『RECURRENCE』The Railway Children
【私の音楽履歴書】 #40 The Railway Children
先日、オアシスの再結成と、それに伴うツアー敢行のニュースが突如として流れてきた。
これまでも、再結成は噂され続けてきたが、ギャラガー兄弟の長年の確執から疑問視する声が大きかった。
その動きを意識してかどうかはわからないが、ザ・スミスのモリッシーがグループの再結成を仄めかしたところ、同グループのギタリスト、ジョニー・マーは黙殺したらしい〜とのネット記事を目にした。
モリッシーは私からすれば、何かいけ好かない奴の印象がある一方で、ジョニー・マーの活動はグループ脱退、解散後も追っていた。
マット・ジョンソンらと組んだザ•ザや、ニューオーダーのバーナード・サムナーと組んだエレクトロニックなども聴いてきた。
そんなザ・スミスであるが、彼らを筆頭に、80年代のイギリスは、ニューロマンティークやネオ・アコースティックなどと呼ばれたバンドがいくつも勃興していた。
そんな中で私が、ザ・スミス以上に聴いていたのが
「The Railway Children」(レイルウェイ•チルドレン)であった。
ザ・スミスはマンチェスターで結成されたが、そのマンチェスター郊外のウィガン出身の4人組グループだ。
ウィガンと言えば、かつてはプレミアリーグに上がっていたサッカークラブを思い出すが、今は下部リーグに低迷しているらしい。
それはともかくとして、イングランド北部の地方出身者の朴訥とした垢抜けない青年たちとの印象が強いものの、どこか誠実そうではある〜とのイメージも抱かせる風貌と音楽だった。
当時、U2のボノが見い出したというアイルランド出身の「ホットハウス・フラワーズ」や、スコットランド•グラスゴー出身の「ディーコン・ブルー」らと共に聴いていたという記憶があるが、その辺りは今となっては定かではない。
Gary Newby : Vo.Lead guitar
Stephen Hull : Bass
Brian Bateman : Rhythm guitar
Guy Keegan : Drum
⚫Another Town
1stアルバム『REUNION WILDERNESS』(1987)のリード曲。
彼らがどんなバンドなのか?がよく理解る一曲だ。
⚫Brighter
同じく1stアルバム収録で、シングルにもなった曲。
同アルバムの中では、他の曲と比べてやや色違いな印象もあるが、疾走感あるメロディーで彼らの楽曲の中では一番好きなものだ。
⚫Somewhere South
2ndアルバム『RECURRENCE』(1988)のリード曲。
以下、3曲も同アルバムから。
1stの泥臭さからは幾分洗練され、とても心地よいギター・ポップの作品群となったアルバムだ。
⚫A Pleasure
⚫Over and Over
⚫Monica's Light
2ndアルバムの収録曲で、私が一番好きな曲。
⚫Every Best Of The Heart
3rdアルバム『Native Place』(1990)からのシングル。
彼らの楽曲で最も大きくチャートアクションを起こした作品。
⚫Brighter (Acoustic Ver.)
2003年に、acoustic compilation album『Gentle Sound』として編集されたうちの一曲。
アコースティックバージョンも味わい深く、楽曲の良さが際立っている。
1stと2ndが、私にとっての彼らの好みのアルバムとなった。
それ以降はアコースティック色を薄めて、エレキサウンドを押し出したものに幾分変化してきていた。
レーベルの意向もあったのだろう、バンドを継続していく上で、当然の変化なのだろうが、逆に彼らの特色を失うという結果になることは、ある意味、必然で仕方のなかったことなのかも知れない。
彼らの作品は夏のドライブによく似合うサウンドだ。
土の匂いと言うより、風になびく草原の蒼くほろ苦い匂い〜と私なりに受け止めていた。
レイルウェイ•チルドレンというグループ名は、イーディス・ネズビットの同名小説(邦題/若草の祈り)から、また、Mr.Childrenのネーミングにも関連があると一説に言われている。
その辺りの真偽はともかくとして、そのミスチルやBUMP、或いはスピッツといった日本のバンドの音づくりのベースに連なっているのは、ザ・スミスよりむしろ彼らなのかも…と、想像を膨らませたりすることも出来るグループである。
レイルウェイ•チルドレンは、やがてグループ内の分裂や、所属するヴァージン・レコードがEMIに吸収されるなどの紆余曲折を経て、実質、フロントマンだったゲイリー•ニュービーのソロプロジェクトとなっていた。
それもやがて、2016年には再結成のニュースも聞いいていた。
前述したホットハウス・フラワーズやディーコン・ブルーも、現在まで活動を継続しているらしい。
秋めいてきた9月初頭に、様々なバンドの活動経過を振り返ってみたひとときでもあった。