経済学研究科に合格するまで.2 教科書
前回では院試までのスケジュールとかについて書いたので,今回は教科書をご紹介します.
とはいえ,自分はミクロ・マクロで受験したので,統計(エコノメトリクス)に関しては情報がありません.たぶん,新世社のものなどをつかうんじゃないかな…?
また,勉強する順番に関しては基本的に数学(学部で触れているなら省略してもいいかと)→ミクロ→マクロという順番で進めることをお勧めします.学部中級の教科書では最低限の数学(微分等)の知識は必須です.また,マクロはミクロを基礎としている部分があるので,ミクロ演習後の方がスムーズに学習できると思います.
以下,この順番で教科書を紹介していきます.
1.数学
2.ミクロ
3. マクロ
1.数学
数学は『経済学で出る数学』で勉強しておけば十分な気がします.
本書は本当に易しいところから解説をしてくれるので数学に苦手意識がある人でも手に取れると思います.たぶん本書を読み終われば教科書の大体は読めます.
次に自分は『現代経済学の数学基礎』を読んだのですが…
院試レベルではいらなかった気もします.行列の問題なども(過去問見ても)出題されなかったので…
不安な人はこちらも読んでおけば数学は大丈夫だと思います.ちなみに上下巻ありますが,学部レベルでは上巻のみで大丈夫です.下巻では動学分析で用いる数学を記載しているようです.
2.ミクロ
ミクロは学部レベルの講義を受けていたら中級の教科書を読み始めることが出来ると思います.そうでない人は『入門経済学』などをワンクッション入れても良いかもしれません.
おすすめというよりも講義で使ったので持っていただけですが,ミクロ・マクロともに紹介しており,事例なども紹介しているとっつきやすい本なので読みやすいと思います.
中級ミクロの教科書は武隈ミクロ,奥野ミクロを使いました.どちらも対応する演習本も出ているのでそちらとセットで勉強しました.奥野ミクロをきっちりやったら武隈ミクロはやらなくてもいい気もします.以下でもっと細かく紹介します.まずは奥野ミクロから.
奥野ミクロで(経済分析はともかく)院試レベルのミクロは学習できるように感じます.内容としては説明も厚く,コラムで現実上の問題と併せて考えるものなどもあり,なかなか面白いです.また,ゲーム理論の説明が詳しいのも特徴です.中級マクロの教科書で迷ったらこれがお勧めです.
次に武隈ミクロです.
こちらは対照的に数学を用いたすっきりした説明が特徴です.数学が得意な人ならこちらのほうが読みやすいかもしれません(自分は少ししんどかったです…).
また,双対性アプローチや国際貿易,投入産出分析(後者2つは試験に出る大学があるかはわかりませんが…)などは奥野ミクロには載っておらず,勉強するなら武隈ミクロも購入するとよいと思います.
演習の問題量も多いので,教科書は奥野,演習は奥野,武隈両方という使い方もできるかもしれません.
ただし,ゲーム理論は少し薄いので武隈ミクロだけで勉強するなら別の演習なり,教科書で補う必要があります.
ミクロは神取ミクロも読みやすくていいと聞くのですが,いかんせん自分は読んでないのでわかりません.ただ,こちらは最近演習も出たので,以前よりも学習しやすくなったと思います.知っている人は良かったら教えてください
3.マクロ
マクロは堀・二神マクロだけで勉強していました.ネットで調べてもこの教科書が一番目につきましたし,実質デファクト・スタンダードなんじゃないかなと思います.
こちらは章末に演習もついているという教科書になります.ただ,解答は公式HPから取得する必要があるうえに,論述問題は解答が省かれたりします.
前半しか解答は乗っていませんが,こちらのサイトも参考にしました.
いろいろ書きましたが,マクロは堀・二神マクロを問題演習まできっちりこなせば合格できると思います.
また,マクロの演習としては『入門マクロ経済学 スタディガイド』というものも利用していました.
こちらは中谷マクロの演習のようなのですが,これ単体でマクロの基礎演習は十分にできます.自分はこれと堀・二神マクロを並行して勉強していました.また,著者が阪大の大竹先生なので,阪大の院試を考えているのだったら購入して損はないと思います.
というわけで今回は教科書を紹介しましたが,長くなりすぎたので一回ここで終了としたいと思います.次回は参考文献作成時に参考にした本や使った英語の教材を紹介したいと思います.
よかったら質問やリアクションなどいただけると嬉しいです.
追記
第3回書きました!
サポートいただいたお金は教科書や研究に関する本に使いたいと思います.読みたい本がいっぱいあるので…