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〇モア・オスカー:タイラー・ペリーのアカデミー賞・友愛賞受賞スピーチ(全訳)~憎しみを拒絶し、真ん中に立つ~グレン・クローズの「ダ・バット」

〇モア・オスカー:タイラー・ペリーのアカデミー賞・友愛賞受賞スピーチ(全訳)~憎しみを拒絶し、真ん中に立つ~グレン・クローズの「ダ・バット」

【Tyler Perry’s Address On Academy】

受賞スピーチ。

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〇タイラー・ペリーのアカデミー賞・友愛賞受賞スピーチ~憎しみを拒絶し、真ん中に立つ+モア・オスカー

【Tyler Perry’s Address On Academy】

受賞スピーチ。

2021年4月25日(日本時間26日午前)発表されたアメリカ映画界の最大のお祭り、アカデミー賞授賞式で、人道支援活動などを行ってきた人に与えるジーン・ハーショルト友愛賞(人道賞)を受賞した俳優、プロデューサー、タイラー・ペリーの受賞スピーチがひじょうに印象的だった。その全文をご紹介する。

タイラー・ペリーは1969年9月13日ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれ。執筆活動から俳優業に進み、舞台、映画などで活躍。成功を収めた。2000年頃からクリエイトした女装したマデアおばさん役の舞台、映画が次々と大ヒットし巨万の富を得た。2011年にはフォーブス誌で1年で約1億3千万ドル(約130億円)を稼いだとされた。現在は資産もビリオンを超え、ビリオネア(10億ドル=1000億円超)とされる。

成功してからは、様々なチャリティーや寄付活動、慈善活動を行ってきている。そうしたものが評価されて、この日の受賞につながった。

授賞式では『マ・レイニーズ・ブラック・ボトム』がマルチ・ノミネートされていた主演、ヴァイオラ・デイヴィスからこの賞を受けた。

そして、早口で約3分余、まくし立てた。この感動的なスピーチのために、その後ハッシュタグ #refusehate がトレンドに。

この「憎しみを拒絶する」はパワーワードだ。

そして、middle 真ん中の重要性も印象的。右に寄れば左を攻撃、左によれば右を攻撃する。上に上がれば下を見下ろし、下に落ちれば上を攻撃。真ん中が癒しを生み出す。

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またもうひとつの重要単語「ブランケット・ジャッジメント(毛布に包まれた判断)」は、何か本質的なものが毛布に包まれたものを見て、その毛布で判断すること、という意味で、ここでは表面を見て判断することと訳した。

なお、このスピーチ内の「私はその人物が警官であることを理由に、憎んだりしない」というフレーズが切り取られ、一部からバッシングされているという。残念としかいいようがない。

(動画)
Tyler Perry honored at the Academy Awards with Jean Hersholt Humanitarian Award | GMA (3分23秒)
2021/04/26

https://www.youtube.com/watch?v=rpmWmak8pss

(大意)

ありがとう、ありがとう。ほんの数分しか与えられていないので、まず特別な感謝をミス・ヴァイオラ・デイヴィスに、今夜ノミネートされているにもかかわらず、これをやってくれて、ありがとう、ありがとう、感謝しています。(私を選んでくれた)委員会、特にウーピー・ゴールドバーグ、エイヴァ(・デュバーニー)にも。

私が誰かを助けるのは、ただ、そうしたいからです。誰かに人道的支援をする以外の他意はありません。17年前の出来事を思い出します。映画製作のためビルを借りていたんですが、ある日、車に乗ろうとするとホームレスの女性が近づいてきたので、お金をあげようとしました。「判断」ということについてはゆっくり話したいと思いますが、(彼女をホームレスと判断して)ポケットに手をいれお金を出そうとしました。すると彼女が『すいません、靴はありますか?』と言ったんです。体が凍りそうになりました。かつて自分もホームレスでたった一足の靴がよれよれになっていたことを思い出したからです。そこで『わかった』と言って、彼女をスタジオに連れて行きました。最初彼女は躊躇していましたが、(スタジオに)行きました。ワードローブに行き、そこには壁中にたくさんの箱があって、衣装やいろんなものが置いてありました。その真ん中に立って、いくつかの靴を見つけ、彼女に履かせたんです。私は立ちあがって彼女が私を見上げるのを待っていました。でも彼女はずっと下を向いたままでした。そして、やっとの思いで頭を上げると、彼女の眼には涙があふれていました。彼女は言いました。「神様、ありがとう。足がやっと土から離れたわ!」(ちょっとどよめく)

そのとき彼女が、『靴なんかねだって嫌われると思ったんです』と言ったのです。私は答えました。「僕もあなたと同じようにホームレスだったんですよ、あなたを嫌うわけないでしょう? 母は(人種差別の)ジム・クロウ時代、ルイジアナの田舎に育ちました。ミシシッピーとの州境のあたりです。母は9歳か10歳でエメット・ティルがリンチされ虐殺されて悲しみにくれていました。それからアラバマ州バーミングハムの(教会)爆発で少年少女が殺されて泣きました。子供の頃家に戻ると母が、仕事のはずなのに家にいて、泣いていました。彼女の仕事場に爆破予告があったんです。母はそのユダヤ人コミュニティー・センターで子供たちの面倒をみていたのですが、そんな子供たちがいるところを爆破しようとするなんて信じられなかったのです。

母は、私に(人を)憎んではいけないと教えてくれました。『表面的なことを見て判断』(blanket judgement)してはいけないと教えてくれました。そして、この現代、インターネットやソーシャル・メディア、アルゴリズム、そうした環境が、ある方向に考えを向かわせようとします。一日24時間のニューズ、情報が巡ります。私たちみんなが私たちの子どもたちに、憎しむことをやめなさい、と教えたいのです。私は、その人物がメキシカンだから、ブラックだから、白人だから、LGBTQ(レズビアン、ゲイなどの性的少数派)だからという理由でその人物を憎んだりしません。(拍手) 私はその人物が警官だから、アジア人だからという理由で憎むことは決してしません。

私は私たちが憎むことをやめるように願います。そして、このジーン・ハーショルト友愛賞をどのような壁がそこにあろうと、その真ん中に立とうとするあらゆる人に捧げたいと思います。真ん中に立つことで、癒しが巻き起こるのです。そこでこそ、会話が始まるのです。そこでこそ、変化(チェンジ)が起こるのです。そうしたことは、(右や左ではなく)真ん中で起こるのです。ですから、私と真ん中で会いたいと思い、憎しみや『表面的な判断』を拒絶し、誰かの足を地上から持ち上げる手助けをするような人、そういうあなたにこの賞を捧げます。神のご加護がありますように、アカデミーありがとう。感謝しています。ありがとう。

"Thank you. Thank you, that is, that’s incredibly kind. Thank you so much. They only gave me a few minutes so I wanna say a very special thanks to Miss Viola Davis, who is nominated tonight and doing this. Thank you, thank you, I really appreciate it. To the Board of Governors, especially to Whoopi Goldberg, Ava (DuVernay).

"You know when I set out to help someone, it is my intention to do just that. I’m not trying to do anything other than meet somebody at their humanity. Like a case in point, this one time I remember I was, maybe it was about 17 years ago. I rented this building and we were using it for production and I was walking to my car one day and I see this woman coming up out of the corner of my eye and I say, she’s homeless, let me give her some money.

"Judgment. I wish I had time to talk about judgment. Anyway, I reach in my pocket and I’m about to give her the money. She says, 'Excuse me sir. Do you have any shoes?' It stopped me cold because I remember being homeless and having one pair of shoes and they were bent over at the heels. So I was like, 'yeah.' So I took her into the studio. She was hesitant to go in, but we went in. We go to wardrobe and there all these boxes and everything around the walls and fabrics and racks of clothes. So we ended up having to stand in the middle of the floor. So as we’re standing there in wardrobe, we find some shoes, we help her put them on. I stand up, I’m waiting for her to look up and all this time she’s looking down. She finally looks up. She’s got tears in her eyes. She said 'Thank you, Jesus, my feet are off the ground.'

"In that moment I recall her saying to me 'I thought you would hate me for asking.' I’m like, 'how can I hate you when I used to be you?' How can I hate you when I had a mother who grew up in a Jim Crow South in Louisiana, rural Louisiana right across the border from Mississippi, who at 9 or 10 years old was grieving the death of Emmett Till. And she got a little bit older. She was grieving the death of the Civil Rights boys and the little girls who were in the bombing in Alabama. She grieved all this all these years and I remember being a little boy and coming home, and she was at home like, 'what are you doing home? You supposed to be at work.' She was in tears that day. She said there was a bomb threat and she couldn't believe that someone wanted to blow up this place where she worked. Where she took care of all these toddlers. It was the Jewish Community Center.

"My mother taught me to refuse hate. She taught me to refuse blanket judgment, and in this time, and with all of the Internet and social media and algorithms and everything that wants us to think a certain way, the 24-hour news cycle, it is my hope that all of us, we teach our kids and I want to remember, just refuse hate. Don’t hate anybody. I refuse to hate someone because they are Mexican or because they are Black or white or LGBTQ. I refuse to hate someone because they are a police officer. I refuse to hate someone because they are Asian.

"I would hope that we would refuse hate and I want to take this Jean Hersholt Humanitarian Award and dedicate it to anyone who wants to stand in the middle, no matter what’s around the wall. Stand in the middle ’cause that’s where healing happens. That’s where conversation happens. That’s where change happens. It happens in the middle. So anyone who wants to meet me in the middle, to refuse hate, to refuse blanket judgment, and to help lift someone’s feet off the ground, this one is for you too. God bless you and thank you Academy. I appreciate it. Thank you."

About 701 word (3:17)

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一番受けたシーン~グレン・クローズの「ダ・バット」ダンス

【Glenn Close Dance To “Da Butt”】

ダ・バット。

オスカー授賞式でもうワンシーン、一番受けたところは、クゥエスト・ラヴのDJタイムでグレン・クローズがEUの「ダ・バット」に合わせて踊ったところ。あのハプニングは、オスカー史上に残るのでは? 

そのときの動画(約2分19秒)。おそらくすぐに削除されるだろうから、お早めに。


https://www.youtube.com/watch?v=pDdK3fNUQzQ

ちょうどトリヴィアをやっていて、「パープル・レイン」、「ラスト・ダンス」と流れ、3曲目のところ。これからかける曲が、オスカーを受賞したか、ノミネートされたか、どちらでもないか、を当ててくれ、というクイズ。

オスカー グレンクローズ Da Butt

ここでEUの「ダ・バット」がかかったが、ちょっとかけてマイクを持ったMCが「これはちょっと難しそうだ、わからないと思う」といいかけると、彼女が「わたし、知ってるわよ。『ダ・バット』でしょ? ワシントンDCのバンドEUがやっている曲。これは、スパイク・リーが『スクール・デイズ』で使って、私のアカデミーの友達はこの曲を見逃して、ノミネートもされず、だから受賞にもなっていない」と解説したのだ。

すると、MCは「じゃあ、踊りは知ってる?」と聞くと、「もちろん」とばかりに椅子から立ち上がり、踊って見せ、大いに沸いたのだ。この日一番沸いたシーンだった。「ハプニングは台本からは生まれない」を見事に証明した一瞬だった。

それにしても、グレン・クローズがゴーゴーバンドのEUの「ダ・バット」を知ってるとは、一気にファンになってしまった。(笑)

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