「移住」というコトバを無くしたい
栗原大介
はじめまして。8年前に八ヶ岳のふもと、長野県の富士見町に居を構え、生まれ育った東京と八ヶ岳の二拠点居住をしている栗原大介と申します。
移住ブーム、すごいですね。震災前後から少しずつ続いてきた波が、コロナ禍で一気に加速した感じ。以前より都会から受け入れを進めてきたこの町には雰囲気の良いコワーキングスペースもあって、空き物件が足りなくなるくらい(何十人待ち、というのもざらだそう)賑わっているようです。
比較的早い段階で田舎ぐらしを始めたので、たまに取材を受けたり、いろんな人から「なんで移住したの?」ってよく聞かれるのですが、いつも答えて言うのが、「移住じゃないんです。引っ越しです。」ということ。東京の杉並区から江戸川区に引っ越ししても「移住」って言わないでしょう? それと同じ感覚なので、わざわざ「移住」って言わなくてもいいですよ、と答えています。
これには都会から田舎への移動のハードルを下げたいという意図もあるのですが、動く側のためだけではなくて、受け入れる地域のコミュニティのためにもいいと思うからなんです。「都会から移住者が来た」というような変な構えはなるべくなくした方がいい。
東京なんてほとんどがよそからやってきた人で構成されていて、そういった人たちの方がマジョリティだから、わざわざ移住者って言わないですよね。(逆に「土着」はあるかもかもしれない。ああ、あの人土着の人だよね、みたいな)
僕が住んでいる集落は70軒ほどしかないような田舎で、住民の多くは土着の人ですが、よそからやってきた人たち(僕を含め)もコミュニティに参加して、いろんな活動をしています。この町は人口減少が進む典型的な田舎ですが、比較的東京からも近いし(2時間強で来られる)、古くから甲州街道の宿場町があったり、人の往来が多かった地域だったようで、そのことがよそ者に対するハードルを下げているという面もあるのかもしれません。
いずれにせよ、そういった、外から来た人も土着の人も関係なく一緒に活動をするようなコミュニティが、未来の「ローカル」の姿なんじゃないかなあ…。
などということを考えながら、目下のところは、この集落だけに長く伝わる「神楽舞」=獅子舞の特訓中です。オールドルーキ―ですが、土着の村の大御所に毎晩こってりと指導を受けて、来月の神事に備えたいと思います。
栗原 大介
テレビ番組制作、経済記者等を経て、2002年映像制作会社設立。2016年サシミメディアラボ設立。2016年より長野県富士見町と東京で二拠点生活を開始。映像・WEBの企画制作、ローカルメディア運営、メディアワークショップ等。
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