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櫻坂46 『隙間風よ』のテーマは訣別か超克か…それとも…

16日22時、櫻坂46 7thシングル『承認欲求』のカップリング曲、そして3曲目のMVがプレミア公開された。
タイトルは『隙間風よ』と出ている。
カウントダウンの映像の前に一瞬サムネが映る。
それは小林由依の顔を捉えたものだった。
その瞬間、MVはBACKS曲ではなかったか…と思い至った。
小林由依センター曲は待望である。しかし、選抜制導入後のBACKSの位置づけがまだ明確になっていない中、やはりMVがないとなると、落胆した気持ちもある。とても複雑な心境と言ったところだ。

そのMVの議論は、ここでは深堀りせずにこの楽曲についてのみ考えてみたい。

通常盤のカップリング曲『隙間風よ』はやはり小林由依センターであった。そして一期・二期楽曲でもあった。
曲調はいかにもな“坂道色”が強い。
乃木坂が、あるいは日向坂が歌っていても何ら不思議のない楽曲と思えた。
TLでは予想通り、乃木坂のあの曲やこの曲に似ていると呟かれている。
私は、もっと言えば曲自体は三坂のうち、櫻坂からは最も遠い曲にも思えた。
しかし、秋元康の詞と小林由依センターという二つのピースでパズルがうまった瞬間に、櫻坂の楽曲として、とても相応しい作品となったのではないか?と思っている。
本作は秋元康が当て書きをしたのでは…と思わせるほどにいい。今回のシングル作品では、私の秋元康の詞の評価の「上げ下げ」がいつになく激しくなっている。誠に申し訳ない…

誰にも人に言えない 何かきっと心にあるだろう
知らずに少しづつ 言葉になって漏れてる気がする




公開されて暫くしてゆいぽんからtalkが届いた。

一見して長文とわかったが、その内容は欅時代からのセンターへの色々な想い〜今夏の舞台出演による不在期間ので意識の有り様など、率直な彼女の気持ちが綴られていた。
そんな想いを自分なりに受け止めながらも引き続きMVを観てみる。

池田一真監督の映像は、これまでの作品と同様の光彩と明暗の映像である。
いきなりのゆいぽんへのビンタに驚き、それを放ったのが土生ちゃんということにさらに驚く。
監督こそ違えど、『僕のジレンマ』を連想させるロケーションでもある。
その『僕のジレンマ』のフェザー衣装を思わせるススキをメインにしたドライフラワーらしき花束をメンバーが抱えて歩んでいく。重苦しさが葬送のイメージを抱かせる。

そしてゾノとキラの顔のパーツのクローズアップカットが続く。


この公開後に、日を越えて冠ラジオ番組、櫻坂46の「さ」の放送があり、MC大園玲に加え、ゲストに小林由依と増本綺良を迎えたことは単なる偶然とも思えない。いや穿ち過ぎか…
もちろん収録だろうが、早速『隙間風よ』が披露されていた。

そしてMVのクライマックスは後方に組んだ足場の様なステージらしきものが炎となって燃え上がっていくところだ。
その炎をみつめるメンバーたち…
そしてその炎の前で踊り、シルエットとして浮かび上がるその演出に込められた意図をどう解釈するのかが意見の分かれるところだろうか〜

既に多くの人が指摘しているように、あのセットは欅坂46の”Live online,but with YOU!“での『誰がその鐘を鳴らすのか?』の舞台装置を連想するのではなかろうか?
そして、それを燃やし尽くし灰にするのは何を象徴しているのか?
それが欅との訣別と位置づけるのはいささか早計かも知れないが、一つの分岐点と位置づけたものではあるのだろう。
私は、ある意味では、転生と捉えることも出来るが、「一旦過去を断ち切る」というより、むしろ連綿と続く(櫻の木の)生命力を再確認する一つの「儀式」ではないかと受けとめている。

しかし、あのビンタの演出の意味は何なのか?
土生ちゃんの涙の意味は〜
そして、例え演出の指示だとしても、相対する彼女たちには、それぞれ色んな想いがよぎったに違いない。
ビンタを受ける人、受けた後の人、見つめ合う人…それぞれに何らかの意図があるのだろう。
そんな中で夏鈴ちゃんのカウンター気味の、るんちゃんへの“お返し”は気合いが違うなと震えた…

加えてメンバーのファッション〜スタイリングが特にいい。何か一時代前のモードなニュアンスで、正装ではないが軽装でもない。アクセサリーも含めてその辺りの位置づけも知りたいところだ。

『マモリビト』も本作も、いみじくも一人ひとりの表情を捉えるカットが続いている。
三期は熱く激しく〜一期二期は静かに、かつ厳しくクールに〜この対比も興味深い。

結果的に、MVは選抜・一期二期・三期〜と全員が登場する形に落ち着いたことはホッとしている。
願わくばBACKS曲を…の気持ちも、もちろんあるが、三期で櫻坂の今後の未知なる可能性を示しつつ『マモリビト』宣言をしながらも、一期二期の圧巻の表現力で高い次元でバランスをとり、グループのパフォーマンスのクオリティーを高めていく流れはとてもいい状態、状況と言える。

ロケ地は『流れ弾』のアートワークの撮影地だった群馬県嬬恋の「パルコール嬬恋」からさらに奥に入った、長野県境にある毛無峠だという。
とてもいいロケーションだ。

今日が7thのフラゲ日で、現時点では全曲を聴いてはいないが、今の段階でも既に『マモリビト』のスケール感に圧倒されつつ『隙間風よ』が特に感慨深いものとなり、もしかしたら、この『隙間風よ』が今回のベストかも知れないと思ってもきている。もちろん他の楽曲も楽しみだ。
今晩には、その答えが出るだろう。





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