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影に踊らされて


日々は、まるで古い映画の一コマのように、ぼんやりと過ぎ去っていく。朝の光が窓から差し込むのを見ても、心には何も起こらない。時間だけが、無言でそこを流れていく。

あたしがいつからか、この世界の色を薄れさせてしまったように感じる。かつては明るく映った景色も、今ではグレースケールで覆われている。昔、心躍らせたアニメのキャラクターや、ゲームの冒険も、今や遠い星の光のように、手の届かないものとなった。

この感覚は、ひょっとして自分だけのものではないのかもしれない。多くの人が、何か大切なものを失ったような、取り返しのつかない虚無感に苛まれているのではないだろうか。それは、まるで夜空に浮かぶ星々が、一つずつ消えていくような寂しさ。

あたしは、子どもたちと遊ぶことが好きだった。彼らの無邪気な笑顔や、純粋無垢な瞳には、いつも救われる気がした。でも、今はその笑顔さえも、水の底から見上げる光のように、遠く感じるのだ。

もし、これがうつ病がもたらす「迷いの森」なら、あたしはまだその出口を見つけられていない。でも、その中で一つだけ確かなことがある。それは、この森を抜け出す鍵は、どこかに隠されているという希望。その鍵を見つけるために、あたしは今日もまた、ぼんやりとした光の中を彷徨い続ける。

そして、あたしは思う。本当に大切なものは、決して色褪せることはないのではないかと。それは、変わらぬ愛や、時間を超えた絆。そんなものを、もう一度、この手に取り戻す日が来るのを夢見て。

愛犬のおやつになります。感謝感激