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ザ・ブレッカー・ブラザーズ・リユニオン・ライヴ~深町純・トリビュート・ライヴ

(左側手前から、ロドニー・ホルムズ、バリー・フィナティー、ウィル・リー、右列手前から、ジョージ・ウィッティー、ランディー・ブレッカー、アダ・ロヴァッティー、ステリーナ)

ザ・ブレッカー・ブラザーズ・リユニオン・ライヴ~深町純・トリビュート・ライヴ
 
【After Brecker Brother’s Reunion Live】
 
アフター。
 
日本のキーボード/ピアノ奏者、深町純がニューヨークに出向き、同地の腕利きミュージシャンたちとスタジオで火花を散らす強烈なレコーディング・セッションを行ったのは1976年8月のこと。このときのセッションが『スパイラル・ステップス』となり、これがヒット、翌1977年7月、ニューヨークに再度出向き、これが名盤とも呼ばれるようになる『ザ・シー・オブ・ディラック(邦題、ディラックの海)』になる。これらの2枚のアルバムを受けて、日本でもこの参加者を中心にライヴをやろうということで、翌1978年9月来日公演が行われ、このライヴが録音された。
 
それらのレコーディングに参加していたのがランディー・ブレッカー、ウィル・リー、バリー・フィナティーらだ。クレジットを見ると、本当に当時若くていきのいい超一流どころがこれでもかと参加している。
 
上記3作は日本のキティ―・レコーズからリリースされたが、それらのニューヨーク録音をコーディネートしたのが、今回ブルーノートにご一緒した宗像和男さんだ。のちにBMG音楽出版の社長になる方だ。
 
宗像さんによると、これらのミュージシャンの手配(ブッキング)は当地のいわゆる「インペグ屋」(ミュージシャンを手配する業者)が手配したのだが、その人物は、なんとロスをベースに活躍するアレンジャー、ジーン・ページのお姉さん、オリヴィア・ページさんという方だったという。オリヴィアさんは、ジーン・ページの面倒もみていたようで、それで東西のミュージシャン界隈に詳しく、そうしたコーディネートを生業にしていたそうだ。さすがに、現在はまったく連絡をとっていない、ひょっとしたら亡くなっているのではないかと推理されていた。
 
ランディーやバリー、ウィルらは、みな深町さんとのセッションのことはものすごくよく覚えていると言う。「とくに難しかったから」覚えてるのだ。
 
今回、宗像さんは、ランディーやバリー・フィナティーに会うのは40年以上ぶりとのこと。バリーにその旨を伝えると、「(レコーディングは)よく覚えてる。でも、どっちのスタジオだったかな。メディア・サウンドかパワー・ステーションか」と、録音したスタジオまで覚えていた。宗像さんが「ああ、あれはたしかメディア・サウンドだった」と答えると、「おおっ、そうだったか。もうメディア・サウンドもなくなったけどね」と話がはずんだ。
 
ランディーとウィルにはそれぞれ別に、コロナ前に深町純アーカイヴ・プロジェクトでインタヴューしたが、みなそれぞれそのレコーディングにことはよく覚えている。それらのインタヴュー映像は編集して後日、深町イズムのホームページにアップされることになりそうだ。
 
スタジオ・ミュージシャンは渡された譜面をその場でほぼ初見でプレイする。だが、深町純の譜面は複雑で、みな苦労し、四苦八苦した。
 
そのニューヨーク・セッションについて深町さんは次のように言っている。
 
「当時僕は日本でもアレンジの仕事、スタジオ・ミュージシャンとしての仕事をしてたけど、ニューヨークに行って驚いたのは、日本だと、たとえば、ものすごい難しいフレーズがあると、そこに来たミュージシャンたちから『こんなの(難しいフレーズ)吹けねえよ』『こんな(変な)のはできない』と言われることが多々あった。僕も若かったせいもあって、難しいのを書いたりしたこともあるんだけど。つまり先輩のミュージシャンが、(若い僕が)書いたメロディーにいちゃもんをつける。ひどいときには、そのフレーズを(勝手に)変えちゃったりするのね。そういうことがよくあった」
 
「ところが、この人たち(ニューヨークのミュージシャンたち)は、そういうことは一切言わない。それにものすごく驚いた。どんな有名なミュージシャンでも、このフレーズひどいからとか、難しいから吹けないとか決して言わず、黙々とやるんですよ。ああ、この人たちって、こんなにひどいフレーズでも、俺が吹けばこんなに素晴らしいフレーズになるんだ、というところに誇りを持っているんだって思ったのね。そういうミュージシャンって日本にいないのね。日本でそういうことになると、アレンジャーも『じゃあ、適当に書き換えてくれますか』って言っちゃうのね。で、(ミュージシャンが)自分が吹きやすいようにやるもんなの。」
 
「で、逆に向こうで『適当に書き換えてくれますか』って言うと、『いいけど、100ドルよこせ』って言われるんだよね。ただでやらない。そこがまたすごいプロなんだよね。すべからず、プロ。演奏家っていうのは、与えられたフレーズをいかにうまく吹くかっていうのが仕事なんだよね。ちょっとでも変えてください、ていうと100ドル払えば変える、ということね。それは別のプロとしての仕事だ、という」(2008年深町さんコメントから)
 
宗像さんによれば、特にスティーヴ・ガッドは録音初日に思うようにプレイできず、「もうしわけない。今日はうまくできない。別の日にもういちどやらせてくれ。そのスタジオ代は俺が持つから」と言って、再録音にチャレンジしたそうだ。スタジオ・ミュージシャンとしてのプライドということだろう。
 
深町純オフィシャルサイト
FUKAMACHI-ism

 
深町純の作品・経歴などについて日本でもっとも詳しいサイト。
 
布美子さんは、深町純の最新作を彼らに手渡したが、ウィルなども「あとですぐ聴くよ」、ランディー「おおっ、これは嬉しい、ありがとう」とCDを丁寧に受け取った。
 
 

左から宗像、ランディー、深町、吉岡


 
(写真)
 
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■深町純トリビュート・ライヴ2023年11月20日、22日、中目黒FJ’sで
 
その深町純の命日が11月22日(2010年)ということで恒例のトリビュート・ライヴが深町さんの店「FJズ」で、2023年11月20日(月)と22日(水)、2本行われる。それぞれ出し物が違う。一本目は深町さんが晩年に力を注いでいたKEEPをバンド編成で再現したもの、2本目はそのKEEPを二人で再現する。
 
1)
深町純トリビュート・ライヴ~KEEP Legend 2023 / KEEP DUO 2023
 
日時 2023年11月20日(月)開場18時30分 開演19時00分
チケット代 予約5000円 当日5500円+1ドリンクオーダー
会場 FJ’s 目黒区中目黒5-1-20
電話 03-6303-1214
 
出演:養父貴(g)
岡田治郎(b)
小森啓資(dr)
渡部チェル(key)
 
*ご予約の受付は公演日前日の23:59までとなります。
メールでのご予約は info@fjslive.com までお願いします。
1.ご希望の公演日
2.ご希望の公演名 
3.お名前(フルネーム)&フリガナ 
4.人数 
5.お電話番号を送信ください。
折り返し確認のメールをお送りします。


今回のKEEP、左から養父貴、岡田治郎、小森啓資、渡部チェル


 
2)
KEEP DUO 2023
 
日時 2023年11月22日(水)開場18時30分 開演19時00分
チケット代 予約5000円 当日5500円+1ドリンクオーダー
会場 FJ’s 目黒区中目黒5-1-20
電話 03-6303-1214



 
出演 :
SUNAO(gtr)
渡部チェル(key)
 
*ご予約の受付は公演日前日の23:59までとなります。
メールでのご予約は info@fjslive.com までお願いします。
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2.ご希望の公演名 
3.お名前(フルネーム)&フリガナ 
4.人数 
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折り返し確認のメールをお送りします。
 
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一流のミュージシャン同士の「ミュージシャンシップ」というのは、何年経っても、色あせることはないんだなあ、と今回のやりとりをみていて痛切に感じた。
 
 
ENT>LIVE>The Brecker Brothers Reunion + Jun Fukamachi
ENT>LIVE>Fukamachi, Jun
 

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