IPOを目指す資本政策の要諦

■10年後から逆算する。
まず基本です。
10年後の利益と時価総額はどのくらいになっていたいか、大きな夢を描きましょう。
10年後なので、思い切った夢でよいです。やっていること(ビジネス)は変わりますので。でも、一番大切な部分かも。

しかしこれはあまりに基本であり、誰でもやることなので、今回お伝えしたいのは以下の方です。

■オーナーシェアはできる限り高く維持したまま上場する。
資本政策の本番は上場後です。
よって、
・上場前に安く第三者に割り当てをしない。
・流通株式は上場規制のミニマムで計画する(25%等)。

これによって、「上場後に、ファイナンス政策を柔軟に検討することが可能」になります。
上場後は、自社株式を用いたM&Aや資本提携、エクイティファイナンスの機会が多く生じます。
その際、株価は高い方が有利であるし、オーナーシェアは高い方が迅速な意思決定が可能です。
逆に、オーナーシェアが低いと、会社の意思決定がスムーズに行えないことがあります。
また、流通株式が多いと、株がだぶつき(過剰供給)、高株価を維持できない要因のひとつにもなります。
そのために、少なくとも上場前に、オーナーシェアを無駄に安い株価で切り分けてしまうことは避けましょう。
典型例としては、資金がひっ迫していないにもかかわらず「何となく」VC(CVCや事業会社等の取引先)に割り当ててしまう例。VCに割り当てた株は、オーナーシェアを下げ、上場後まもなく市場売却されるので流通株式となります。割当時期はもちろん上場前なので、高い株価で割り当てることもできておりません。その意味で安売りして身を切ってしまったことになり、上場後の資本政策の柔軟性を阻害する要因となってしまいます。
繰り返しますが、会社の資本政策の本番は上場後です。従って上場前は可能な限りオーナーシェアを保持し、上場時の流通株式を抑えるようにしましょう。

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