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やまびこの思考関数

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私という人間の思考や行動を関数として捉えなおすための分析コラム。 要するにエッセイ。
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記事一覧

ひとりで生きていたならば、こんな気持ちにならなかった。

明日は会社に行かねばならない。 床に就く時、そう思ってしまった。 本来行かねばならないなどということは無い。自分はだいたい好きで会社に行っていると信じているし、それは概ね苦痛でもなんでもない筈だ。百も承知なのだけど、「行かねばならない」と思ってしまった以上はもう眠れない。抑圧の感情を抑圧する思考の無限ループは止まらず、丑三つ時まで布団の中で悶えていた私は、やはり起き上がってみることにした。 我ながら夜中に文章をしたためるのは悪い作法だと思う。考えはとことん後ろ向き、どうし

俯瞰し続ける覚悟 = f(事実と意見の切り分け)

「あなたとは違うんです」。辞任会見のラスト、そう言い放ってステージを降りた首相がいる。福田康夫、第91代内閣総理大臣だ。彼の為人について詳しく知りたい方は他をあたってほしい。彼が当時、自民党総裁で総理大臣だったということさえ知っていれば、今はそれで構わない。彼の残した言葉はその年の流行語大賞にノミネートされるまでになった。でも彼が本当に叫びたかったのは、もしかしたらこんな事じゃなかったのかもしれない。令和二年初の投稿がこれでいいのか。記念すべき第十弾。 / やまびこ恵好 ※

己と対話し続ける覚悟 = f(一ノ瀬はじめ)

あらすじ:満員電車でのいざこざから、怒りの感情について考え始めたやまびこ。もやもやしつつも頭に浮かんできたのは、一ノ瀬はじめというアニメキャラクターだった。平和とは、怒りとは、敵とはなんなのか。対話するとはどういうことか。痛みに向き合い続けるその姿から、負の感情との接し方を考える第九弾。 / やまびこ恵好 アドラー心理学前回、自分の怒りに向き合うという内容の記事を書いた。この沸き立つような真っ赤な感情に対して、私たちはどう対処すればいいのか。いや、そもそも対処すればそれでい

一ノ瀬はじめを思い出す = f(舌打ち)

あらすじ:満員電車、理不尽な残業、言うことを聞かない子供。私たちの日常はいつもストレスにあふれている。ストレス、怒りに脅かされている私と周囲の人々への観察を経て、憤怒という大罪への向き合い方を探る。アンガーマネジメントのその先を見据えたい第八弾。/ やまびこ恵好 怒れる満員電車いつも通りの帰り道だった。中央線の下り電車に揺られて、というか半ばイワシ缶のごとく詰め込まれて、私は自宅のある西の方角へと向かっていた。 先ほど停車してからというもの、ちっとも動き出す気配はなく、車

良い毎日を = f(就活生のすべきこと)

あらすじ:就活中の大学生さんらしきアカウントからフォローしていただくことが増えてきた。本当にありがたいことだと思う。同時に少し心配にもなってくる。『就活生が絶対すべき5つのこと』『これだけあれば営業職になれる3つのスキル』『俺が就活後に後悔した10のこと』。こうやって何かにつけて学生に指図してくる就活おじさんの言いなりになってほしくない。そんな思いを込めた、ちょっとした応援歌のようなもの。 / やまびこ恵好 就活おじさんは言う、時間は有限だ。 だからこのように有意義に使え。

合言葉は勇気 = f(12月の寒い朝)

あらすじ:理不尽に立ち向かうこと、それが尊いのは疑いようがない。しかし私たちは自分が物語の主人公ではないと知っている。主人公ではない私たちが、心から勇気を振り絞って立ち上がるためには、いったい何が必要なのか。そもそも勇気って何なのか。凡庸なやまびこが必死に紡いでいく第七弾。/ やまびこ恵好 ※複数のコンテンツについて、若干のネタバレを含みます。 寒い世界朝はめっきり冷え込み、起きるのが億劫になってきた12月。 仕事に行かねばならないと思う自分と、別に行かねばならない理由

理想はいつも選択肢の外にある = f(最善を尽くす)

あらすじ:自分の口をついて出た最善という言葉。嫌いじゃないけど、がむしゃらに頑張るのと何が違うんだっけ。ベストを尽くしていればそれでいいんだっけ。いつも意識していたようで、やっぱりあんまり考えたことがないような気もする。せっかくなので、理想と最善のギクシャクした関係について改めて考えてみる。今日はいつもよりちょっと短めな第六弾。 / やまびこ恵好 要するに、がんばりますってこと?「やれるだけ最善をやってみます。」 ふと自分の口からこぼれた一言に、引っ掛かりというか、違和感

イノベーションの発見 = f(割れたクラゲの皿)

あらすじ:お皿が割れるってことは、イノベーションなんだよ!どんなに声高に叫んだところで、こんな戯言に耳を貸す者はいないだろう。あんなに大好きだったお皿が割れるべくして割れたなんて、どうあっても信じられない私は、この世を支配しているという因果律について思いを巡らせるのだった。とことんモノを大事にできない私のコラム第五弾。 / やまびこ恵好 家に帰ると、流しでお皿が割れていた。それも二枚、パステルなクラゲたちが描かれている波佐見焼の逸品だ。 2年くらい前、どこかの水族館で迷い

自分も恋人も一緒に楽しめる!心優しいAIを活用したスマホゲーム『ゼノンザード』があまりにも最強な理由

あらすじ:デート中でも家でも、パートナーがスマホゲームをやめてくれない。彼女に一緒にやろうとゲームを勧めても、いまいち反応が悪い。他人とバトルするゲームは殺伐として嫌だ。そんな、スマホゲームに悩む全ての人へ。今世紀最も優しいスマホゲーム、『ゼノンザード』を体験すれば、常識が覆るかもしれません。実際に彼女と毎日楽しくプレイしている私が綴る、番外編第一弾。 / やまびこ恵好 前置き(長いので飛ばしてもOK) スマホゲームをしている人は、だいたい一目で分かります。 電車の中で

今日の生き方をまじめに考える = f(使い古したフライパン)

あらすじ:使い捨てられたフライパン。かつて相棒のように使っていたはずなのに、今では市が指定するゴミ袋の中。まるで、ただその時が来るのをじっと待っているかよう。あれ、もしかして私ってモノを大切にできていないのでは?大切にするってどういうことか、ハルヒとアインシュタインに訊いてみた。時間を越えて読みたい第四弾。/ やまびこ恵好 使い古された記憶昨日、古いフライパンを捨てました。 「古いフライパン」といっても、言葉から連想されるような、レトロで愛らしい、もしくは立派で頑丈な鉄製

実家に帰ろう = f(健康診断に行く)

あらすじ:「なぁ、おい」「私は"おい"なんて名前じゃない!」— 駅前でカップルが痴話喧嘩を繰り広げていた。一年越しの健康診断。お客様番号で呼び出されることに違和感を覚えた私は、名前について悶々と考え込んでしまった。なに大丈夫、これだけ人がいるのだ。次に呼ばれるまでの時間はたっぷりとあるはずだ。そんなこんなで第三弾。 / やまびこ恵好 健康診断に行ったら、ウエストが減っていた。 これはここ数年の自分にとっては快挙である。着々と脂身を蓄え続けてきた私の怠惰な生活に終止符を打っ

理不尽な世界に抗うということ = f(ちっちゃい蜘蛛)

あらすじ:世の中には理不尽があふれている。部活、恋愛、会社、命。その宇宙規模で覆しがたい恐怖に相対したとき、私たちはいったいどうすればいいのだろうか。小さな蜘蛛を逃がしてやった話から、少しずつじっくり考えてみようという、それだけのコラム第二弾。/ やまびこ恵好 視界の端を、黒っぽい点が跳ねた。 まさに記事がひとつ書き上がらんというところだったため少し億劫だったが、小さい、黒くて、動くもの。となるとぞっとしない。ゆっくりと視線を右に移していくと、なるほど。小さなクモがデスク

アイデアのこと。人間を関数y=f(x)的な考え方をしてみる【はじめてのnote】

あらすじ:言葉を受け取って言葉を返す、人間ってよく考えると関数みたいだ。これは思い立ったが吉日というやつで、自分という関数の理解を深めるべく、noteなるものをはじめてみた。私が見聞きしたアイデアや出来事について、心の中から返ってくるものを、さらさらと書き留めていくコラム。これはその、ほんの第一弾です。/やまびこ恵好 実は私は関数なんじゃないか? 「はて、実は私も関数なんじゃないか?」そんな考えが頭をよぎったので、プログラミングの手を止めて考えてみる。この心から湧き出る言