品質管理検定2級  #26-04-001

【問 26-04-001】

$${\overline{X}-R}$$管理図に関する次の文章において、$${\boxed{\space}}$$内に入る最も適切なものを下欄のそれぞれの選択肢からひとつ選びなさい。ただし、各選択肢を複数回用いることはない。なお。回答に当たって必要であれば問題中の付表を用いよ。

ある工程から群の大きさが5のサンプルを20日間収集し、日々の範囲$${R}$$の平均値を計算して10.5という値が得られた。この特定の規格値は35.0〜65.0である。

①$${\overline{X}-R}$$管理図の管理境界線は、工程の$${\boxed{(21)}}$$の有無を判断するための基準である。一方、規格値は適合品か不適合品かを判断するための基準であり、この2つは全く性質を異にする。この2つの基準線の位置関係について、もし規格値が管理限界線の$${\boxed{(22)}}$$にある場合は、工程の抜本的な見直しを行わなければならない。

$${\boxed{(21)} \space \boxed{(22)}}$$ の選択肢
ア. 不適合発生   イ. 管理能力   ウ. 管理ポイント
エ. 内側   オ. 外側   カ. 異常

②工程が$${\boxed{(23)}}$$にある場合には、$${\overline{X}-R}$$管理図のデータを活用して工程能力指数を計算することができる。ここでは、管理図から工程能力を検討する。$${R}$$管理図から$${\overline{R}/d_2}$$で推定した標準偏差の推定値は$${\boxed{(24)}}$$である。これを用いた工程能力指数の推定値は$${\boxed{(25)}}$$である。

$${\boxed{(23)}〜\boxed{(25)}}$$の選択肢
ア. 0.74   イ. 1.11   ウ. 2.22   エ. 4.51   オ. 5.11
カ. 統計的管理状態   キ. 異常状態   ク. 層別された状態



正解

(21) カ. 異常
(22) エ. 内側
(23) カ. 統計的管理状態
(24) エ. 4.51
(25) イ. 1.11

(21)
管理図の管理限界線は、工程の「異常」を判断するための基準になります。この「異常」と、「規格外」「不適合」は別の考えになります。規格値に適合したものが生産されていても、ある特性値が上昇し続けている場合などは、不安定な工程であり、「異常」と判断する可能性があります。

(22)
規格値が管理限界線の外側にあるということは、もういつ規格外製品が出来てもおかしくない、またはすでに多くの規格外製品が生産されている状態であり、そのまま作業を続けることはできません。すぐに工程を見直して、適切な状態に持っていかなければなりません。

規格値が管理限界線の内側にある状態

図を描いてみると分かりやすいと思います。
業界にもよると思いますが、異常があったからと言って、作業工程を変更できないこともあります。例えば医薬品製造がそれに当たります。申請して承認された方法で製造しなければなりません。うまくいかないからと言って、工程を変更することはできません。この場合は変更申請などを行ってからの製造になります。

(23)〜(25)
計算問題含みます。計算自体は簡単ですけど、やり方を知っていないと出来ませんから身に付けておきましょう。

(23)
まず、最初は計算じゃないです。工程能力指数を計算するために工程がどういう状態であるか。
カ. 統計的管理状態   キ. 異常状態   ク. 層別された状態
これのどれか、です。工程が安定していることが前提ですので、
カ. 統計的管理状態
になります。
それでも数値で計算するだけですから、異常な状態でも工程能力指数は計算できます。品質管理をする、という観点からは意味あるかな〜?というだけのこと。現実、なんでも計算することはあると思います。
「層別」するかどうかは、管理しているデータを見て、層別になっているかな?と思ったときにやってみることですが、層別したからと言って、層別ごとに特性が異なっているなら安定したものとは言えないです。

(24)
計算の問題。親切に $${\overline{R}/d_2}$$で推定した と書いてあります。note でやっている都合上、使う表だけ載せていますが、実際の試験や資料では、いろんな表が載っていますので、どれを使うか知っておかなければなりません。
$${\overline{X}-R}$$管理図の管理限界線を計算するための係数の表があります。試験では、問題用紙の最後にいくつかの表と一緒に掲載されています。問題では、「群の大きさが5のサンプル」とありますので、表のn=5、$${d_2}$$のところを見ると、「2.326」です。問題文の$${\overline{R}/d_2}$$に従って計算します。
日々の範囲$${R}$$の平均値を計算して10.5という値が得られた。とありますから、$${\overline{R}=10.5, d_2=2.325}$$を代入して
$${\overline{R}/d_2=\cfrac{10.5}{2.326}=4.51}$$
となります。

(25)
工程能力指数 の推定値$${\widehat{C_p}}$$の求め方を知っておきましょう。
規格幅を標準偏差の推定値$${6\hat\sigma}$$で割ります。正規分布において中心から$${3\hat\sigma}$$はサンプルのほとんどを含みます。これが高低両方で$${6\hat\sigma}$$になります。平均が規格の中心よりもずれている場合は、それを考慮し手、半分ずつ計算して低いほうを採用する方法もあります。
今回の計算では、
$${\widehat{C_p}=\cfrac{規格値上限-規格値下限}{6\hat\sigma}=\cfrac{65.0-35.0}{6{\times}4.51}=1.11}$$
となります。
計算式から、規格幅が広くてバラつき(標準偏差)が小さい程、工程能力指数は大きくなります。規格の幅とバラつきを比較したイメージです。一般に工程能力指数は1.33以上あれば良好と言われています。ただし、式から分かるように規格幅に影響しますから、規格に入るようにするために規格幅を広げていたら工程能力指数も大きくなりますが、本当に要求する品質を満たせるかどうか分からなくなります。規格の設定は重要なポイントになります。

ではー。

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