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赤鬼、青鬼が老鬼となって再会した
『泣いた赤鬼』はざわざわする心地がする。
青鬼の提案は本心か、まさか赤鬼が同意するとは思っていなかったかも知れない。そんな提案をして赤鬼を試したのでないか。
赤鬼にたたかれながら、自分が犠牲になって赤鬼を助けていることへの、少しの陶酔感がなかったか。
旅に出たのは、赤鬼と離れたかったかも知れないし、赤鬼を試した自分を恥じたからかも知れない。
人間と飲み食いしながら「そういえば、最近、青鬼が来ないな」なんて赤鬼は能天気にもほどがある。
人間は物珍しさで赤鬼を訪れるがすぐ飽きてしまう。
人間と仲良くするため策を講ずる。若さ故の貪欲さ、好奇心が、何を代償としているかを考えさせない。
それは悪いことばかりとは言えない。視野の狭い好奇心が世の中を発展させてきたから。
老鬼の二人であったなら、「今日も来なかったかい?」「来なかった」「今日もかい?」「今日もさ」なんて会話を永遠に繰り返していただろう。
「その後」を妄想してみた。
何十年かして、赤鬼、青鬼は再会する。顔はくすんで、赤だか、青だかわからない。角は半分折れて、金棒は杖になっている。歯は数本となり、ポリポリとゆっくり豆を食っている。記憶はまだらである。
昔の話が出ることもあるが、「そんなこともあったかのう」で終わってしまう。赤鬼も青鬼も、話しながら少し疼くのだが、何でかわからない。まあ、いいか、それより豆が硬いことが問題だと思っている。
そのうち赤鬼が世を去る。青鬼はよたよたと葬儀に参列する。人間は赤鬼が亡くなたことさえ知らないから一人も参列していない。
「そのうち、俺もそっちにいくからな、待っとれよ」チーン
手を合わせる青鬼に涙はない。
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