「ヒューマンエラー」より抜粋
【ヒューマンエラー】
定義
“すべきことが決まっている”ときに、”すべきことをしない”あるいは“すべきではないことをする”ということ。「期待されることが果たされなかったこと」といえるかもしれません。
すべきことが果たされないこと。
すべきことは
①規則や手順、法律などで明示されていること。
②常識で暗黙にきまっていること。
③自分が“こうしよう”と心に決めたこと
【結果としてのヒューマンエラー(すべきことから逸脱した状態)】A.D.Swaim
■ オミッションエラー(omission error):(やり飛ばし、やり忘れ)
必要なタスクやタスクのステップを行わなかった。
■ コミッションエラー(commission error):(やり間違い)
タスクは行っているが、違うことをした。
■ イクストレニアスアクト(extraneous act):(余計なこと)
本来やるべきではないタスクや行為を、タスクの中に挿入している。
■ シーケンシャルエラー(sequential error):(順序違い)
タスク遂行の順序が違う
■ タイムエラー(time error):(タイミングが悪い)
やることはやっているがタイミングが早すぎ、または遅すぎ。
【注意義務】
:職務に応じた“careful”な態度やふるまいというような意味
■ 結果予見義務(リスク予見)
:“このまま仕事を続けていたら、どのようなことになるか”という、結果を予見すべき義務
■ 結果回避義務(リスク回避)
:もし、よからぬ結果が予見できたのなら、“それを回避するための措置をとる”義務
【人間特性からみたヒューマンエラーの種類】
①人間能力的にできないというできない相談
②取り違い、思い込み、ミステイクなどの判断の錯誤
③し忘れなど、記憶の失念
④その作業を遂行するのに必要な知識不足、技量不足
⑤手抜きや怠慢などの違反
⑥チームの意思不疎通
⑦組織の不適切行為
【規則遵守を促す方法】
■精緻化見込み理論
“違反を起こすとどうなるか”という結末と、“自分が日ごろ行っている行動”とを対比させて、自分の行動を振り返らせ、自分自身で反省させる。
■認知的不協和理論
規則の意義、重要性や、自分の理想を考えさせたあとに、グループ討議、カウンセリングなどで強制的にその人の平素の行為とのギャップを指摘して、反発心(不協和感、嫌な感じ)をあおる。その反発心は、そのギャップを埋める行動を促す。
■集団雰囲気
全員が同じ意識をもっている集団の中で、一人だけ異なる意識をもっているというのは居心地が悪い。そこで、規則遵守態度の低い作業者を、高い職場に一人だけ放り込むことで、周囲の雰囲気が自分のものとして自然と染みつかせる。ただし、この逆もいえるわけで、規則遵守態度の低い職場を改造しようと、一人だけ規則遵守態度のよい者を送り込んでも、いつのまにかその者の意欲や、遵守態度が失われてしまう。このことから、ひとたび崩れた職場の安全風土を盛り返すのはたいへんなことだということがわかる。
■決意表明
朝会、小集団活動のミーティング、また年頭に今年の決意を紙に書いて全員が張り出すことなど、全員の前で自分の安全決意を表明させる。それを破ることに心理的に抵抗を感じ、決意に縛られる行動をするようになる。
■段階的依頼法
最初は十分達成できる小さな規則遵守の目標を掲げさせ、それが実行できたら徹底的にほめる、そして次にもうちょっと大きな目標を立てさせ、達成できたらほめる、という繰り返しをして、徐々により幅広く規則遵守行動を取れるようにする。手間がかかるが、自信がないもの、安全意識、意欲の低い作業者に対して有効といわれる。
【社会心理学におけるKSABモデル】
K(knowledge)規則を知っている:規則を理由とともに、知ってもらう。
S(skill)スキルをもつ:規則を実行するための技術、技量をみにつけてもらう。
A(attitude)前向きの態度をもつ:規則を守ろうという態度、気持ちをもってもらう。
B(behavior)行動できる:KSAの結果として、規則を遵守するこうどうができるようになる。
ここで、規則遵守を促すためには“A(態度)”の育成が重要。
【フールプルーフ機構】
■ フールプルーフ(fool proof)
うっかり操作によるトラブルを避けるためのもの
例①火災報知器の起動ボタンが壁に埋め込まれ、アクリル板で覆われていること
②電卓などのリセットスイッチが、ボールペンの先でないと押せないほど小さいこと
→偶発的接触による起動を避けている
■ タンパープルーフ(tamper proof)
意図的な不適切な行為を避けるためのもの
例①専門の特殊工具ではないと機器を開けられなくなること
■ チャイルドプルーフ(child proof)
甘いシロップ薬を勝手に飲んでしまわないよう、キャップは子どもの力では開けられないようにしている
【5S活動】
整理(seiri):いらないものはどんどん捨てること。
物が多いと取り間違いのエラーが増えてしまいます。
整頓(seiton):複数あるものは、取り出しやすく、もとの位置に戻しやすく、戻し忘れに気づけるようにすること。
清掃(seisou):細部まで汚れをなくすこと。その際には細部まで点検すること。
清潔(seiketsu):汚れのないきれいな状態をつくること。
躾(shitsuke):決められたことを決められたとおりに行うように習慣づけをすること。
【3段階の人間の記憶】
①感覚記憶
これは残像のようなものです。明るい蛍光灯を見つめて、目を閉じると、ボワーンと像がまぶたの裏に残ると思います。光が強ければ強いほど、長い時間残ると思いますが、それでも数百ミリ秒程度で消失してしまいます
②短期記憶
たとえば、電話番号を覚えようとすると、目にしたその番号は残像としてまぶたの裏に残るのではなく、頭の中に数字として響いています。しかし、ふっと気が緩むと、すぐに消えてしまいます。コンピューターで言えば、電気を切ると消えてしまうような記憶
③長期記憶
頭の中で意識的に繰り返していれば消失しないし、もっと積極的に“ごろあわせ”を考えていると、“覚えた”という状態になります。“覚えた”という状態になれば、気が緩んでも、再び思い出すことができます。コンピューターでいえば、ハードディスクに書き込んだようなもので、呼び出してくることができる記憶。
視覚→感覚記憶→短期記憶→長期記憶
【思い込みの対策】
①合致性を高める
②一貫性を高める
③寛容性を高める
④明瞭性を高める
⑤ワーストケースから考えるくせをつける
⑥一歩引く:視点の転換
【5S活動】は昔勤務していたスパーマーケットで徹底されてました。
おそらく刹那主義の人は感覚記憶だけでしかないのだろう。今に集中しすぎている感がある。自分の感覚を満たす為に、他者を利用する利己的な行動は感覚記憶だけで生きているからかもしれない。
自己中心的な人には他者寛容性がない。自己一貫性のみで生きている気がする。自己表現で世界を置換するつもりなのだろうか。他者寛容性がない人がトップに立つと間違いなく独裁者になる。こういう自己中心的な人は上位に登れず、底辺を這いずり回ることしかできないのだろう。民主主義の社会では、自己決定ができるだけでは役職に就けない。他者の賛同が得られなければならない。議員さん達がまさにいい例である。投票は自分一人では1票分の価値しかないからだ。他者の賛同を得るというのは至難の業である。
記憶力が良い人が得する社会。複雑な社会制度が記憶できている方が何かと重宝される。主観をいかに声高に語っても、その人だけのものなので誰にも相手にされない。
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