「2205」での新たなる旅立ち
「宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち」に参加させていただいております。プロップデザイン、セットデザイン、メカ作画監督を担当させていただいております。「前章 -TAKE OFF-」の上映はきのうで終了となりましたが、3つの劇場では好評につき11日まで追加上映されているとのことです。すごいことです。2022年2月4日から上映のはじまる「後章 –STASHA-」もよろしくお願いいたします。
プロップデザイン、という区分の中では、前章でちょいちょい画面に映っていた、主計科のクルーが食品を運ぶカートをデザインしています。食品をいれた番重を上に載せた状態で登場することが多いこのカートですが、番重は内部に収納することもできます。側面が上下に開いて5個、後部に1個の、計6個。側面は両側面とも開閉することができるつくりで、艦内のどこへ行っても番重を素早く取り出せるようになっています。…などというと、ホントはこうだったのに〜という話であるかのようですがそうではなくて。本来は内部に番重を収納した状態で各所に赴き、使用済みのものを上に載せてゆく、という使いかたを意図していたものが、出動件数が多すぎるために積載量が常時MAX状態になってしまっている、どんだけ忙しいんだヤマト。という感じを、むしろ狙ってみました。
設定画では、同じ画面の中にカートだけの状態のものも、番重を載せた状態のものもあるのですが、いちばん印象に残る画は後者になるように構図をとったり、カゲつけもその画がいちばんドラマチックで目に残るようにしてみたりもして。また、登場人物の側にある場面が多いということで、ディテールはヤマト艦内らしいラインでありつつ、シルエットはなんというか愛嬌がある、食品カートにつかう言葉ではないかもしれませんが、カワイイ雰囲気にしてみています。
この設定画もですが、メカ作画監督作業など、今作ではすべての絵をデジタルで作画しています。「2199」「2202」に乗艦していた頃にはなかった、「2205」から始まった新たなる変化です。消しゴムのカスが出ない、消しゴムで消す時に紙がグシャッとならない、などの利点もありますが、ものの大きさ感、カートの設定画でいえば番重の収まり具合などを手描きで作業していた頃よりもゲンミツにチェックしながら描けるようになったことは何よりも大きいです。そのことで、これまでと絵が変わった部分も変わってしまった部分もあるのでしょう。それが良かったのかどうかは自分自身ではまだ冷静にみえていないところもあります。続けてゆくことでしか答えへたどり着けない果てしない旅、なのかもしれません。
そんななか、先日、第二話で制作協力をされていたstudio MOTHERのかたと世間話をする機会があって。最近どうですかーなどと、つらつら話す中で、そういえば二話でメカ作監やっていますよね?と、言っていただいて。そのかたはXEBECにいらした頃、10年近く設定画を中心に絵をみてくださっていたかたで。事前に何も話をしていなかったのに、絵だけで気づいてもらえていたことにとてもびっくりして。そして、なんだかとても嬉しい気持ちになりました。
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