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遺伝子壊変させられた紅麹菌

2024年3月
食品添加物 紅麹の食中毒事故が起きています。
原因物質の候補もいくつか挙がっています。
真の原因の調査が続いていると信じたいところです。

しかし、まだ幾つかの懸念があります。

遺伝子壊変させられた紅麴菌

今回の食中毒の原因になった紅麹を生産した小林製薬(株)のWebサイトには、紅麹についてのうんちくがたくさん掲載されています。
https://www.kobayashi-vs.co.jp/benikoji/about.html

そのなかに、次のような記述があります。
「小林製薬では、自社研究に基づき成分ごとに適した紅麹菌を厳選し、使用しています。そのため、後加工を行わなくても、十分な成分量を確保できるのです。なかでも、ポリケチド(モナコリンK)をよく作る紅麹菌は特許も取得しています。(特許第5283363号)」

特許第5283363号

この特許は「モナコリンk⽣産性に優れた紅麹菌株」という題名の特許で、2007年にグンゼ株式会社が開発したものです。
その内容を要約すると、

  1.  普通の紅麹菌に紫外線を照射して遺伝子壊変をおこさせる。
    紅麹菌の生存率0.5%、200匹に1匹しか生き残れない過酷な遺伝子壊変。

  2.  生き残った紅麹菌を分けて、培養して数を増やす。

  3.  目的成分「モナコリンK」の生成効率が良い紅麹菌株をみつける。

  4.  本発明菌株(Monascus pilosus NITE BP-412)は、紫外線照射前の親菌株(Monascus pilosus NBRC4520)よりも約2.5倍の濃度のモナコリンKを産出する。

乱暴な遺伝子壊変

私たちが問題にしてきた遺伝子組み換えや遺伝子操作と同様に、ここで採用されている紫外線照射による遺伝子壊変は、どんな遺伝子の変化が起きるのか管理できないという問題がある。
この遺伝子壊変により、紅麴菌が新たな毒素を産出する能力を身につけた可能性がある。

本来の能力を欠いた紅麹菌を用いている

これも人間の勝手な理由で、元々の紅麴菌がもっている「シトリニン」という毒素を産出する能力がない紅麴菌の親株が使われている。
シトリニンは、腎臓病を引き起こす毒性物質として、紅麹に含まれることが指摘されていて、濃度規制されている国もある。
たしかに、シトリニンは人間には有害で不要な成分である。しかし、紅麹菌がわざわざシトリニンを産出するということは、紅麴菌にとっては有用で必要な物質なのだろうと考えてあげることが必要だ。
遺伝的にシトリニンが産出できない紅麴菌は、本来の能力を欠いた紅麴菌として、新たな能力の獲得をしようとする生命力があったのかもしれない。過酷な遺伝子壊変の試練の中で、紅麹菌が新たな別の物質の製造能力を獲得したことを責めることはできない。

あらゆる遺伝子操作技術に反対

わたしたちは、あらゆる遺伝子操作技術にも反対です。

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