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犬の話

毛塚英俊

今日は犬の話をしたい。

子供の頃、実家(茨城県笠間市)の近所に私にそっくりな犬がいた。画像が残っていないのが本当に残念だがまさに「瓜二つ」、誰もがその犬の本当の名前を知らず「ケヅカ」と呼んでいた。

飼い主以上に私に懐いていて「実の兄弟なのではないか」といった噂がまことしやかに囁かれていた。世の中には似ている人が3人存在すると言われるが、私の場合その内の一人(一匹?)が正にそれだったのであろう。顔だけでなくズングリとした体形や間抜けな行動まで似ていて、いつしか私自身「他人とは思えない感情」を持つに至っていた。

大学時代にその犬の訃報を知らされた時、肉親の死同様の深い悲しみに襲われたことを覚えている。

高校在学中、ちょっとしたイタズラ心で生徒手帳にこの犬の写真を貼って提出してみたら、なんとそのまま割印を押されて戻ってきた。「ケヅカ犬」が正式に県立高校在学生として認められた歴史的な瞬間だった。

今、私はその高校の同窓会メンバーとして参加させてもらっているが、証明書を基準に考えれば、本来参加すべきは故人(犬)となった「ケヅカ犬」なのではないかとも思ってしまう。更に驚くべきはその後、定期券を買うのにも映画を見るのにもすべてこの学生証を使い1回たりともお咎めがなく無事1年が過ぎてしまった事だ。ケヅカ犬恐るべし・・・・・・

郷土茨城には「ケヅカ犬」の血を引く子孫が脈々と生き延びている可能性が高いと考えている。更に長い年月を経て全国各地に、あるいは海外にも進出を果たしている可能性がある。皆様、もしそのような犬を見かけたら、それがたとえ野良犬であったとしても保健所に連絡する前に私に一報を入れていただきたい。

各種証明書の写真に使いたいということでなく、純粋に会ってみたいのだ。


毛塚英俊  
グラウンドワーク笠間特別アドバイザー

茨城県笠間市出身、立命館大学卒 通信会社勤務の傍らNPO法人「グラウンドワーク笠間」も特別アドバイザーとしてシニアによる町おこし活動に取り組んでいる。「犬も歩けば棒に当たる」をモットーとして「犬の道」を突き進み、全国各地の色々な町おこし系の団体の活動にも顔を出し最近では収拾がつかなくなっている。

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