統合医療とかいう診療が嫌いだ!

現在、統合医療とか総合医療などの看板を出し主に自由診療で一風独特な治療をしているクリニックが意外と流行っている。

西洋医学、東洋医学、その他諸々の治療法をうたい患者に甘い声をかける。具体的には遅延型フードアレルギー検査、バイオレゾナンス、オリゴスキャン、◯◯免疫療法、ホメオパシー、Bスポット療法、便総合分析検査など何の医学的根拠のない検査を数万という大金を払わせ施行している。

例えば、実際にオリゴスキャンでグーグル検策をしてみると上位の方に上がってくるのは「怪しい自由診療クリニック」ばかりだ。それと◯◯免疫クリニックなど名乗っているクリニックでまともなクリニックを、私は少なくとも見たことはまずない。

現在、副腎疲労、リーキーガット症候群、過敏性腸症候群、アトピ—性皮膚炎、腸管カンジダ症、PATMなどの難病(実は自由診療クリニックがでっち上げた病気で本来の意味とはずいぶんかけ離れたものになっているのだが)治療法不明の病気で様々な医療機関で治療を断られ、転々とドクターショッピングをしている患者が多いのは確かだ。

こういった患者は自由診療クリニックのよい食い扶持となる。甘い言葉をかけ多額な診断料、治療法と大量のサプリを処方する。他に頼るところのない患者はいつの間にかそのクリニックの信者となってしまう。一部の自由診療クリニックの先生は芸能人に近いくらい有名人でもある。検査会社も医療用サプリもクリニックと独占契約しているケースもある。つまりグルである。

特に患者の絶対数が少ない疾患の患者にとっては、こうしたクリニックの人間が発信する情報が全てで、ネット上でも、とんでもない理論があたかも正論と扱われていて、何も真実を知らない患者が無意味で的外れな議論を展開して何も生み出さない状態である。

話は逸れるが、私は消化器内科医で潰瘍性大腸炎の患者を診ており糞便移植というものに以前から興味があった。そして糞便移植をしている研究会があることを知りセミナーに参加してみた。結果は非常に落胆した、と同時に憤慨した。まず研究会なのに何も研究していない! 研究していない割には「潰瘍性大腸炎には100%効いた!」などと書いた本を平気で出版している。「こんな研究会にはとても入れないな〜」と思っていたが私自身重度の過敏性腸症候群があり、糞便移植を受けてみる方には興味があった。 一度話だけでも聞きに行こうと思い該当する近くのクリニックにアポイントを取って受診し話を聞いてみた。糞便移植1クール6回で170万円!なんてふざけているのかと思ったが年に5〜6人は受ける人がいるそうで「おぼれる人は・・・」ということだろう。相談料ということで40分で1万円も取られて余計に腹が立った。

自由診療を行なうのはいっこうにかまわないのですが、病気に勝手な違う意味づけをして、患者があたかもそれが正論と思われるのは困る。あと自由診療というものはクリニック側が値段を設定してよいのですが、どう計算したらそんな価格になるのか、説明するべきだ。彼らには最低限の科学根拠を示してから治療をして欲しい。           

それと統合医療とか総合医療とか彼らの怪しい医療と、我々がエビデンスに基づいてまじめに勉強してきた医療をまとめてられるときわめて不愉快だ。

なんでこんな状況になってしまったのだろう?まじめに勉強して科学的根拠を証明して治療している人間が日の目を見ず、何の科学的根拠もない治療をしている一部の人間がぼろ儲けしている。原因の1つはネットなどを介して、色々な疾患概念などが欧米からどんどん入ってくるのに対して、日本では対応する受け皿がない。日本ではそうした疾患を見るGeneralistがいないのも理由の一つだろう。あとは健康系の情報サイトなどもろくなネタがないのか「あなたの体調の不良は◯◯かも?」などと怪しい情報で不安を煽ってくるのも原因の一つで、最近はテレビなどでも、不確かな情報を確認せず放送して、視聴者が誤解するだけなので辞めていただきたい。

それと、日本の専門医制度は優れているが総合的に診療できる医師がいないということです。あとは同じ病気を診る学会が複数存在して、一つにまとまればよいのにそれぞれ利権を主張してまとまりがないことなど、医療界にもメスを入れるべきところは多数存在する。

あと、最近は減ってきてはいるが「医師は患者よりはるかに偉くて、患者は医師の言うとおりにすればよい」と考えている医者がまだまだ多いのは事実だ。最近で気になるのは、研修生だった若い医師が4〜5年もすると態度だけは「大先生」になっているのをしばしば体験することだ。

かって医局制度が順調に機能していた頃は教授の権威は絶対的なものだったし、医局のためにと辛い勤務地でも誰も不平を言わずにやってきた。当然自分の時間などほとんどなかった。現在は医局制度は破綻して、医師は誰よりもまず自己のQOLを高める生活ができる時代だ。私は「きつかったけど絶対昔の方が楽しかった」と思っているのだが、ことわざで「昔はよかった、などいう人間は引退した方がよい」と誰がいっていたなぁ〜

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