アイワナ共同製作ノウハウ(eden手法)

※2017年1月9日にニコニコ動画のブロマガで掲載した内容です。ニコニコ動画のブロマガサービス終了に伴いnoteへ移転掲載させました。

※「アイワナ」とは「 i wanna be the guy 」を筆頭とする超高難易度2Dアクションゲームのシリーズを言います。同人ゲームの中では非常に製作が簡単で良し悪しは様々ですが2021年8月現在で1万を超えるアイワナ作品が世に出ています。


これまで長年に渡ってアイワナ製作をしてきた中で、自分なりに工夫した取り組みや考え方のうち、他の方にも有用と思われるものを記載していきます。

中でも、取り組み方法が難しくノウハウがあまり見つからない共同製作の注意点を中心に述べさせていただきます。

共同でアイワナ製作される方が見受けられますが、製作者同士のトラブルなどにより頓挫するなど苦労話が絶えません。自分の2作品目以降はどれも共同製作をしてきたところ、作品公開後に振り返りを必ず行って反省点を洗い出しますが、共同製作特有の反省点がかなりのウェイトを占める状況です。

本ブロマガは基本的に共同製作を念頭に置いて記載しますが、一人で製作する際にも有用な事項が多数あると考えられます。また、アイワナ製作を念頭に置いて記載しますが、他のゲーム製作にも共通するものが多数あると考えられます。

直近で製作したアイマスアイワナで使用した各ドキュメントを公開しますので、参考になるものがあれば併せてご活用ください。

今回記載する事項により、多くのアイワナの共同製作がトラブル無くスムーズに進み、より多くの良い作品が公開されればと願っています。

なお、アイワナ製作を行う上で使用するソフトのGameMaker操作方法については、すでに有用な記事が多数存在しているため記載しません。
(GameMakerで開発するゲームのファイル名は「xxxxx.gmk」となり、後の説明でGMKと呼んでいます。)

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■目次
 1. 企画・設計
 2. 実装作業
 3. 進捗確認
 4. テストプレイ
 5. トラブル事例
 6. 最後に
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■1. 企画・設計

○作品のコンセプト、各ステージのテーマを決めます。
 ⇒各ステージのテーマを決める際、素材(画像・BGM)の入手が可能か考慮した上で決定します。素材の入手が難しいゲームのパロディステージをテーマとすると、実装時にテーマ変更を余儀なくされる場合があります。
 ⇒手っ取り早くゲーム素材入手には次の2点が王道と思われます。
  ◇おなじみ「Spriters-Resource」のWebサイトで画像検索。入手した画像はペイント等でくり抜き・サイズ変更。
  ◇ニコニコ動画でBGMを検索。入手したBGMはフリーソフトの「SoundEngineFree」でくり抜き・音量調整。

検索しても素材が出てこない場合、ゲームソフトを購入し、キャプチャボード等を用いた次の方法で入手が可能です。
  ◇PrintScreen機能を用いて入手した画像から、必要な部分をペイント等でくり抜き・サイズ変更。
  ◇「SoundEngineFree」で録音し、必要部分のくり抜き・音量調整。ゲーム素材入手は、ゲーム素材の二次使用が認められている場合に実施します。

○共同製作を持ちかける際「一緒に作ってもらえませんか」と依頼の形式にするのは推奨しません。あくまで「一緒に頑張りませんか」と同じ立場で作業するようお誘いします。依頼の場合だと、相手が「やってあげてるんだ」という意識で、無責任な行動をしても咎めることができなくなります。いくら有志とはいえ、各自が多くの時間を割いて完成に向けて励む中、無責任な行動を取らせないよう注意する必要があります。
○各ステージで共通の仕様や注意事項があれば併せて決めておきます。
○「作品タイトル決め」「ステージ連結作業」「readme作成」など、公開までに必要な全作業の項目出しをします。作業項目一覧は誰が何をするかの分担を決め、全体の進捗状況確認にも使えます。
○決めた事項は別途メモファイル等で保存し、共同製作者全員で共有し、意見を求めたうえで確定させます。通話やチャットへの書き込みのみの場合、取り決め事項を後から確認するのに苦労することとなります。

参考に、直近の共同製作で使用した設計書の抜粋を公開します。
  ★http://www.mediafire.com/file/fmtzdb6s7drgs40/★

■2. 実装作業

○各製作者が使ってよいトリガー番号の範囲や、変数の命名規則など、実装時に必ず守らないといけないルールを決めておきます。これも別途メモファイル等で保存し、共同製作者全員で共有し、意見を求めたうえで確定させておきます。共同製作の人数が多くなったり製作期間が長くなる場合、ルールを忘れて違反する人が出やすいため、作業開始時には一読して取り掛かるよう促す必要があります。特に、初めて分担作業をした方の成果確認(動作確認)をする際には、ルール違反となっていないか注意深く確認する必要があります。

直近の共同製作で定めた実装時ルールについては、公開した設計書抜粋に記載していますので参考にご参照ください。

■3. 進捗確認

○各自が作業にそれぞれ取り掛かる際、何をいつまでに完成させるかを確認します。作品完成までの期限が無い場合でも、各自の作業期限を設けることを強く推奨します。いつまでたっても作業すら取り掛からない、または、作り方が分からない・モチベーションが下がることで製作作業を放置される危険が非常に高いです。今までの経験から、長くても1か月以内には1つの作業(ステージ・ボス)を完成させるように期限を設けた方が良いです。
○1週間に1度は各自の製作状況について確認の場を設けます。
 ⇒確認事項は「今週の進展度合い」「次週の予定」「完成見込み」「課題・困っていること」の4点です。 順調に進んでいる場合は問題ありません。進んでいない場合、まずは1週間で合計何時間作業をしたか確認します。
 ⇒作業時間は十分だが進展していない場合は、完成見込み時期を確認します。見通しが明確であれば問題ありません。作り方が分からない、素材収集に時間がかかっているなど、課題を確認し、解決方法を一緒に検討します。
 ⇒作業時間をそもそもほとんどとっていない場合、なぜ時間が取れないか確認します。突発で入り込んできた急用であることが明確に分かる理由であれば問題ありませんが、他の理由であればモチベーションが落ちており非常に危険な状態です。モチベーションが低い状態ではやらされ作業となり、成果物のクオリティ低下は避けられません。モチベーションが戻るには相当の時間がかかります。しかも、モチベーションが落ちて時間を取らない場合、完成に責任を持って取り組まなければいけない立場であることを忘れ、作品の完成を遅らせる迷惑をかけている意識が欠けており、いくら指摘したところで、「逆切れ」「自分の都合を押し通す」「共同製作脱退」の結末を迎える可能性が濃厚です。「最低限どこまで担当させるか」「分担の見直し」を早急に検討し、脱退に備えて「引継ぎ方法」「代替要員を誰にするか」の検討も始めた方が良いです。また、途中でも現段階の成果をいったん全て渡してもらうことを推奨します。脱退することとなった場合には、引継ぎを何もせず無責任に逃げて、以後の連絡が取れない可能性が濃厚です。現状の成果物を確認し、不明点は聞けるうちに全部聞いておきます。

■4. テストプレイ

○製作者が自分でプレイしているだけでは気が付かない点が必ずあるため、製作者がどれだけテストプレイをしていようと、第3者によるテストは必ず実施します。
○テストプレイをどのように進めるか実施要領をまず定めます。例えば次のような事項が考えられます。
 ⇒秘密裏に進めるため、ニコ生でクローズコミュニティを使ってコミュ限放送
 ⇒放送外でプレイ可とし、テストプレーヤーからコメントがあればテキストファイルにまとめて製作者に送付
 ⇒テストプレイ期限
 ⇒テストプレイのペース目安(1週間に1時間以上など)

参考に、自分が直近の共同製作で定めたテストプレイ実施要領の抜粋を公開します。
   ★http://www.mediafire.com/file/25scx5261108zaj/★

○テストプレイにも進捗管理が必要です。特に、難易度が高くクリアに長時間を要する場合、プレイするのが辛くなってくるのが自然であり、テストプレイがおざなりになるものです。最低限1週間に1度は取り組んでもらうなどペース目安を定め、常にテストプレーヤーの取り組み状況を確認し、毎週に結果報告をするとペース継続を促せる可能性が高くなります。加えて秘密裏にテストプレイを進める場合、リスナーがいない中で一緒に攻略を頑張れる仲間が限られることから、テストプレーヤーの精神面での負荷は一層高くなるためテストプレーヤーへの配慮は細心の注意が必要になります。一緒に完成に向けての責任を負う共同製作者とは立場が異なり、貴重な時間を割いて協力してくれている敬意を忘れないよう気を付けなければなりません。

■5. トラブル事例

 以降の説明における前提として、「共同製作作品の所有権と扱い方の制限について」述べておきます。
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  共同製作作品は全て共同製作PJの共同所有物であり、共同製作においてのみ使用可能なもので、実装者個人のものではありません。

  例えばアイマスアイワナの貴音ステージでは、テーマ設定はもちろん画像素材や貴音のセリフ音用意、長時間のテストプレイや多数のコメント等も含め、実装者以外の多大な労力がかかっています。各ステージはステージ実装者の個人都合で好き勝手に扱ってよいものではなく制限がかかるのは当然です。

  共同製作PJから脱退した人が出た場合、その脱退者が作成したステージについて所有権や扱い方の制限が変わることはありません。
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 これまで5作品を共同製作で作成してきましたが、最もひどいトラブルで大変苦労した事例を紹介します。他の共同製作で同様のトラブルが発生してほしくないことから、Skypeグループチャットログの抜粋版を参考に公開します。グループチャットログの公開実施については関係者全員に確認済みです。
  ★http://www.mediafire.com/file/554ycvn1teqw2g5/★

 公開したチャットログのトラブルについて、時系列の出来事を以下に記載します。補足事項は[※]として記載します。詳細はグループチャットログや、つたしんさんの公開アイワナを参照ください。

 2013/06/21:
  アイマス・アイワナの共同製作PJとしてSkypeグループチャットの作成
  全体設計構成検討開始
 2013/07/06:
  全体設計構成検討終了
  ナス太郎さん、1ステージ目実装作業開始
 2013/07/20:
  ナス太郎さん、1ステージ目実装完了
  eden、1ステージ目実装作業開始
 2013/08/11:
  eden、1ステージ目実装完了
  つたしんさん、1ステージ目実装作業開始
   ※つたしんさんの様子が8月末から急激に不穏化。製作バトンが回ってから相当日数が経っても製作進捗報告が無いうえ、Skypeチャットの返信が遅く、コミュニケーションに差し支え始める。
 2013/09/27
  つたしんさん、風邪回復まで作業休止
   ※実際は別の共同アイワナ製作作業に専念
    ⇒遅れが出ているにも関わらず嘘の理由を付いて作業を放り投げ、他から持ち掛けられた別のアイワナ製作作業に着手。別の共同アイワナ製作を持ち掛けられたのは8月とのことで、大ボリュームで作りこみが大変なアイマスアイワナ製作を差し置いて別件を優先させたことになります。
  ナス太郎さん、2ステージ目実装作業開始
 2013/11/02:
  ナス太郎さん、2ステージ目(道中)実装完了、作業休止
 2013/11/04:
  つたしんさん、作業再開(1ステージ目)
   ※別の共同アイワナ製作作業していたことを何の謝罪も無しに話し始め、そちらの製作で疲れてモチベーションが落ちてるから分かってくれなど    意味不明な言い訳をし始める。ここで無責任な行動について厳重注意を実施。
   ※つたしんさんのGameMakerがPro版になったことでGMK結合を前提としたアイワナ製作の並行作業が可能に。つたしんさんでGMK結合作業を実施。
  eden、2ステージ目実装作業開始
 2013/11/26:
  eden、2ステージ目実装完了
 2013/11/28:
  つたしんさん、1ステージ目(ボス)&2ステージ目(道中)実装完了
   ※あまりにも短時間でのやっつけ仕事でクオリティがボロボロであったため、大量の修正指示を実施。次年度に就職活動とのことで就職活動開始前(年度末)までの担当作業分(全4ステージ)完遂が怪しくなってきたため、1週間ごとの作業予定時間管理を開始。
   ※12/1より別アイワナ(permanence2)製作作業に専念。12月1週目の作業時間が全く取れておらず無計画っぷりを再注意。時間が取れなかった理由として年末でバイトが忙しかったと理由を挙げているものの、アイワナ製作作業時間をアイマスアイワナ以外の別アイワナ製作に充てていた模様。
   ⇒つたしんさんが12月頃から逆上して悪意を持った妨害行動に出始める。
  ナス太郎さん、作業再開
 2013/12/16
  つたしんさん、モチベーション維持困難により作業休止
   ※1週間の休止で12/23からの再開としていたところ、製作方針打ち合わせ通話の約束を無視。年度末までの担当作業分完遂スケジュール作成を拒否。1週間の作業時間管理も拒否。進捗報告は進展があった時に一方的にすると告げて音信不通に。
 2013/12/24:
  ナス太郎さん、2ステージ目(ボス)実装完了
  ナス太郎さん、3ステージ目実装作業開始
 2014/01/28:
  つたしんさん、共同製作PJから脱退(引継ぎ一切なし)
   ※4週間全くGMK結合作業がなく製作者者同士でのテストプレイに   差し支えるのと、進捗報告が無かったため状況確認したところ、進捗成果としてのGMK提示とGMK結合作業を拒否。あまりにもわがままが過ぎるため厳重注意したところ脱退。
 2014/03/24:
  つたしんさん、貴音ステージを盗用したアイワナ(permanence2)を公開
 2014/08:
  つたしんさん、春香ボス・貴音ボスを盗用したアイワナ(Clever Maiden)を公開

 グループチャットログのテキストファイルを見ると分かりますが、つたしんさんの有り得ない行為によりedenの口調が強くなったりしていましたが、 柔らかい口調だったらうまくいったかと言えばそうでも無いであろうことは 容易に想像ができるため、いまだに自分がどのように立ち回れば良かったかは答えが出せていません。ナス太郎さんも自分も改善できる点はあろうが落ち度は全く無かった認識です。

 ナス太郎さんもedenも他の共同製作者に迷惑が掛からないよう、製作バトンの順番が回ってきていて遅れが出そうな場合には睡眠時間を削るなどして、平日4時間・休日10時間作業をしているような状況で、つたしんさんの自己中心の無責任で身勝手な行動をされ頭に相当きていました。たった1人でもそのような人物が共同製作に携わっていると、実装作業など純粋な製作作業に加えて実時間・精神面の両方でとんでもない労力を使わざるを得なくなります。 ゲーム製作作業が辛いのは当然で共同製作者一同みな同じでであり、いくら趣味の範疇とはいえ与えられた役割を責任をもって遂行できない人は共同製作に参加すべきではなくて、「共同って楽しそう!」のような 気楽な姿勢で参加するのは避けるべきだと考えます。共同製作に参加する場合、そこには数十時間~数百時間の作業が伴うこと、他の共同製作者に迷惑がかからないよう責任ある行動が求められることを念頭におくべきです。

 一般的にネット上で募った有志でゲームの共同製作を進めることは大変難しいと言われています。これは私の推定ですが、ネット上のつながりではコミュニケーションの制約が大きな原因ではないかと考えています。チームを円滑に進めるために必要なコミュニケーションとしてよくあげられるものとして、職場など同じ作業スペースであれば、声のトーンや顔の表情から様子を毎日伺って、お菓子の配布や、聞き耳を立てて協力できる事項があれば速やかに申し出るなど細かい気配りの他、ご飯会や飲み会で交流を深めることができますが、ネット上ではこれらができません。ネット上の有志で集まる場合、よっぽど仲のいい製作者同士でなければ共同製作を成功させるのは難しいかもれません。

 1人1ステージのみ作成といったように各自の作業分担を少なくできれば、 比較的安全に共同製作を成功することができるだろうと考えています。作業分担が少ないと、短期集中ですぐに作業を終わらせることができ、トラブルの元となるモチベーションの低下を防ぐことができるためです。そのためには、次の2パターンが考えられます。
  ①2~4ステージだけの短編作品
  ②共同製作者を10名にするなどで取り掛かる長編作品
   ※製作者の人数が増えれば増えるほど、製作されたステージのボリューム・難易度調整が大変になることや、コミュニケーションのトラブルが起きやすく、いかに統制を取るかが課題となります。全員での議論は避けた方が良く、少人数の先鋭で意思決定を進めるか、旗振り役がほぼ全ての指示出しを行うことになろうかと考えられます。


■6. 最後に

ここまで共同製作の注意点を中心にノウハウを記載してきましたが、共同製作の旗振り(監督)役をする方はかなり荷が重くなります。

うまく進んでいるときは旗振りの技量を問われることは無いのですが、うまく進まないときにこそ真価が問われます。旗振りは主にマネジメントの話であり、多くのアイワナ製作者にとって学ぶ機会が少なく、ハードルは相当高いと考えられます。
ゲーム会社でのゲーム製作プロジェクトでは、「ディレクター」「プロデューサー」などマネジメント専門の方がいらっしゃり、規模の違いはあれどアイワナ共同製作で発生するものと似たようなトラブルで四苦八苦するほどです。

アイワナの共同製作において、実装作業は一切せずに旗振り役だけに回れるケースは稀だと思います。実装作業ですらかなりの労力を費やすうえに、旗振り役もこなすのは身を削る作業となりますが、共同製作は負担を大きく上回る多大なメリットがあります。
○ひとりでは時間的・分量的に厳しいボリュームに取り掛かることができる。
○分担によって製作者特有の違いが生じ、遊び手は変化を楽しめる。
○技術的な問題が生じた際、一緒に解決方法を検討してくれる仲間ができる。
○長く辛い作業の中で悩み相談をしたり励ましあう仲間ができる。
○ひとりでは思いつかない発想ができる仲間がいる。
○知らない技術を教えてくれ、技術力向上に切磋琢磨できる仲間がいる。
この通り、人海戦術だけでなく各製作者同士が協力することで相乗効果が見込めます。

ひとりで作るよりも、関係者が多ければ多いほど、素晴らしい作品ができるものと確信しています。

共同で挑む方を始め多くのゲーム製作者の方が素晴らしい作品を作られることで、アイワナを含む同人ゲーム界が盛り上がることを願い、本ブロマガを締めさせていただきます。

長文となってしまいましたが、参考になるものがあれば幸いです。

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