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ほどよく香るわたしのジャスミン

私が植えたジャスミンが、空き家となっているお隣との境のフェンスにつるを伸ばして、さらに、上へ上へとお隣のベランダの柱をよじ登り、ついにお隣のベランダを占拠してしまいました。

そして、いま、鮮やかに、ピンクの蕾をゆらゆら揺るがせ、そして白い花を咲かせ始めました。
そうすると、あの、香りが漂い始めます。
私が旅番組で見て憧れた、モロッコのカスバを包むジャスミンの香り。

朝、二階の窓を開けると、飛び込んでくるお隣のベランダのジャスミン。
実に見事な眺めとなりました。
お隣だからこその眺め。自分の家でないからこそよく見える。

そして、程よい距離があるからこその、心地よい香り。
もしも、自分の家であれだけの数のジャスミンが香ったら、ちょっとくどいかもしれないなんて思ったりします。

隣の家から、私の家に香りを届けてくれるジャスミン。
嬉しい距離間。
なにごとも、ほどほどの距離間があるといい塩梅になるのかもしれません。

来年も咲いてよね。
空き家が取り壊されたらおしまいだけど。

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