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流動的で形にとらわれない。一言で説明できないのが森ノオトの魅力。寺家ふるさと村四季の家・用田英理子さん(JIKEマルシェ協力)

森ノオトにかかわる人たちの声を聞きながら、ローカルメディアのあるまちの現在を描いていくインタビュー企画。8回目は青葉区寺家ふるさと村のウェルカムセンター四季の家の職員の用田英理子(もちだえりこ)さんです。四季の家の窓口でいつも穏やかな笑顔で迎えてくれる用田さん。森ノオトとはJIKEマルシェや味噌づくりなど「農」を軸に思いをともにする存在です。そんな用田さんに事務局長の宇都宮がお話を伺いました。


—— 森ノオトの事務所のある鴨志田町と、四季の家のある寺家町はお隣同士。私をはじめとして、寺家ふるさと村が大好きなメンバーが多い森ノオトとは、思いも距離も近い四季の家さんですが、用田さんは森ノオトのことを知ったのはいつ頃でしたか?

森ノオトのことは多分、ずっと前から知っていたんだと思います。ウェブで地域のお店とかいろんな情報を載せているのは見たことがあって、「近いのに知らないお店ってたくさんあるんだなぁ」と思ったことを覚えています。だけどどんな方たちが運営しているのかは知らなかった。宇都宮さんが取材で訪ねてきてくれた時が、森ノオトを初めてはっきりと認識した時でした。当時赤ちゃんだった娘さんを抱っこ紐で抱えながら「寺家の歴史を知りたいんです」って窓口に来たでしょう。若いお母さんたちが活動してしているんだ!と、そういう方が寺家の歴史に関心を持っているということがうれしかったことを強く覚えていますね。

2017年に宇都宮が書いた寺家町の歴史探訪の記事。執筆の際に、四季の家を訪ねて、過去の資料や写真がないかを訪ねて行った際に、丁寧に対応してくれたのが用田さんでした

—— ほんとそれからは、私は寺家町に住む住民としても、四季の家に行けば用田さんがいる!という安心感があります。森ノオトでは、2021年から「100人のひとしずく〜手前味噌プロジェクト〜」という味噌づくりの地産地消イベントを四季の家で開催させてもらったり、編集会議で研修室を借りたりと、何かとお世話になっていますね。中でも四季の家、森ノオトが運営に携わっている「JIKEマルシェ」(横浜市主催)では、一緒にマルシェをつくり上げる仲間として活動していますね。用田さんから見て、森ノオトってどんな存在ですか?

流動的に動くことができる方たちがいる!という感じです。しかもこの地域に住む人たち。きっと自分たちの活動の中でのマルシェやイベント運営の経験がたくさんあるから、私が判断に悩むことも「これでいいと思いますよ!」と言ってくれて、力強く、心強さがある。森ノオトが加わっていなかったら、JIKEマルシェはきっと形が違っていたかなと思います。

2021年12月に実験的に始まったJIKEマルシェ。四季を通して年4回、四季の家を会場に開催している。横浜市環境創造局が主催し、四季の家が共催、森ノオトでは広報を中心にした運営サポートを担当。今後の予定は7月28日(金)、10月、12月と予定。詳細はJIKEマルシェのSNSで

—— 「流動的」って言葉がうれしいです。

うん、まさにそう。四季の家でもたまに「森ノオトって何している団体?」と聞かれることがあるんですが、そう聞かれて一言で説明できない感じが、逆に羨ましい。形にとらわれていないってことでしょう。森ノオトにかかわるスタッフさんやライターさん、いろんな方が四季の家に訪れますけど、私にはとても良い意味でどの方も「キラキラ」して見えます。楽しそう、前向きという意味です。流動的だけど、軸になるものがあって、活動に参加している楽しさが伝わってくるんです。

森ノオトの味噌づくりの事業でも会場の貸し借り以上に、力を貸してくれている用田さん(左)。森ノオト理事長の北原(右)と一緒に、味噌づくりに必要な大豆を受け取りに、三澤総合農場さん(青葉区奈良町)を訪ねた際の写真

—— JIKEマルシェは「寺家ふるさと村の農景観を未来世代に残したい」、というコンセプトで、横浜市と四季の家と森ノオトが協力して運営して、今年で2年目となりますね。手応えは感じていますか?

これまでももちろん「自然を守ろう、景観を守ろう」と思って運営してきて、具体的に何をしたらいいのか試行錯誤していましたが、マルシェが始まってから点と点が線になっていくような実感があります。少しずつ、地元の農家さんが出店してくれて、近隣からたくさんのお客さんが来てくれて。発信していくことって大事なんだと感じます。これまで常々、スタッフの間でも何かやりたいねと話していて、以前に鴨志田町から寺家町にかけてのハロウィンイベントに四季の家も参加したことがあったのですが、来場者の感じとか、あの躍動感が印象的だったんです。でもそれから何をやるといいのかな?ともどかしさもあって。JIKEマルシェでこれだ!と気持ちが弾けたような感じです。なんというか、ラムネの中のビー玉が長いこと抜けなかったけど、パカンッと抜けてシュワーっと炭酸が味わえる感じ!

—— おお!ラムネ!シュワー!とっても良い表現ですね。私個人としては、この風景で子育てがしたい!と思って都内から移り住んだほど寺家ふるさと村が大好きです。ここで一緒にマルシェをつくっていける幸せを感じています。広報を中心に、これからもJIKEマルシェを盛り上げていきたいです。

こうして話してみると、宇都宮さんや森ノオトがこんな思いでJIKEマルシェにかかわっているんだぁと改めてというか新しい気づきがあります。一緒にマルシェをつくっていると実感しますね。ありがとうございました。

取材後の寺家町の夕陽。四季の家の目の目前にはこの田園風景が広がっている。

(おわりに)
森ノオトでは「こんな地域やこんな未来になったらいいな」という思いをスタッフで語り合うことが度々あります。理想はあるけど、それは森ノオトだけじゃとても実現できないことがほとんど。寺家ふるさと村の風景が残っていくといいな、そんな思いを語り合える方たちと一緒にマルシェをつくっていける幸せを感じたインタビューでした。特に印象的だったのは、森ノオトとは?を一言で説明できないことも魅力ではないか、という用田さんの言葉。ついつい簡単に伝わりやすい言葉で森ノオトの価値ってなんだろう?と考えてしまいがちですが、形をしなやかに変化させていけることこそ魅力なんだ。用田さんの言葉に、力をもらった気がします。
 
(文・宇都宮南海子)

この連載は森ノオトのNPO法人設立10周年の今年、「ローカルメディアのあるまちづくり」を、森ノオトにかかわる人たちの言葉を通じて描いていく企画です。
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