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あの頃聴いていた女性ヴォーカリストたち


【私の音楽履歴書】   
    # 42   特別篇  海外女性ヴォーカリスト


先日、いつものようにYouTubeで音楽やら配信やらを何気なく視聴していたら、お薦めでk.dラングの『Constant Craving』が出てきた。
あぁk.d.ラングか…懐かしいなぁ…と、しばし感慨にふけりつつ聴いていたら「そういや、自分は昔どんな(女性ヴォーカリストの)曲聴いてたかなぁ?」と思い、少し振り返ってみた。
そしてどうせなら、この機会にnoteにまとめてみるか〜と思い、私が若い時分に聴いていた10人(組)の海外のアーティストのうち、女性ヴォーカリストの10曲をあげてみることにした。

主に、アーティストを個別に取り上げている本マガジンだが、今回は曲に焦点を当てる特別篇とした。
尚、紹介は発売年順で、以前に取り上げたエディ・リーダー(#33 EddiReader)は除いている。


Bette Davis Eyes (1981) Kim Carnes

ジャッキー・デシャノンのオリジナルとは全く違ったアプローチでカヴァーされたキム•カーンズが唄うこの曲(邦題/ベティ•デイビスの瞳)の魅力は何と言ってもイントロから全編に流れるProphet-5のシンセ音が支配するサウンドと彼女のハスキーヴォイスにある。
82年のグラミー賞で最優秀レコード賞と最優秀楽曲賞を受賞している。
最優秀レコード賞はクリストファー・クロス、ダイアナ・ロス&ライオネル・リッチー、(故)ジョン・レノンらを抑えての受賞だった。


Harden My Heart (1981) Quarter Flash

なにせ、リンディ•ロスがサックスを吹き鳴らしながらメインヴォーカルで唄うこの曲のインパクトは強烈だった。
この曲だけを聴くとイギリスのバンドかな?と思うが、クォーターフラッシュはカントリー色も伺えるれっきとしたアメリカのロックバンドだ。
ギターサウンドがメインなのだが、時にリンディのサックスが入るとメロディアスにもなる何とも不思議な魅力のあるバンドでもあった。

Here Comes  the Rain Again (1983) Eurythmics

アニー・レノックスとデイヴ・スチュワートのユニット〜ユーリズミックスは83年のシングル『Sweet Dreams』で一気にその知名度を高めた。
ニューウェーブを志向した独特のエレクトロサウンドは強く印象に残るものであった。
MTVが隆盛を極めはじめた当時の時流も相まって、二人のMVも大いに注目されていた。
おそらく日本では『There Must Be an Angel』(85)が一番有名なんだろうが、私はアニー・レノックスの凛々しさを感じる初期のこの曲が好きである。

Little Lies (1987) Fleetwood Mac

フリートウッド・マックはバンド結成当初からメンバーチェンジを繰り返しながらも、74年にリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスが加入して以降、男女混成グループにありがちなメンバー間での“ある種”の緊張感が生まれ、結果的にグループを躍進させる原動力にもなったし、混乱の主原因ともなった。
その中心にいたスティーヴィー・ニックスのしゃがれたハスキーヴォイスは大きな魅力でもあったが、もう一人の女性メンバー、クリスティン・マクヴィーの歌声もまた魅力的であった。

87年のアルバム『Tango in the Night』の収録曲であるこの『Little Lies』は彼女の作品でありメインヴォーカルも担当している。
そんなクリスティンも残念ながら、22年にお亡くなりになっている。

Love Is Stronger Than Pride (1988)   Sade

シャーデーはヴォーカルのシャーデー・アデュを中心にしたグループユニットであるが、この曲は日産ブルーバードのCM曲に採用されていた。
林間を並走する2台の車を上空から捉えた映像は、今ならドローンで撮影しただろうと思えるほどの臨場感があった。(YouTubeでシャーデー ブルーバードで検索すれば観ることが出来ます)
ジャズ•ソウルをベースにレゲエ風味を加えた独特なサウンドはとても洗練されていた。当時流行りの言葉で言えばソフィスティケート〜されたものだった。
シャーデーは既に84年発売の1stアルバム『Diamond Life』から注目を集めていて、そこからのシングルの『Smooth Operator』は今聴いても、実に新鮮だ。
そんなシャーデーの楽曲の中でも、この曲がまた孤高の雰囲気が溢れていて私は好きである。

Porcelain (1989) Julia fordham

こちらはトヨタ コロナ エクシブのCM曲だった。
私はそのCMで彼女を知った。
トヨタのCM曲と言えば、やはりクレスタでのボズ・スキャッグスだろう。『You Can Have Me Anytime』(邦題/トワイライト•ハイウェイ)と山崎努のナレが素晴らしかった。
ジュリア・フォーダムは、その透明感もあり力強さも感じる歌声が何よりの魅力だった。

Nothing Compares 2 U (1990) Sinéad O'Connor 

現在では、シネイド・オコナーとカタカナ表記されている彼女だが、当時はシンニード・オコナーと表記されていて、私には以前のほうがしっくりくる。
プリンスの作品を90年に彼女がカヴァーした。
”2U“の表記が、いかにもプリンスらしい。
そんな彼女も昨年お亡くなりになっている。
プリンスも既にこの世を去っており、この楽曲がこれからも聴かれ続けていくという、音楽の持つ普遍性と力を感じている。

Smaointe (1991) Enya

エンヤも日本(日本人)に愛されているアーティストの一人と言えよう。
最近では、MCが変わったとは言え、サンデーモーニングで関口宏が神妙な訳知り顔で語るバックに流れている彼女の『Only Time』のイメージが強いのではなかろうか?
彼女は、89年の2ndアルバム『Water mark』と不二家ネクターのCMでも使われたシングル『Orinoco Flow』で一気に日本でも知名度を高めた。
アイルランド出身の彼女は、教会音楽とケルト音楽をベースにした独特の世界観を披露していた。
3rdアルバム『Shepherd Moons』収録のこの曲はゲール語で唄われており、エンディングの幽玄なコーラスは、まるでドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」第2楽章のようにも聴こえた。
この曲を聴くと助手席にある人を乗せてドライブしていた当時の印象が、今もあざやかに蘇ってくる…
青春の1ページ…

Constant Craving (1992) k.d. lang

カナダ出身のk.d.ラングは、この曲でグラミー賞(最優秀女性ポップ•ヴォーカル賞)を受賞し、私はその受賞式の映像を視て彼女を知ったと記憶している。
ほどなく自身が同性愛者であることをカミングアウトもしたが、彼女のキャリアに大きな影響はなかったようだ。
元々はカントリーミュージックで実力を蓄えてきただけに、彼女もその歌声に芯の強さを感じる。

Now you're Not Here (1996) Swing Out Sister

ドラマ『真昼の月』(遊川和彦脚本/織田裕二•常盤貴子主演 TBS 1996) の主題歌。
遊川和彦らしいと言えばらしい、かなりヘビーな内容のドラマだったが、実は私は、リアルタイムでは裏番組の『コーチ』(君塚良一脚本/浅野温子•玉置浩二主演 フジ 1996) を視ていた。
こちらの主題歌はおなじみ玉置浩二の『田園』だ。
それはともかく、スイング•アウト•シスターは、既に名を知られたバンドであったし、96年当時でさえ私には“今更な懐かしさ”と言った感覚があった。
私には、89年の2ndアルバム『Kaleidoscope World』が印象に強い。いかにも”都会派“といったサウンドで東京に合う音楽だと思っていた。
それは私だけの思い込みでもないようで、彼らは日本で特に人気が高かったからこその、日本先行発売の『Now You're Not Here』(邦題/あなたにいてほしい) だった。
とにかくイントロのピアノで勝負あったの感。
ヴォーカルのコリーン•ドリュリー(Corinne Drewery)の透明感ある歌声が何より特徴的だった。


以上10曲を紹介したが、その上でもう一曲を〜と強いてあげれば、ビョーク(Björk)になるだろう。
なぜ、彼女を別扱いにしたかと言えば、私は彼女を特に聴き込んだというわけでもないからだ。
ただその音楽シーンへの登場のインパクトが余りに強かった。それ故の私の中での彼女の立ち位置と言ったところか…

彼女の作品は『Hiper-ballad』(Post/1995収録)が一番有名だとは思うが、私にとっては、そのアルバムジャケットの愛さしさとはイメージの違った『Debut』(1993)の一曲目『Human Behavior』を聴いた時の衝撃に勝るものはなかった。

Human Behavior (1993)  Björk


『Debut』アルバムジャケット

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