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すぐ隣に存在しうる、青い庭の君へ。

善く居ようとしすぎた。拍手喝采に包まれる会場でライトの当たる君に、おめでとうと言ったのは本心だ。誰が何と言おうとそのまま突き進み、こんな道があるんだ、あんな道もあるんだ。やってみれば、いいんだよ、と言い続けて欲しい。でも、あなたにエールを送るたび、あなたに良いことがあるたびに、混沌とした悲観に溺れていく。それはあまりに身勝手で、悪事を犯したのに正当だと言い張る愚か者のよう。はっきり、くっきり、私はあなたが羨ましい。ここまで至るのに、あなたがしてきた努力を至近距離で見てきた。家族の特権だった。弛まぬ努力の行き着く先に、今のあなたが居ること、その素晴らしさ。羨ましいという言葉があまりに滑稽であなたに対する侮辱の言葉であることを知っている。この先、あなたの前でその言葉を口にするつもりは無い。

だから、羨ましさを、ただ抱えさせてくれ。

加工不可な他人に、首を突っ込む人の話は気持ちが悪い。
放ればいいだけなはずなのに、ぐちゃぐちゃと踏み躙る。
その音を遮ろうにも、その雑音が脳をジャックする。
離れたい。
あなたとは違う、私は、あんたみたいな奴じゃない。
離れたい。

だから、あなたを見ると安心するのか?
だから、あなたを希望めかしく仕立ててしまうのか?
あなたのようになれば、この場から離れられると思っているのか?

手段のように思ってごめん。
あなたになれば、あなたになれば。
今はそれしか、考えられない。
いつか、あなたのことを考えることが無くなればいい。

私のことを、私だと。
考えられれば、それがいい。

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