品質管理検定2級 #32-08

【問8】
抜取検査に関する次の文章において、$${\boxed{\space}}$$内に入るもっとも適切なものを下欄のそれぞれの選択肢からひとつ選びなさい。ただし、各選択肢を複数回用いることはない。

P社では、Q社に納入しているX製品の出荷検査にJIS Z 9002:1956[計数規準型一回抜取検査(不良個数の場合)]を実施してきているが、P社の製造工程の改善も進み、またQ社からの要請もあり、抜取検査方法を見直すことになった。

この検査では、
$${p_0}$$ : なるべく合格させたいロットの不適合品率の上限
$${p_1}$$ : なるべく不合格としたいロットの不適合品率の下限
$${\alpha}$$ : 生産者危険(不適合品率$${p_0}$$のロットが不合格となる確率)
$${\beta}$$ : 消費者危険(不適合品率$${p_1}$$のロットが合格となる確率)
$${n}$$ : サンプルの大きさ
$${c}$$ : 合格判定個数
として、現在はP社、Q社合議のうえ、$${p_0, p_1 ({\alpha}{\fallingdotseq}0.05, {\beta}{\fallingdotseq}0.10)}$$の値を取り決めて、JIS Z 9002:1956の計数基準型一回抜取検査表を用いて検査を実施している。表8.1にその一部を抜粋した表を示す。

① 現行方式 : $${p_0}$$=1.0(%), $${p_1}$$=4.0(%)では、サンプルの大きさ$${n}$$、合格判定個数$${c}$$は $${(n,c)=\boxed{(45)}}$$である。
② 今、検討案1として$${p_0}$$を1ランク小さくし、$${p_1}$$を1ランク大きくして、$${p_0=0.80(\%), p_1=5.0(\%)}$$とすることを検討した。このときのサンプルの大きさ$${n}$$、合格判定個数$${c}$$は$${(n,c)=\boxed{(46)}}$$である。
したがって、検討案1の検討結果として適切なものは$${\boxed{(47)}}$$。
③ 次に、検討案2として$${p_0}$$を1ランク大きくし、$${p_1}$$を1ランク小さくして、$${p_0=1.25(\%), p_1=3.15(\%)}$$とすることを検討した。このときのサンプルの大きさ$${n}$$、合格判定個数$${c}$$は$${(n,c)=\boxed{(48)}}$$である。
したがって、検討案2の検討結果として適切なものは$${\boxed{(49)}}$$。

【$${\boxed{(45)}{\space}\boxed{(46)}{\space}\boxed{(48)}}$$の選択肢】
ア. (100, 2)   イ. (120, 3)   ウ. (150, 3)   エ. (150, 4)
オ. (200, 4)   カ. (250, 4)   キ. (250, 6)   ク. (300, 6)
ケ. (500, 10)

【$${\boxed{(47)}{\space}\boxed{(49)}}$$の選択肢】
ア. サンプルの大きさは小さくなり、検査コストは低減する。しかし、検査の判別力が減少することにより検査の正確さは減少するので、検査コストの低減よりも、検査の誤りによる損失が大きいときには、この案に移行するのは適切ではない。
イ. サンプルの大きさは小さくなり、検査コストは低減する。さらに、検査の判別力が増大することにより検査の正確さは増加するので、検査の誤りによる損失が大きいときにもこの案に移行するのが適切である。
ウ. サンプルの大きさはほぼ同じであるが、合格判定個数が減少するので、同じロットの不適合品率に対するロットの合格確率が減少し、不合格ロットが増える恐れがある。この案に移行するためには、品質レベルを向上させ、ロットの不適合品率を提言しなければならない。
エ. サンプルの大きさはほぼ同じであるが、合格判定個数が増加するので、同じロットの不適合率に対するロットの合格確率が増加し、不合格ロットが減る恐れがある。これは出荷品質レベルの低下につながる。この案に移行するためには、Q社との協議が必要である。
オ. サンプルの大きさは増大するので、検査コストが増大する。しかし、検査の判別力が増大することにより検査の正確さは増大するので、検査の誤りによる損失を減らすことができる。これが検査コストの増大に比べて大きければ、この案に移行すべきである。



【正解】
(45) オ. (200, 4)
(46) ア. (100, 2)
(47) ア. サンプルの大きさは小さくなり、検査コストは低減する。しかし、検査の判別力が減少することにより検査の正確さは減少するので、検査コストの低減よりも、検査の誤りによる損失が大きいときには、この案に移行するのは適切ではない。
(48) ケ. (500, 10)
(49) オ. サンプルの大きさは増大するので、検査コストが増大する。しかし、検査の判別力が増大することにより検査の正確さは増大するので、検査の誤りによる損失を減らすことができる。これが検査コストの増大に比べて大きければ、この案に移行すべきである。


この問題は、数字が載っていますけど計算問題ではなく読解に近いです。
OC曲線は関係なし。

① 現行方式 : $${p_0}$$=1.0(%), $${p_1}$$=4.0(%)では、サンプルの大きさ$${n}$$、合格判定個数$${c}$$は$${(n,c)=}$$ 「(45) (200, 4)」である。

$${p_0}$$=1.0(%), $${p_1}$$=4.0(%)を表から探すだけ。
ちょうど真ん中の (200, 4) です。

② 今、検討案1として$${p_0}$$を1ランク小さくし、$${p_1}$$を1ランク大きくして、$${p_0=0.80(\%), p_1=5.0(\%)}$$とすることを検討した。このときのサンプルの大きさ$${n}$$、合格判定個数$${c}$$は$${(n,c)=}$$「(46) (100, 2)」である。
したがって、検討案1の検討結果として適切なものは「(47) サンプルの大きさは小さくなり、検査コストは低減する。しかし、検査の判別力が減少することにより検査の正確さは減少するので、検査コストの低減よりも、検査の誤りによる損失が大きいときには、この案に移行するのは適切ではない。」

表から、$${p_0=0.80(\%), p_1=5.0(\%)}$$ のところを探します。右上になります。(100, 2)です。
最初は (200, 4) で、検討案は (100, 2)。不適合品率はどちらも2%まで許容されますが、検査のばらつきを考慮すれば検査数を減らせば検査の誤りが多くなる傾向になります。サンプル数は減るので検査コストは少なくなりますが、検査の誤りによる損失が大きいときには、この案に移行するのは適切ではない。の選択肢が妥当です。

③ 次に、検討案2として$${p_0}$$を1ランク大きくし、$${p_1}$$を1ランク小さくして、$${p_0=1.25(\%), p_1=3.15(\%)}$$とすることを検討した。このときのサンプルの大きさ$${n}$$、合格判定個数$${c}$$は$${(n,c)=}$$「(48) (500, 10)」である。
したがって、検討案2の検討結果として適切なものは「(49) サンプルの大きさは増大するので、検査コストが増大する。しかし、検査の判別力が増大することにより検査の正確さは増大するので、検査の誤りによる損失を減らすことができる。これが検査コストの増大に比べて大きければ、この案に移行すべきである。」

表から、$${p_0=1.25(\%), p_1=3.15(\%)}$$のところは左下の(500, 10)です。この案では不適合品率は同じですが検査数が増えていますから、検査コストが増大しますが、検査の誤りは減る傾向にあります。検査コストを増やしても検査の誤りの損失を減らしたいならば、この案は有効と考えられます。

ではー。

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