2016年自選5首

どうも、虎瀬千虎です。今更ですが、去年詠んだものから5首選んでちょっとどうでもいい話をしようと思います。

1.共食いを許してこうしている間にも海に沈んでゆく舟がある

同志社短歌三号掲載の連作「骨と桜桃」の1首目で、個人的にも結構お気に入りの歌です。歌に関しては読む人の想像の余地というか解釈の多様性を残したいと思っているので、意図に関しての話はしませんが詠んだ後に「共食い」と「海」でわたしはジェリコーの「メデューズ号の筏」を連想しました。 
              

2.桜桃を洗う手の色桜桃に似ていればじゃぽにずむじゃぽにずむ

掲載については同上、連作の後半あたりの歌です。時々引用して頂けて嬉しい限り。これは上の句を作ったところでつまんないな……おもしろくならないかと思った結果下の句がこうなりました。日本のさくらんぼの色ってかわいくないですか?

3.トラックのエンジン音の掠めゆき きみの前で死ぬ想像などする

未来2016年9月号掲載です。これはもうそのままの歌なんですが、車に轢かれて死ぬ想像する癖があるという話です。あと大きな車のエンジン音が昔から苦手です。横を通り過ぎられると何故かほんとに怖いんですよ。

4.ぶつかればやわらかいおとうと あるいは、巻かれなかった春巻きのこと

骨と桜桃の二首目です。春巻き、揚げる前巻かないままおいとくと乾燥して巻けなくなってしまうんですよ。母が春巻きのことをスプリングロールと言っていて、春だなと思いました。

5.例外として処理されるそのときもムーンゲイザーの少女ほほえむ

掲載は2017年1月号なんですが詠んだのは年内なのでそういうことで。とあるゲームのシナリオに感動していくつか詠んだ歌のなかのひとつなんですが、これが一番気に入っています。ゲーム知らないと分かりにくいものになってしまっているかなと思うものの、知らない人に解釈を聞いてみたい気持ちもあります。ちなみに「Fate Extra/CCC」というゲームです。是非ググってみてください、シナリオたいへんよいです。

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