの平均年齢も40↑かと思われるが、そのジャンプが高くて本当に可愛い。
筆者も飛んでしまいたい。わたしがアインスと出会ったのは、冒頭でも書いた通り90年代で、すでに宝島社で編集者として働いていたのだが、もっと早くおしえてくださいよこんな素晴らしいバンドの存在を!と思ったものだ。
最後列でメモを取りながらレポートしたりインタビュー記事を書いた日々ももちろん楽しいが、メンバーの表情や運指などを気ままに見つめながらフロアで身体を動かすのはさらに楽しい。
"KATHARSIS"なので観客に心を許しまっくていると見て取れる表情のLunaが、「ちゃんとしてるやろ?」と話しだした。
出演バンドのロゴを配した鮮やかなサイネージや、演奏中に流れる映像のことなども指していると思われる。イマジネーションをかき立てる演出、これも"KATHARSIS"の特徴のひとつだったのだなぁと。
聴覚も視覚も、すべて心から楽しんだし、音の海に包まれるようで最高の気分だなと思っていたところに大海原の映像が現れ、それを背に叩く岡本唯史氏はすでにサポートとは思えないほど頼もしいドラマーだと改めて実感した。あの映像は漢(おとこ)の日本海ではないだろうか。2日目に聞いてみたい。
セッションなど
あくまでも1日目のセッションについてであるが、アインスフィアのメンバー全員と、H.U.Gのryo、メリーのガラとテツが参加。アインスの楽曲のベースをなんとテツが弾くことになり登場した際、「デカい!」「身長差!」などの声でフロアは盛り上がった。彼は187.7cmで(今も伸びているかもしれない)バンド界隈ではなかなかお目にかからない長身なので、きっと誰と比べても大きい。そんな彼が尊敬するアインスの名曲を演奏できて、その姿をみんなで見守ることができ、会場は笑顔で満たされた。3人のボーカルはハグしたり握手を交わしたりしながら歌い、そのセッションならではの和やかさがいつまでも余韻となって心の中で響き続けている。
【余談】
楽屋では、この日を楽しみに集まった関係者やスタッフもたくさん。
久しぶりの再会の応酬に、「1日でこんなに会えてオレら大丈夫? 怖い!」などの笑いも。
2023年は特に音楽界での悲しい報せが多かっただけに、こういった機会をもたらしてくれること自体に感謝したい。
この1日目がプチ同窓会だとしたら、2日目はどんな大同窓会になることか。。
(DAY2 は、アインスフィアの大阪時代からの同志であるGARGOYLEとValentine D.C.との対バン)
※ 勢いのまま書いてきましたが、そのまま投稿することにします。
訂正や削除の要請があれば応じます。
ちなみに、もう少し真面目なレポートも過去に書いてます。
お時間ある方は振り返ってみていただければ。
文=伊藤美保
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