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『Aja』 STEELY DAN

【私の音楽履歴書】#3 STEELY DAN

SNSを利用する理由は様々だろうが、私自身は、自分で発信したり人の意見を訊くことで、共感したり異論を持ったりの確認作業が出来るし、それが好きだからなんだろうと思う。承認欲求とか言い出すとややこしくなる。「自分語り、お気持ち表明」のそれ以上でもそれ以下でもない。

さて、櫻坂46に注目している身としては、以前こんな事があった。3rdシングル『流れ弾』の発売を前に、メンバーがそれぞれメッセージアプリやブログに“影”を撮影した画像を幾つかUPしていた。その中で、あるFFさんがトークツイで「これを思い出す…」としてスティーリー・ダンの『two against nature』(2000)のジャケ写をあげていた。

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私は即座に「いいね」で反応した。あぁスティーリー・ダン知ってる人いるんだ…(ましてや、それほど注目されなかった作品を) と、嬉しくなったのだった。

私がスティーリー・ダンを知ったのは、ドナルド・フェイゲンのソロ作『The Nightfly』(1982)からである。

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一曲目の「I.G.Y」からラストの「Walk Between Raindrops」まで隙がないのである。決して窮屈な隙のなさではない。ポップス、ジャズ、R&B、レゲエ、カバー曲など多彩だけれど、曲の構成に計算しつくされたかの流れがあった。今、聴いてもその魅力は決して霞んではいない。




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こちらはスティーリー・ダンの傑作『Aja』(1977)である。山口小夜子さんがモデルのジャケットは鮮烈だ。表題曲「彩(エイジャ)〜Aja〜」のスティーヴ・ガッドのドラミング、ラリー・カールトンのギタープレイを初めリズムセクションが圧倒的である。
伊勢正三は、当時よく聴いているアルバムとして、これを挙げていた。風の後期からソロ活動の当初は、彼の作品づくりに影響を与えていることが伺える。




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『Aja』から3年後、発売された『Gaucho』(1980) も好きなアルバムだ。何かとトラブル続きだったというのは後から訊いた話だが…
2曲目の「Hey Nineteen」はその曲調に反して、訳詞を見ると(この歳になると)何とも切なくなる。5曲目の「Time Out of Mind」にはダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーがいかにも彼らしい(彼以外にない) ギターソロを聴かせている。
そしてラストの「Third World Man」ベースのチャック・レイニーが素晴らしい。スティーヴ・カーンとラリー・カールトンのギタープレイ、ジョー・サンプルのE.ピアノなどの名演もあり何とも物悲しくも染み入る曲だ。そして、このアルバムから次のアルバム(冒頭のTwo Against Nature)まで20年の歳月を要している。


スティーリー・ダンの歌詞は風刺や皮肉が利いているとよくいわれる。ネイティブでも解釈が分かれるらしい。当然にして、私ごときに解るはずもない。それだけ言葉の受け取り方は、たとえ言語が違っても、どこの国でも難しいというのは共通しているのか。

私は学校での国語の授業で、小説や短歌などの解釈をこうだと教科書的に決めつけることに、当時から違和感があった。ましてや、それに点数をつけるなんて…という。
意図を話さず、受け手に丸投げするどこかの作詞家先生もどうかとは思うんだが…


さて、櫻坂46の1stアルバムの発売日とタイトルが昨日発表された。
『As you  know?』
何とも狙い過ぎなタイトルに「?」を加えるセンスを彼の国の人達はどう思うのだろうと興味がわいてきて、スティーリー・ダンを思い出し振り返ってみた。

                    № 007

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