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エヴァンゲリオンは間違いなく私の人生に影響を与えている【序】ペダンチズム




 エヴァの物語では、実に様々なジャンルの専門用語が飛び交う。アダムやリリスなどは神話や宗教の言葉、セントラルドグマは生物用語、綾波、惣流、式波は日本海軍の駆逐艦の名前。いろんな要素が混ざり合ってできている。そしてその用語に付随する意味合いや解釈を物語に付け加えることによって、エヴァの深みが出てきている。人気が出るに従って深読みをして考察をする人たちが現れた。神話や駆逐艦らの物語と重ね合わせ勝手に想像を膨らませ、監督の庵野秀明はこんなことを描きたかった、伝えたかったと代弁しだした。それらに対して庵野さんは何も反応しない。否定もしなければ賛同もしない。それらの勝手な盛り上がりを楽しんでいるようだった。



 昔何かの記事で、「庵野秀明はペダンチズム(衒学者)」と書かれていた。文脈も忘れたので、それが皮肉なのかどうかすら覚えていないが、ペダンチズムの意味を調べて納得した記憶がある。ペダンチズムとは学問や知識をひけらかし、傲慢な態度をとることだという。庵野さんが繰り出す難解な専門用語で、観る人に考えさせたり考察させて翻弄させる、その上から目線な態度を傲慢だとしているのだろう。私には傲慢かどうかはわからないが、そうやって色々考えたりする視聴者をみて楽しんでいることは間違いないと思う。もしかしたら庵野さん自身はそこまで深く考えていないのかもしれない。なんとなく表現してみて、あとは見る人次第と投げ出している可能性がある。そしてそれを楽しんでいる。たった一つのワードの提供で十人十色のにも百色にも解釈させて物語を膨張させる庵野さんにただただ感心している。そしてそのスタンスを私も真似している(つもり)。答えは言わない。考える種を撒き続ける。私もわからないまま放り出す。そしてそれをこちらが意図した方向だろうが意図しない方向であろうが構わずに、ー受け手があれこれ考えて翻弄している様子を微笑ましく見届けていたい。

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