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〇ジェニファー・ハドソン主演アリーサ・フランクリン伝記映画『リスペクト』~リーのソウル・サーチン

〇ジェニファー・ハドソン主演アリーサ・フランクリン伝記映画『リスペクト』~リーのソウル・サーチン

【Movie “Respect” Review: Aretha’s Soul Searchin】

本記事は最後まで無料で読めます。

(本作・本文は約5000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字で読むと、およそ10分から5分。いわゆる「音読」(アナウンサー1分300字)だと17分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください)

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〇ジェニファー・ハドソン主演アリーサ・フランクリン伝記映画『リスペクト』

【Movie “Respect” Review】

(大きなネタばれはありませんが、まったく事前情報を知りたくない方はご注意ください)

反映。

音楽や楽曲がそのアーティストの人生を映し出す、反映することは、よくある。激動する人生の一コマを描いた楽曲を歌うとき、そのアーティストには単なるアーティスト以上の輝きが増す。

コロナ禍のために、当初の予定から1年遅れでの公開となったジェニファー・ハドソン主演アリーサ・フランクリン伝記映画『リスペクト』。全米では2021年8月13日に公開され、日本では11月5日に公開される。

5500万ドル(約60億5千万円)の予算で製作され、約4週間の興行収入が2100万ドル。撮影は2019年9月から始まり、2020年2月に終了。当初は2020年8月のアリーサの命日近辺に公開予定だったが、コロナ禍のために12月に延期、さらに2021年8月まで延期された。

映画の中では周囲から「リー」と呼ばれ親しまれるが、これは「アリーサ」の「リー」から。「リー、リー、リー、リー」という掛け声が「リスペクト」に繋がっていくコネタも出てくる。

映画はアリーサの10代(子役スカイ・ダコタ・ターナー)から1972年ロスアンジェルスの教会でゴスペル・アルバム『アメイジング・グレイス』がレコーディングされるまであたりの人生を描く。

場面写真 リスペクト 4 ジェニファー+フォーレスト 父CL

■ジェニファーに風格~各楽曲にリーの人生

映画本編をスクリーンの試写(六本木・トーホー・シネマズ)で見て最初に感じたことが、ジェニファーの歌のうまさと、演技力のパワーアップだった。『ドリーム・ガールズ』ではまだあどけなさが残っていたが(それでもアカデミー受賞)、今作ではアリーサという役もあってか「風格」さえ感じられた。

本作は監督も言っている通り、「楽曲を軸に作った」ことがこの作品を特徴付けた。アリーサにとって、ターニング・ポイントとなる時点での楽曲。それがアリーサの人生の出来事と重なり、彼女の心のひだが、自作曲でないにも関わらず、その楽曲に込められるところが圧巻だ。そして、そのリーのソウルを、ジェニファーが理解して、ジェニファー印にしているところが、ジェニファーのシンガーとしての力の見せ場ともなっている。

たとえば、アトランティックでのデビュー曲となった「アイ・ネヴァー・ラヴド・ア・マン~」、そして、オーティス・レディングの曲をカヴァーし、まさにアリーサの曲に「強奪」してしまう「リスペクト」、最初の夫、テッドとの破局へ向けての超名曲「エイント・ノー・ウェイ」、マーティン・ルーサー・キング牧師との交流から公民権運動に強く目覚め歌うニーナ・シモーン作の「ヤング・ギフテッド・アンド・ブラック」、そして、その頃の恋を感じられる「(ユー・メイク・ミー・フィール・ライク・ア)ナチュラル・ウーマン」、自身の力でプロデュースし、自らのルーツ、ゴスペルに回帰し、結局キャリア上最大のベスト・セラーとなる「アメイジング・グレイス」。いずれの曲とそこにつながるストーリーが、その楽曲の贅沢なミュージック・ビデオのような存在にさえ感じられる。

場面写真 リスペクト 3 マスルショールズスタジオ

■オスカーを引き寄せるアル中の演技

今作中、演技で僕が感銘を受けたのは、1970年代初期いろいろあって、アルコール依存症になったときのシーン。そのドロドロのリーの様子が、実に真に迫っていた。このシーンで、彼女は来年のアカデミー主演女優賞のノミネートに入るような気がする。

一足先に公開されたアリーサのキャリアを描いた連続テレビドラマ『ジーニアス:アレサ』もそうだったが、この作品もリー(アリーサ)の人生のアップ&ダウンを描く。最初は愛する母の死からの父親への反発心、次に最初の夫テッド・ホワイト(マーロン・ウェイアンズ)との衝突、さらに、リーをアトランティックに迎えヒットのなかったアリーサに多くのヒットを提供する力となったプロデューサー、ジェリー・ウェクスラーとの意見の衝突と、常に彼女の人生は男性との戦いだった。そんな中から生まれた「リスペクト」(相手のことをもっと尊重して)、「シンク」(ちゃんともっと考えて)といった曲が、1970年代以降女性賛歌の代名詞ともなった。

場面写真 リスペクト 2 アリーサ+ダイナ・ワシントン(メアリーJ)

■描かれたリーのソウル・サーチン

「クイーン・オブ・ソウル」として、女性シンガーとして文字通り「クイーン」の名を欲しいままにしていたアリーサ・フランクリン。だが彼女の人生は次々と目の前に訪れる高く険しい山を乗り越えていかなければならなかった。その問題をひとつひとつ解決しながら人生の階段をゆっくりながらも一歩ずつ上がっていったその過程は、まさにリーにとっての厳しくも逃れられないソウル・サーチンの連続だった。

『サマー・オブ・ソウル』と並んで来年のアカデミー賞にノミネートされそうな作品だ。この『リスペクト』は主演女優賞の部門と見るが、果たして「作品賞」「脚本賞」はどうかというところ。そのほか、「衣装賞」あたりは意外とノミネートがいけるかもしれない。

エンディングのクレジットのシーンでは、アリーサのケネディー・センターの「ナチュラル・ウーマン」の感動のリアル映像が映し出され、しばし座席から立ち上がれなくなる。

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■2021年9月4日放送『レディオ・ディスコ』内「ディスコ・サーチン」で『リスペクト』をご紹介。

ラジコのタイムフリー、こちら。1週間聴けます。冒頭から12分ほど。
2021年9月4日(土) 16:29-16:43


https://radiko.jp/#!/ts/INT/20210904162900

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映画は2021年11月5日から日本公開。アメリカではすでに配信も開始。

映画公式サイト


https://gaga.ne.jp/respect/

予告編


https://youtu.be/tE-B8tdAFfU

ツイッター


https://twitter.com/respect_eiga

米国アマゾン(30日のレンタルで約20ドル、スタートしてから48時間以内の視聴制限。また日本国内からはExpressVPNなどのプロクシ・サーヴァーを経由する必要があります。英語字幕あり)


https://www.amazon.com/Respect-Jennifer-Hudson/dp/B09CWMR6L1/ref=sr_1_1?crid=P0PLYS9IY7N9&dchild=1&keywords=respect+jennifer+hudson+movie+2021&qid=1630762664&s=instant-video&sprefix=respect%2Cinstant-video%2C319&sr=1-1

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映画サウンドトラック盤 (これは輸入盤のリンク)
(日本盤は2021年11月3日発売)
RESPECT (Original Motion Picture Soundtrack)
Jennifer Hudson (アーティスト) 形式: CD


https://amzn.to/3kOIJcy


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■『リスペクト』関連記事

映画『リスペクト』について。
筆者が見る前に、この映画はこんな風な感じになると推測

映画『リスペクト』8月13日から全米公開~『リスペクト』はこんな映画だ:各種レヴューから推測
2021年8月13日


https://bit.ly/3gYWJzq

ジェニファー/アリーサ・メディア・ラッシュ続く~オプラ・ウィンフリーほか
2021年8月14日


https://note.com/ebs/n/n28158b5efdec

アリーサ、ケネディー・センター名誉賞授賞式で熱唱~48年の歴史の凝縮と感動
2015年12月31日(木)


https://ameblo.jp/soulsearchin/entry-12112228021.html

そのときの映像→
Aretha Franklin Brings President Obama To Tears Performing At Kennedy Center Honors


https://www.youtube.com/watch?v=8cF0tf35Mbo

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