〇スティーヴィー・ワンダーがモータウンを離れ新曲2曲発表~新作アルバムまもなく発売か
〇スティーヴィー・ワンダーがモータウンを離れ新曲2曲発表
【Stevie Wonder Will Release 2 New Songs On Newly Signed Record Labels】
新曲。
（本作・本文は約5000字。「黙読」ゆっくり1分500字、「速読」1分1000字換算すると、10分から5分。いわゆる「音読」（アナウンサー1分300字）だと17分くらいの至福のひと時です。ただしリンク記事を読んだり、音源などを聴きますと、もう少しさらに長いお時間楽しめます。お楽しみください）
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〇スティーヴィー・ワンダーがモータウンを離れ新曲2曲発表
【Stevie Wonder Will Release 2 New Songs On Newly Signed Record Labels】
01． モータウン離脱し2曲の新曲
新曲。
スティーヴィー・ワンダーが、1961年以来59年在籍したモータウン・レコードを離れ、自身のレーベル「ソー・ホワット・ザ・ファス」をリパブリック・レコーズ内に設立、世界はユニヴァーサルが配給。新曲2曲をリリース、また、近日中にアルバムもリリースするという。2020年10月13日、オンライン記者会見を行って発表した。
ニュース→
新曲は次の2曲。
"Can't Put It in The Hands of Fate" https://bit.ly/34YMd4c features Rapsody, Cordae, Chika and Busta Rhymes.
"Where Is Our Love Song"
https://cnn.it/2IixcCD features Gary Clark Jr.
スティーヴィーは記者会見で1961年以来契約していたモータウンを離れることについて、「（1961年以来所属してきた）モータウンから（契約的には）離れるが（心は）ずっとモータウンから離れることはない」と語った。
ひょっとすると、すでに何年か前に、契約は切れていたのかもしれない。
ベリー・ゴーディーと、スティーヴィーが11歳のとき、1961年に契約したが、以後、グラミー候補74、そのうち25を獲得。政治的メッセージも多数発している。特に、1980年、マーティン・ルーサー・キングの誕生日を国民の休日にしようという運動を促進するために、「ハッピー・バースデイ」という曲を作り、ヒットさせた。最近もことあるごとに、ブラック・ライヴズ・マターに関しても発言をしている。
02． 新曲2曲、～ブラック・ライヴズ・マターに影響を受けて
スティーヴィーの新曲としては2016年アリアナ・グランデをフィーチャーした「フェイス」以来。アルバムは出るとすれば2005年の『ア・タイム・トゥ・ラヴ』以来15年ぶり。その前は1995年の『カンヴァセーション・ピース』。仮に10年に1枚のペースとして2015年には出なかった。
現在、モータウンはユニヴァーサルが全世界配給なので、自身のレーベルがリパブリック経由でも結局ユニヴァーサルを通してリリースされる。また、自身のレーベル名「ソー・ホワット・ザ・ファス」は、2005年に発表された前作『ア・タイム・トゥ・ラヴ』のトップに収録されたプリンス、アン・ヴォーグらとの共演曲のタイトル。
ラプソディー、コーデー（最近はテニスの大坂なおみのボーイフレンドとして知られる）、バスタ・ライムス、チカらヒップ・ホップ・アーティストを従えた前者「キャント・プット・イット・イン・ザ・ハンズ・オブ・フェイト（運命のままに流されてはならない）」は、当初はラヴ・ソングだったが、今年になってブラック・ライヴズ・マター運動の影響を受けて歌詞を変えた。「オール・ライヴズ・マター」はダメと。
これは「君は僕たちが抗議してるのにもううんざりという／でも変革するにはまだ十分じゃない／君は『オール・ライヴズ・マター』を信じるっていう／僕はそんなのは信じられない」と歌う。
スティーヴィーによればこの曲は「システミック・レイシズム」（制度的差別）についての歌。「これはとても受け入れられない。この狂ったシステムの中では世界はひとつになれない。今こそ変革のとき。このまま放置はできない。1619年からの歴史は消せないが、償いのとき」と主張する。
(2020年9月に発表したビデオ・コメント、ブラック・ライヴズ・マターなどについて熱く語る。約7分）
一方、「ホエア～」はグラミー賞受賞アーティスト、ゲイリー・クラーク・ジュニアをギターでフィーチャー。あらゆる混乱、憎しみ、東西の対立、左翼右翼の対立、分断などを嘆く。いま、我々はこれまでにない世界にいる。人々に僕の愛を見せたい、コロナから守るためにマスクを、とも語る。なお、ここからの収益はコロナ禍で苦しむ人へのチャリティー「フィーディング・アメリカ」に送られる。
次の新作アルバムのタイトルは、『スルー・ジ・アイズ・オブ・ワンダー』になる予定。また、一方、ゴスペル・アルバムとして、今回の「キャント・プット・イット・イン・ア・ハンズ・オブ・フェイト」をそのタイトルにするという話もある。そして、このゴスペル・ミニ・アルバムはモータウンからリリースされるとも伝えられている。
11月の米大統領選についてスティーヴィーは、「投票をないがしろにしてはならない。宇宙は注視している。正義を取り戻し、不正義を排除しなければならない。憎しみの葬儀（終わること）になることを望んでいる、という。
03． 新生モータウン
ちなみに、スティーヴィーが離れたモータウンは、先月、モータウンUK(イギリス)を立ち上げたり、クオリティー・コントロール・レーベル（ミーゴス、リル・ヤチー、リル・ベイビー、シティー・ガールズなどが所属）を始めたり新生モータウンの動きを加速させている。これらの動きは2011年にモータウン入りしたエグゼクティヴ、エティオピア・ハブタマリアンが3年前にシルヴィア・ローンから社長の座を受け継ぎ、大きな動きをみせている。ちなみに、エティオピアは1979年、アトランタ生まれの41歳。アトランタのラ・フェイスのインターンから音楽業界入りし、音楽出版社を経てモータウン入りした。
(現モータウン社長、エティオピア・ハブタマリアム Ethiopia Habtemariam）
また、スティーヴィーは昨年12月に腎臓移植の手術を受けたが、現在は大変体調もいいという。70歳だが、40歳くらいになった気分だ、と述べている。
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04. 59年在籍していたモータウン
解説。
しばらく前に契約が切れていた可能性もあるので、59年在籍していた、という表現は正しくないかもしれない。だが、スティーヴィーがモータウンを離れるというのは、モータウン史上、最大のニュースでもある。彼は、1961年以来、モータウン一筋で他のレーベルに在籍したことはなかったからだ。
ただ、2020年の現在、これだけ音楽業界が冷え切ってしまうと、レコード会社の存在意義が、1970年代、1980年代とはまったくちがう。当時はある程度レコード会社が予算を持ってレコード（その後CD）を作って世界に配給しないと成り立たなかった。しかし、いまは、誰でも音楽（音源）を作れば、その翌日でもネットを通じて配信で音源を世界中に届けることが可能になる。
スティーヴィー・クラスになると、新譜を出したとそれこそツイッターやその他のSNSで発表すれば、従来のファンはそれに飛びつき、購入することができるから、レコード会社がお金をかけて宣伝する必要もなくなるわけだ。もちろん、無名の新人はそうはいかないが、ある程度の知名度、ネーム・ヴァリューがあれば、世界中どこに住んでいても、新作を出すことができるわけだ。
モータウンでもスティーヴィーの契約は別格だったという。普通は契約期間、たとえば7年なら7年の間にアルバムを何枚だす、という縛りがあるが、スティーヴィーはそれがなく、できたときにマスターを渡せば、そのままリリースされることになっていたという。その結果、前作リリース2005年から15年、何も出ずに終わった。（若干の単曲の配信などはあったが） さすがにモータウンもまいったのかもしれない。そして、なんらかの形で自由契約にしたのかもしれない。つまり、フリー・エージェントだ。
スティーヴィーだったら、どこのレコード会社でもウェルカムだろう。その結果、自身がレーベルを作り、このところ勢いにのっているリパブリック・レコーズが配給を担うことになった。最近では、「アーバンという言葉を会社内での使用を禁止」したことで話題になった会社だ。
いずれにせよ、スティーヴィーが一挙に動き出した感じだが、果たして本当に15年ぶりにアルバムは出るのだろうか。スティーヴィーのアルバムほど、いつも「出る出る詐欺」なので、出たときが、本当に出たときなのだ。
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05. Extra (おまけ）
最近受けたスティーヴィーの動画。ジェームス・コーデンの「カープール・カラオケ」にスティーヴィーが登場。
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https://www.theguardian.com/music/2020/oct/13/stevie-wonder-new-songs-music
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