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ELL Online Meetup!vol.16レポート

こんにちは!インターンのトミオカです。
全国どこからでも参加できる「オンラインMEET UP!」は毎回、テーマについてホストと一緒に話す会です。
第16回のテーマは、「NYローカルレポート・課題解決のアクション」。ゲストは、現在ニューヨークで美術大学School of Visual Arts(SVA)の留学生オフィスに勤務されているアンダーソン陽子さんと、地域創生や社会課題の解決を中心に事業を行うIPコンテンツ開発企業の広報を担当した藤原美英さんをゲストにお迎えしてトークを展開しました。

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1人目のゲスト、アンダーソン陽子さんは、大学院で国際教育を学ぶために愛知県から渡米し、現在ニューヨークブルックリンに在住16年です。美術大学School of Visual Arts(SVA)の留学生オフィスで国際教育や異文化コミュニケーションを専門として働き、学生と一緒にアートを使った奉仕活動のプログラムを立ち上げるなど、積極的に地域の活動を行っています。アメリカの問題を焦点に当てた展示会や学内の生徒が半数の留学生とアメリカ人との交流を兼ねたプログラムを学生と立ち上げてアートを使った奉仕活動をしていらっしゃいます。

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SVAは半数が留学生。そこで、アメリカ人学生と留学生が交流できるようにと立ち上げたプロジェクトが「Cultural Partner Program」です。接触仮説という理論をもとに、意味のある共通の目的をもった人同士が交流する、主にアートを使ったプログラムです。色んな知の食べ物を食べて交流する「Eat & Meet」も面白そうです。
小学校やコミュニティパークから以来を受けて壁画を描いたり、資金のない(貧困層の住む)小学校で美術の授業をしたり、ホームレス家族支援団体のアートプロジェクトの展示会を行ったり、教会で炊き出しを行ったりといったボランティア活動を学生とおこなっています。

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ニューヨークは地域ごとに全く雰囲気や住む人が違い、ハーレムの地域では「自分が食事を楽しんでいる横で、子どもたちが飢えに苦しんでいる」という状況。アメリカの学校では朝食・昼食が提供されるものの、それ以外は何も食べられない子どももいるようです。半数の子は家もないので、仮住まいのシェルターに住んでいます。そのため、授業にも集中できない子も多い。
この動画を作ったアダムさんから陽子さんに連絡がいき、室内菜園の壁画を描き、出張美術授業を行いました。週末の食べ物をリュックに詰めて金曜日に渡したり、学校の室内菜園で子供たちに育ててもらい持ち帰るなども行っています。アートを使うことで、集中力のない子供たちも協力して授業を楽しむようです。
「sysutemic racism」というシステムのせいで貧困から抜け出せないため、子供たちの教育の現場を変えていく必要が最も重要だと考えているそうです。

また、アメリカはボランティア活動精神が毎日の生活に根付いており、幼いころから身近なようです。高校の卒業条件や大学入学必須などの条件もあるのが要因でもあるそう。また、キリスト教の影響もあるようです。
ニューヨーク人の気質としては、「とりあえずやってみよう」精神が強く、決断・実行が早い。面白いことが好きで人付き合いに慣れている人が多いようです。人と会話をしないとむしろ失礼、ぐらいの感じで、「スモールトーク(談話)」が生活に根付いているようです。一方で、反省や謝罪に対して深く追及することがないそうですが、失敗を恐れる気持ちが少ないので、プログラムを進めるスピードなどは早いそうです。
日本では組織が絡むと決定が遅くなりがちですが、そのため、色んなことが決まるのが早く、活動はしやすいみたいです。

藤原さんからは、「日本だとボランティアは奉仕活動みたいな感じだけど、高校2年生で3週間の語学研修での授業で学生がもじもじしていると、先生が『Volunteer!』と言ったのが印象的だった。なるほど、自主的に何かをするという意味合いで、Volunteerという言葉を使うんだなと知りました。」との感想が。寄付の話や教会での教えの話、子どもたちに命について教える話など、日本とアメリカの意識の違いの話で盛り上がりました。
陽子さんが衝撃だったことは、日本の教育は「みんな仲良く、みんな同じ」から始まるのに対して、アメリカの小学校教育は、子どもたちにまず指紋を見せあって、「みんな違うんだよ」から始まるということだったそうです。どちらの教育も良い悪いはありますが、お互いを知っておくというのはこれから重要かも知れませんね。

そしてもうひとりのゲスト、藤原美英さんは、地域創生や社会課題の解決を中心としたイベントやプロジェクトの企画・運営やIPコンテンツ製作を行う企業で、広報を担当していました。
今回担当した企業のヴィジョンは「物語をつくる。」

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日本財団競艇の収益金で、日本を良くするための活動を行う助成金を出しているため、海の資源の価値化や地域の活性化についてのプロジェクトを多数行っています。
海の問題で考えられることの一つとして今の子供たちはそもそも海を好きではないという話から海に興味を持ち、その価値に気づいてもらい魚、海、海ゴミという観点から、さばけるプロジェクト(動画コンテンツ)、燈の守り人プロジェクト(音声コンテンツ)、サンタカンパニー(アニメーション)、ブルーハンター(電子コミック)というユニークな4つのプロジェクトをご紹介いただきました。

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環境問題などあるなかで、そもそもの問題意識として「最近の子どもたちは海が好きじゃない」そうです。紫外線、海に行くハードルなど…藤原さんはこちらにはショックを受けたそう。好きじゃないものに興味はもてないし、海の価値も深く考えられたこともない。
そこで、海の魅力を伝えるために立ち上がったのは「さばけるプロジェクト」。7、80種類ほどの魚の捌き方などをYouTubeでアップすることで、老若男女から人気を得ているそうです。最近の子どもたちは映像を良くみているので、有効な手段かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=mN5WiVjsIFM
灯台擬人化プロジェクト「燈の守り人」は、もう要らなくなった灯台(開国で必要だった)に文化的な価値を見出し、擬人化した音声コンテンツです。推しの力で文化を守れるなんて凄いですね。
物語をつくり人の心にひびくものを作ろうをヴィジョンとして、社会課題を一人ひとりが連帯できる物語、地域の宝を掘り起こし、地域の誇りと笑顔を増やす物語。マンガ、アニメ・ゲーム等の手法で社会を動かす物語を作るということを達成するための3つのミッションをご紹介くださいました。
また、社会課題はどこか遠くの話ではなく「あなたの隣にある」のだと知らせる物語、地域の宝に気づいていないのは実はその地元の人たちであるという物語、押し付けがましくなく楽しんで知ってもらいたいという目的を持った物語などを作っていきたいということでした。日本人に身近な漫画やアニメを媒介にすることで、伝わるものもあるのかもしれません。
問題解決の糸口としては、課題を知り、現状を知り、伝えたい相手を知る、知らせ方を知る。まずは目立っているライバルを観察しマネをすることから始めるといいそうです。
今回は日本とアメリカのオンラインということもあり、今後は両国のローカルを結んでいける活動ができると面白くなるという話でも盛り上がりました。EDIT LOCALニューヨーク支部もできるかもしれません!

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文:トミオカ クミコ

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