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PRと地域メディア

門脇 純

 2012年12月、私は就職してからおよそ14年間過ごした東京を離れ、愛知県に移り住むことになりました。14年間のうち後半7年間を通して携わった仕事はPR(パブリシティ)。企業や団体のクライアントを、テレビ番組や新聞・雑誌・Webの記事としてとりあげてもらうために、マスメディアに情報提供や企画提案をする仕事です。
 当時、国内のPR会社のほとんどが東京を拠点としていました。なぜなら、日本のマスメディアの大部分が東京に集中しており、PR業務はマスメディアへのアクセスが必要になるためです。当時、名古屋市内にPR会社は見つけられませんでした。しかし、名古屋・東海地方には相応の影響力を持つマスメディアがあります。私は名古屋でもPRビジネスが成り立つと考え、2015年4月に名古屋にPR会社インフォデザインを設立しました。2021年4月に会社を設立して丸6年が経ちましたが、実績を積み重ね、名古屋のPR会社として定着しつつあります。
 さて、PRはマスメディアが存在してこそ成り立つビジネスです。しかしメディア環境は大きく変化しています。インターネットメディアが急成長する一方で、従来型マスメディア、とりわけ新聞や雑誌の経営が厳しく、廃刊・休刊するものが後を絶ちません。特に県より狭い地域を対象とする郷土紙の廃刊が相次いでいます。
 地域メディアには、地域の出来事を伝える、地域の価値あるものに光を当てる、地域に潜んでいた問題を顕在化する、公権力や企業を監視する、地域の問題の解決策を探る、といった重要な役割があるはずです。もし地域メディアが消失すると、これらの役割も失われることになり、ひいては地域の経済的な損失、社会の自浄作用の逸失、地域のブランド力の低下、アイデンティティの希薄化につながりかねません。地域メディアは、地域に与えているこれらの価値を、それこそ「PR」する必要があるのではないでしょうか。
 弊社も地域メディアの1つとして、Webニュースメディア「東海最前線」( URL:https://tokai-saizensen.jp/ )を2018年から運営しています。東海地域における「最前線」と言えるような新しい取り組みや挑戦を行っている企業、団体、人物を独自に取材して紹介しています。昨今、既存のメディアには、暗い気持ちになるようなネガティブなニュースがあふれがちです。「東海最前線」は東海地域に関するポジティブな情報を全国に発信することで、東海地方の存在感を全国に示すとともに、人々の気持ちを前向きにしたいと考えています。
プロフィール 門脇 純(かどわき じゅん)
島根県松江市出身。東京のマーケティングリサーチ会社でコンサルティングや経営企画を担当、情報発信の重要性に気づく。2006年にPR会社に転職。愛知県に拠点を移し、2015年4月に名古屋のPR会社インフォデザインを設立

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