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旬のプラントベース▪スキンケア⦅キハダ⦆

キハダの木の樹皮を削り取ると鮮やかな黄色のコルク層が現れる。この黄色は日本の伝統色でキハダ色と呼ばれている。

梅雨の季節がこのキハダの収穫適期、木がすくすく育つ成長期でもある。キハダは根っこから雨をしっかりと吸い上げて、幹に水分をためこむ。樹皮をキレイに剥がしとるにはこの水分が重要なのだ。剥がした黄色い部分は乾燥して保存する。

キハダとスキンケア

スキンケアでは、キハダは地味な存在だけれど、なかなか素晴らしい仕事をしてくれる素材だ。化粧品の成分リストにキハダ樹皮エキス、オウバクエキス、フェロデンドロンエキストラクトの名前を見つけてみてほしい。

キハダのエキスには炎症を改善する作用、アクネ菌を抑える抗菌作用、肌をひきしめる作用が期待できるということで化粧品の有効成分として配合される。ストレスによる肌荒れに対応するといわれるので試してみたくなる。

キハダには紫外線が皮膚バリア機能に与えるダメージを改善する作用が認められ、日焼けや紫外線によるダメージが気になるなら使ってみてもいいかも。

紫外線により誘導される皮膚バリア機能低下をキハダ樹皮エキスが改善することを確認” 佐藤製薬株式会社 令和2年12月ニュースリリースより

キハダの黄色の正体

キハダは黄柏(おうばく)という生薬名を持っている。キハダ色の部分が薬の材料になる。キハダ色の正体はベルベリンという成分。このベルベリンはびっくりするほど苦味が強い。お茶として煮出して飲むのはつらいため、粉末や丸薬にするようだ。

ベルベリンには腸内の殺菌効果、下痢止めの効果が認められ、伝統薬「陀羅尼助(だらにすけ)」「百草丸(ひゃくそうがん)」などに生薬として配合される。旅行先などで販売されているところを目にすることも多いのではないだろうか。

打ち身や捻挫を改善するためのキハダの湿布薬は肌に直接つける外用薬として、現在でも販売されているし、キハダエキスの軟膏も人気の民間治療薬だ。

ひと昔前、海外に出かけるときにキハダの樹皮を乾燥させて荷物に忍ばせたといわれる。慣れない食事でおなかを壊したときにこの木片をなめたという。

キハダの黄色は染物にも使われる。キハダ色に布を染め上げるのだ。キハダ色に染められた布は赤ちゃんが健康に育つようおくるみにされることもあったと聞いたことがある。

キハダの実

アイヌ料理ではキハダの実を「シケレペ」と呼び、薬効のある食材として使われてきた歴史がある。現在では、食用として利用可能なキハダの実と葉が注目されている。奈良の「陀羅尼助飴」にはこのキハダの実が配合されている。

キハダはミカン科の植物で、山椒のような柑橘特有の実がなる。キハダの実がおいしくなるのは完熟した頃、梅雨の時期にキハダの木を切り倒して樹皮を剥ぐときに実は成っているが、若すぎて食べられないのが残念なところ。


キハダの実と葉の有効活用の検討(第一報)-奈良県


背の高いキハダの木の実を摂るのは簡単ではないようで、実が完熟するのは秋以降、鳥がついばんだ実が偶然に落ちてきたところを人間が恵みとしていただくのだそうだ。

有用なキハダの樹皮をとるためには植えてから25年ほどかかる。樹皮と摂るためには切り倒す必要がある。無計画にとり続ければ枯渇する。そんなことにならないよう、キハダの木が守られますように!

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