品質管理検定 #26-15
【問15】
次の文章において、$${\boxed{\space}}$$内に入るもっとも適切なものを下欄の選択肢からひとつ選びなさい。ただし、各選択肢を複数回用いることはない。
① 企業において人材を育成するための教育訓練活動は重要なテーマである。この教育は、企業が主体的に行う教育と、個人やグループが自主的に行う学習とに大別することができる。企業が行う教育は、職場内訓練(OJT)と職場外訓練(OFF JT)がある。OJTはOn the Job Training の略であり、On the Jobは「仕事をとおして」、Trainingは「教育訓練をする」という意味である。また、OJTの対義語がOFF JTであり、OFFは「仕事をとおしてではなく職場外で」という意味である。個人やグループの学習としては$${\boxed{(89)}}$$などが挙げられる。企業人の教育は、OJTを基本に、他の教育が補間するという形態が一般的である。
② メンバーは、組織の一員として機能し、その職場に求められた行動ができなければならない。そのためにOJTでは、現状の不十分な状態を$${\boxed{(90}}$$し、求められる行動ができるようにしていくことが必要である。
$${\boxed{(89)}}$$ $${\boxed{(89)}}$$の選択肢】
ア. 多能化教育 イ. 階層別訓練 ウ. 自己啓発や相互啓発
エ. 日常的 オ. 改善
③ 上司や先輩がOJTをとおして教えるべきこととして、一つ目は、仕事の進め方が理論的・体系的に理解できる業務上必要な$${\boxed{(91)}}$$である。二つ目は、仕事の実務を作業標準どおりに行うための$${\boxed{(92)}}$$である。三つ目は、課せられた仕事に価値を$${\boxed{(93)}}$$させてその気にさせる事である。これら三つの能力が目に見える形で行動に現れ、期待する行動がとれるようになったときOJTの目的が達せられたことになる。
$${\boxed{(91)}}$$~$${\boxed{(93)}}$$の選択肢】
ア. 見える化 イ. 認識 ウ. 手順 エ. 指導書
オ. 知識 カ. 情報 キ. 標準書 ク. 技能 ケ. 命令
【正解】
(89) ウ. 自己啓発や相互啓発
(90) オ. 改善
(91) オ. 知識
(92) ク. 技能
(93) イ. 認識
業務における教育の問題です。
① 企業において人材を育成するための教育訓練活動は重要なテーマである。この教育は、企業が主体的に行う教育と、個人やグループが自主的に行う学習とに大別することができる。企業が行う教育は、職場内訓練(OJT)と職場外訓練(OFF JT)がある。OJTはOn the Job Training の略であり、On the Jobは「仕事をとおして」、Trainingは「教育訓練をする」という意味である。また、OJTの対義語がOFF JTであり、OFFは「仕事をとおしてではなく職場外で」という意味である。個人やグループの学習としては「(89) 自己啓発や相互啓発」などが挙げられる。企業人の教育は、OJTを基本に、他の教育が補間するという形態が一般的である。
OJTじゃない教育。「自己啓発や相互啓発」。仕事に直接関係ないけど、間接的に関係してくると思われるものです。今ひとつはっきりしないと感じている人も多いのではないでしょうか。例えば「多様性について学ぶ」とか。そのときは「ああ、そうですか。」と小テストをしたり、グループで話しあったりします。ところが実際の職場に戻った時に、それがほとんど活かされません。相変わらずパワハラのような発言があったり、多数派との違いを非難したりします。また、実務にかなり近い内容であっても、「そういう教育もあったけど、実際とは違う」と言って何も活用されません。こういうことは多いのです。恐らく、OFF JTでの内容の、実際の業務へに活かし方を感じることができなかったとか、現状を変更する必要がない、変更してはいけない、とか、そういうふうに感じてしまうためです。完全に個人の作業で裁量があっても、何も変化を起こさないかもしれません。これは職場の雰囲気もあります。結局、個人が教育を受けただけで、それを業務に活かす雰囲気が職場全体になければうまくいきません。ところが「教育訓練」をやったかどうかだけが確認対象になってしまい、「教育記録」だけ残して実務は変わらず、となってしまいがちなのです。
試験問題としては、ちゃちゃっと答えてしまいましょう。
② メンバーは、組織の一員として機能し、その職場に求められた行動ができなければならない。そのためにOJTでは、現状の不十分な状態を「(90) 改善」し、求められる行動ができるようにしていくことが必要である。
単なる国語の問題。「不十分な状態を改善」します。試験問題としてはしょうもないですが、実際に「不十分な状態を改善」するにはどうしたら良いか?はそんなに簡単ではありません。そもそもOJTをするって、何をするのでしょう? 多くの場合、「一緒に作業する」だけじゃないでしょうか? 指導者はOJTで指導する技能があるのでしょうか? 単に自分ができるから教えているだけ、じゃないでしょうか? 「教える」ことはするけど「できるようにする」ために教えているでしょうか? 「教えたのに何で出来ないのか?」などと出来ない側を責めていないでしょうか? OJTには問題点がとても多いのです。「教える人>教わる人」の意識があって、教わったのに出来ないほうが悪い、のような雰囲気もあるのです。教育して出来るようにする、はずなのに、「教えた」ことばかり強調してしまいます。実際は「良質な手順書」を作成しておくことが重要だと思っています。OJTなんて言っているのは、「職人の経験と勘」と変わりません。
実際のは話であって、問題はさっさと解いてください。
③ 上司や先輩がOJTをとおして教えるべきこととして、一つ目は、仕事の進め方が理論的・体系的に理解できる業務上必要な「(91) 知識」である。二つ目は、仕事の実務を作業標準どおりに行うための「(92) 技能」である。三つ目は、課せられた仕事に価値を「(93) 認識」させてその気にさせる事である。これら三つの能力が目に見える形で行動に現れ、期待する行動がとれるようになったときOJTの目的が達せられたことになる。
何をするかを決めておくと良いですね。実際は「知識」は「比重の測定方法」など具体的なことです。その場にあった仕事を一緒にやってみよう!なんてのは、「見て覚えろ!」の職人芸と変わりません。あれを有り難がっていては品質管理は出来ないです。ある分野にとっては良いことなのでしょう。しかし、それは需要も供給も少なく、それ自体を有り難がる場合です。多くの商品が求められて供給する場合、職人芸は有り難いものではありません。
「知識」だけでは作業してもうまくいくかどうか分かりません。手順書などを確認しながら「技能」を身に付けます。そんな大げさなことでなくて、比較的簡単にできる方法が良いです。3年修業してようなく一人前、なんてのは伝統タイプの仕事です。このとき、「教育を受ける側が熱心にメモを取る」ことは悪い方法だと思っています。イヤイヤ、分からないんだからメモを取ったりしなきゃダメでしょ、と思う人はいますよね。そのメモ、正しい作業が書いてありますか? 必要なことは漏れなくメモしてありますか? 正しい作業内容を理解していない人が取ったメモなんです。間違っていたり、不足していて当たり前なんです。でも、聞いたことって忘れます。教える側も言い間違えたり、意図が伝わらなかったり、誤解して伝わったりします。必要なことは「手順書」に記載しておくのが良い方法なのです。ちなみに「手順書」に書けないことを別紙で渡すのも良くない方法です。結局、それでは教育者が変わればその部分はどうなるか分かりませんし、異なる方法で教えられるかもしれないのです。OJTの成果を「知識の無い受講者側」に押し付けるべきではありません。「受講者」が出来るように「教育者」が指導していかなければならないのです。
「手順書」ですが、「標準作業標準書(SOP - Standard Operation Procedure)」と「作業指示書(WKI - Work Instruction)」に分けているところもあります。SOPで作業することを順に記載しておいて、細かいところをWKIに書いておくスタイルです。いずれにしても、文書化されていない部分は確実に実行されなかったり、複数のやり方のために誤差が生まれる原因になります。「人によってやりやすい方法がいろいろあるから」というのは可能な限り除去すべきです。
課せられた仕事に価値を「(93) 認識」させて、のところ。何のためにやってんのかわからん・・・。というのは仕事のやりがいを失ってしまいがちです。単にお金のため、と思うのも良いですが。作業を改善しようとしたときに、なんのための作業かが分からないと、やめて良いのか、他の方法にしても良いのかも分かりません。根性論だけじゃなく、品質向上のためにも「価値の認識」は大切です。実際「不要な作業」はあリますし、もっと良い方法もあります。そして「変えてはいけない作業(特に法令の問題)」もあります。
試験問題はさっさと解くべきですが、実務の教育は「やったかやっていないか」だけでなく、実際に人も企業も成長していくためにとても重要な要素です。教育しても直接売り上げにはなりませんが、教育のための時間の削減、効率化ではきっと良い成果を出せると思います。
問題と関係ない愚痴が増えてきました😅
ではー。