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オンライン MEET UP!レポート#22

皆さんこんにちは。インターンの佐藤つぐみです。7月のオンラインMEET UP!のレポートをお送りいたします。


第22回のテーマは、「阿賀北の学生が「本」作りで地域活性化・学生のオンライン地域連携活動」。

ゲストは新潟県の敬和学園大学で教鞭をとりながら「阿賀北ノベルジャム」の企画・運営にも関わっている松本淳さんと、東京都の目白大学で教鞭をとりながらメディアの社会貢献に関するゼミを運営している牛山佳菜代さんです。


1人目のゲストは松本淳さん。もともと東京都で10年ほどフリーランスライターとして活動されており、現在新潟県に移り住んで3年目。移住2年目のときに、阿賀北ノベルジャムのプロジェクトを始められました。


ノベルジャムとは

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通常、小説は著者が1人で書きますが、ノベルジャムではチームで小説を作ります。チームは著者、編集者、デザイナーから構成され、2泊3日の合宿を通して、小説の執筆から編集、校正、本に表紙を付けて販売することまでを行います。

松本さんは東京のNPO法人HON.jpの理事を務めており、2017年から4年間東京でノベルジャムの活動をされてきました。

ノベルジャムの活動が生まれたきっかけは、出版不況という時代の背景がありました。誰でも簡単にものづくりができる世の中になり、作品を作ることができる人は増えたのに、作品を本にして出版するという体験をしたり、リアルで発表する場がだんだんと減ってきています。

実際に作品を作りたい人が集まり、作品を作る様子を可視化することで、なにか化学反応が生まれるのではないかと考えた松本さんは仲間と共にノベルジャムの活動を始めたそうです。

実際の活動では、チーム内で創作の方向性を巡って激しい議論が交わされたり、運営としては大変な面もありますが、合宿終了後には涙涙の感動のイベントになるそうです。

ノベルジャムでは、これまで60以上の作品が作られました。

松本さんが新潟県に移住して2年目のとき、勤め先である敬和学園大学が12年間開催してきた伝統的な文芸賞「阿賀北ロマン賞」が終了するという話を聞きました。続けてきたものをやめるのはもったいない。自身も東京から離れ、今後のノベルジャムの活動について考えていたこともきっかけとなり、「阿賀北」をテーマにやろうと提案することになりました。その提案が通り、松本さんは阿賀北ノベルジャムの開催に向けて準備を進めていくことになります。

 


オンラインが起こす化学反応

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阿賀北ノベルジャムの開催に向けて準備を進める中で、コロナ渦が訪れました。合宿をすることができないため、一時は中止を迫られます。

しかし、松本さんは、大学のオンライン授業を通して、オンライン開催への可能性を感じ始めます。オンライン授業であっても、学生はオフライン授業のとき以上の仕上がりのレポートを書き、授業にも後れをとりません。それならば、阿賀北ノベルジャムについても、同じようにオンラインでできるはずだと、急遽オンライン開催を決定しました。

オンライン開催だからこそ県外からの参加者ともチームを組むことができます。新潟県の著者と、東京都をはじめ県外で活躍する編集者やデザイナーがチームを組むことで、外部からの視点を取り入れることができるようになりました。



外部の視点が地域の魅力を発掘

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松本さんの専門はメディアやコンテンツツーリズムで、アニメの聖地巡礼などを研究範囲に含めています。

普段は何気ない街の風景がアニメや映画の舞台になると、聖地巡礼などで訪れる人が増え、観光資源になるということを目の当たりにしてきました。

一方で、アニメや映画の舞台になる場所は限られます。小説は、アニメや映画ほどの効果を発揮することはないかもしれませんが、毎年繰り返せば蓄積され、資源になるのではと松本さんは考えています。

今後は、地域の未来を描く物語が生まれて欲しいと考えているそうです。地域の未来を描く物語ができることで、様々な未来を疑似体験できたり、シミュレーションすることができるのではないかとも考えています。



2人目のゲストは牛山佳菜代さん。東京都新宿区にある目白大学で教鞭をとっています。専門分野は地域メディア論、メディア・コミュニケーション論で、メディアの社会貢献に関するゼミを運営されています。


メディアと地域との繋がりを作る

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目白大学メディア学部では、mediactionという大学内外の組織と連携する実践型のプログラムを行っています。牛山さんが運営されているゼミでは、mediactionの「大学を飛び出しメディアの力で社会に貢献する」の一環として地域と連携した活動をされています。

多くのメディアがある現代において、どのように情報発信をしていくのか。1つのメディアにこだわるのではなく、様々なメディアを活用しつつ地域と連携しています。これまでは、地元の企業と連携した新商品の開発、商店街の新フォトスポットの企画・制作、ケーブルテレビと共同で番組を作るなどされてきました。

コロナ禍で東京アラートが発出され、これまでやってきたようなことができないという状況になりました。そこで、地域課題の解決を目指したオンラインセミナーの企画・実践をすることになりました。

地域のICTリテラシーの啓発セミナーを行う株式会社ラックと連携し、「オンラインでもできることではなく、オンラインだからこそできることをやろう」と取り組みを始めることになりました。



福井県若狭(わかさ)町の魅力発信プロジェクト始動

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まさに今進行中のプロジェクトが「福井県若狭町の特産品を日本全国に発信!!プロジェクト」です。

NPO法人若狭町物産協会と連携し、若狭町の特産品である梅を大学生の視点で情報発信する方法を探求しています。

梅を含む若狭町の特産品の生産者の方とZoomでつながり、製造工程を見学したり、生産者の方にインタビューを行っているそうです。

生産者のストーリーが丸ごと分かるパッケージの提案に向けて邁進しています。



地域と学生が育て合う

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牛山さんは、地域課題はすぐに解決できるものではなく、また学生が参加したからといって全てが解決するわけではなと考えています。しかし、学生がプロジェクトとして取り組むことで、課題解決方法の提案だけではなく、提案から先につながるのではないかと考えているそうです。

また、地域とのつながりが学生を育て、学生とのつながりが地域を元気にするのではないかと牛山さんは考えているそうです。



コロナ渦で当初はオフラインの代替としてのオンラインでしたが、今回のゲストの2人のお話のように、オンラインでの繋がりの重要性も増しています。私自身、大学やEDIT LOCAL LABORATORYの活動の中で、日々実感しています。オフラインでの繋がりが恋しくはありますが、オンラインの繋がりがどんどん新たな繋がりを生みますね。



次回もお楽しみに!

インターンの佐藤でした。



文=佐藤つぐみ


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