大園玲のこと、櫻坂46のこと
『櫻坂46 3rd TOUR 2023 』が終わった。
今回のツアーは5th表題『桜月』センター守屋麗奈が主役であった。
もちろんグループなんだから、本来は「みんなが主役」と云うべきなんだろう。しかし、ライブのテーマ及び構成としては、やはり守屋を活かすためのステージに主軸を置くのは当然だった。そのいわばプリマとしての重責を果たし、トゥシューズを脱いだ今思うに、彼女はしっかりとその責務を果たしパフォーマンスをやりきったと言える。
そして今回、もう一人私が注目したのはカップリング曲『Cool』のセンター大園玲である。
彼女にとっても、次のステージヘのとても貴重な経験の場となったツアーだったに違いない。
昨年(2nd)は『条件反射で泣けて来る』でブチ上げ、山﨑天があっという間に、オーディエンスを櫻坂ワールドに引き込んでいった。
今回(3rd)のライブは、メンバーのDANCE TRACKを経て、大園玲がセンステより登場し、メインステージに辿り着き一曲目の幕が開けた。『Cool』のイントロが流れはじめる。ここはまさに鳥肌が立ち、瞼が熱くなる瞬間だった。
しかし文字通り「Cool」だ。そして「桜月」の守屋同様、大園の脇を固める小林由依と小池美波の存在感が圧倒的である。特にこの曲では小池の放つエネルギーが強大だ。
ライブの冒頭に大園玲がセンターでパフォを披露する。その彼女の姿を見つめるにつけ、“感無量”とはこのことをいうのだなと思った…
この稿では、ツアーが終わったこの段階で、大園玲に焦点を当て、大園のこれまでの欅坂46・櫻坂46での歩みを振り返りつつ、今後についても考えていくこととする。
大園玲の出発点と転換点
欅坂〜櫻坂の大園玲を語る場合、先ず研修生という出発点があり、そしてそれは、欅坂配属後間もなく訪れたグループの改名が転換点となるのだろう。
坂道合同オーディションでのセレクション落ちを、彼女は明確に「悔しさ」という言葉で振り返っている。
そして改名後、櫻坂46の1stシングル表題曲として発表された『Nobody's fault』に新二期生としてただ一人選抜入りとなった。
少し長い引用になったが、約二年半という期間でカップリングセンターの座を勝ち取った大園。
スタートの差、経験値の違いは埋めようとして埋められるものではない。では、何を武器に闘っていくべきなのか?
大園はオリジナリティを重視した独自のスタイルを訴求することに注力してきた。
それが実を結ぶ形となったのは何より喜ばしいことだった。
5thシングル『桜月』のフォーメーション発表後、彼女はこうブログに綴っている。
そして、カップリング曲『Cool』のセンター抜擢、さらには1st写真集『半分光、半分影』の発売と、彼女を巡る話題で大きく盛り上がる期間となったのである。
大園玲の原点
5月30日付けの大園玲公式ブログには主に二つの重要な思いが綴られている。
一つは6th 『Start over !』で表題曲フォーメーションでの位置が下がったことに対する“悔しさ”を。
もう一つはセレクションで運命が分かれた同じ九州出身の関有美子との関わりを。
この関とのいきさつは福岡公演二日目の関有美子卒業セレモニーにおいて、まさしく関に対して大園が涙ながらに激白した場面を、実際に現地でみて衝撃を受けた。
私個人で、今回のツアーにおいて強いインパクトを受けたのは、神奈川三日目の「スペシャルBAN」披露、ツアーファイナルの大阪での「Start over !」ライブ初披露、そして福岡においての関有美子卒業セレモニーでのこの場面だった。
九州出身として同じグループに分けられる機会が多かったという二人の話はあまり語られてこなかったと思う。BUBKA.2022年8月号の二期生特集で関が少し触れているくらいである。
おそらくは、関をはじめ森田、松田らと、あるいは合格に至らなかった人も含めてのやりとりがあったのだろうと推測する。
大園玲の視点
我々が予想する“お約束”というものがいくつかある。メッセージトークなどでの大園は、その基本線・ルーティンを尊重しながらも、我々の予想を超える独自の視点を披瀝する場面が多々ある。
自分を客観視することはとても大事なことだ。しかし、過小な自己評価は小さくまとまってしまって、積極的なチャレンジを回避する傾向に陥る危険性も伴う。
一方で自己分析、自身の立ち位置、求められている課題等を冷静に整理しながら、意識的に踏み出す努力を怠らない者は、自ら新たな道を切り拓いていくものだ。
つまりこの場合、大園は後者であろう。
そしてそれが彼女の強みでもある。
前述した今回の「悔しさ」をポジティブなエネルギーに変換して、たとえ遠廻りでも「必ずここに帰ってくる」と決意をあらたにしている。
櫻坂の最高到達点
大園には「悔しさ」を滲ませた6th『Start over !』ではあるが、今のところMVの再生回数の伸びが過去にないほどのアクションである。
この楽曲については〜らしさ、〜ぽさを語り、懐古するのも結構なんだが、最早、実態としてそんな段階ではなくなっているのではなかろうか。
櫻坂として蓄積したものが、ここに来て表出、結実してきたと言うべきか⁉まさに櫻坂の音楽に他ならない。
ここで言う「やり直し」は「振り出しに戻る」ではないのだから。
『ずっと 春だったらなあ』『Cool』と大園玲が携わってきた楽曲は私のお気に入りでもある。
この稿を書いている段階で6thの全ての楽曲、歌唱メンバーはまだ明らかにされていない。
今回も大園が参加する楽曲に私は心惹かれるのではないかと予感かつ期待している。
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