見出し画像

「機動戦艦ナデシコ画集」のセル画宇宙に「ときめき」

「機動戦艦ナデシコ画集」が届きました。本を開いて最初に目にする絵、TVシリーズのキービジュアルが、とても懐かしくて。あの頃のアニメの肌の色や、体型や手にちょっとディフォルメのつよい、けれどそれまでのアニメとは何かがちがう感じのあるキャラクターデザインに、どんな番組になるのか、ワクワクしたのをあざやかに思い出しました。色あざやかに思い出せるくらい掲載されているセル画が美しくて。

アニメ「機動戦艦ナデシコ」は、雑誌でイラストをとても多くみる作品だった印象があります。その版権イラストが大集合したこの本は懐かしさと同時に、セル画の美しさを再確認できる内容でもあって。TVシリーズの頃のピカピカっとした雰囲気のイラストにも、劇場版でのシックなムードのあるイラストでも、セル画にはおなじように独特のきらめきがあってウットリしてしまいます。後藤圭二さんのカゲの使いかたが濃密になってゆく時期のルリルリのイラストはもう、色と線とのバランスが、ため息が出るくらいの美しさと完成度で。一部のイラストは原画も掲載されているのが嬉しかったです。紙に鉛筆と色鉛筆で描かれた絵、でありながらも、色鉛筆の塗り具合がすでにイラストとしての品格を醸し出していて、これまたウットリしてしまいます。

セル画そのものの美しさ以外にも「アニメディア」誌掲載の着物!バレンタインデー!プール!文化祭!といった季節感バリバリのイラストに、そうそう、アニメ誌のイラストにはこういう文化がある。と、しみじみうれしはずかしい気持ちになったり、「ゲキ・ガンガー3」のイラストは色の押し出しがつよい!たまらない!と、熱い気持ちになったりもしました。「ゲキ・ガンガー3」では雑誌掲載時はぶっとい線が印象的だったセル画の主線が保存状態か経年か、退色しているものもあって。残念なことではあるのですが、はからずも「むかしのロボットアニメ」っぽさを倍増させていて、それはそれで熱くなってしまいました。それから、鈴木雅久さんや武半慎吾さんによる劇場版のイメージボードがあらためてまとまったかたちで見られたのも嬉しかったです。

巻末には番組プロデューサーの佐藤徹さん、各話演出、「ゲキ・ガンガー3」、というか、ルリルリの交通安全ポスターのシートベルトの作画まで、本作ではいろいろなお仕事をされていた羽原信義さんのインタビューも載っています。その内容も2021年のいまだから語れる話になっていて。さらっと意外なかたのイラストも載っていたりして。「ナデシコ」をお好きなかたにはもちろんオススメ、というか勧めるまでもなくという一冊ですが、羽原さんや「ヤマト2202」を好きなかたへもこっそりオススメしたい一冊です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?