Automatisme Ⅱ【句帖2022/秋・冬・新年】
秋
たまさかに墓標となりぬ火焔茸
次の間に控え候黒葡萄
閑かさや館取り巻く曼珠沙華
触れるとき触れられており花芒
雁来紅一つ残らず判を押せ
秋天に薄く水脈引く櫂の舟
木犀の果ては人外時間外
撫子を小さく束ねて尾根の道
殺したいとまでは思えず穴窓
秋蝶や夢なら口にする言葉
中の子の行ったり来たり木守柿
冬
石蕗咲く畢竟夜は生きやすい
日々過ごす日々を過つ実南天
膝上の本は開かれ寒の薔薇
聖夜 過去は無言で突き抜ける
細雪紺地更紗の帯締めて
雉